色彩計画を進める際、単体で1色のみを決めるということはあまりありません。戸建住宅であれば屋根・壁・サッシ・軒天・玄関扉等が主要な要素で、その他に雨樋・吸排気口等の各種設備や外構の床・フェンス・照明…。これが複合施設や集合住宅群になるとあっという間にA3の仕上表が5~6頁に増えて行きます。
建材の中には色の指定・調合が可能なものと、既成色の範囲の中からしか選択の余地がない場合など様々です。ここにインテリアが加わるとマテリアルの数が一気に増大します。ですから始めにおおよその部材の仕様や種類、色の調整の可否を把握しておかないと、どうしても後で“色が合わない”といった事態になりがちです。
私たちは具体的な部位毎の色選定に入る前に、基調色だけでも良いのですが、明度・彩度の上限・下限を『大体』決めて、配色検討作業をシステム化する、ということを行っています。例えば複数の住棟に複数の色相(色合い)を展開する場合、形態の陰影等も加味しながら部分毎に色を選定することはちょっとした色のずれを引き起こしやすくあります。端から色を一つずつ決めて行くのではなく、全体の使用色を先にリストアップしておくのです。
【多色相を使用したカラーシステムの一例】
この一覧のように、縦列は色相を揃えた濃淡のグラデーション、横列は使用する部位を想定した(外壁のベースカラー、メインの部分等)トーン(色の強さ)調和が整った状態をつくり、そこから各部位へ色を“割り振って”行きます。
このカラーシステムは初めから完璧なシステムである必要はありません。色相や濃淡のバランスが部位毎にずれてしまわないための目安であり、色相の間隔や濃淡の対比の程度にまず当たりをつけ、空間に配したり実際の建材見本に置き換えたりしながら、マテリアルボードや着彩立面図を作成して行きます。実施の段階ではこのようなカラーシステムが現場でも役に立ちますから、最終版が報告書や指示書として実物見本と共に納品します。
塗装は最も融通が効く仕上げ材であり(発注・納品等の日数を加味しなければなりませんが)、日本塗料工業会の色番号等で指定をすると1週間前後で塗り板見本(A4サイズ程度)を入手することができます。メーカーのサンプル帳も実際の塗装見本が添付されている場合も多くありますが、台紙に貼られた見本帳で使用色を選定することは他の部材との比較もしにくく、また色彩の面積効果の影響もあり、空間に展開された際のイメージを掴むのはとても困難です。
未だに、カラーシステムと実際の計画案がほぼ一致し完成、と思っても、そこから見本を手配する時には必ず『ズバリと前後』の色を作成してもらいます。ズバリ、は色見本(指定色)そのまま、の意味です。テクスチャーや艶感により色の見え方は色票とは異なりますが、マンセル表色系は“色のものさし”ですから、基準・中心となる色を明確にする(設定する)必要があります。
ズバリ色をゼロとした場合、前というのはやや明度上げた(明るく)状態、後というのはやや明度を下げた(暗くした)状態です。近年ではどの塗料メーカーに指示をしても、この『ズバリと前後』と言えば良い感じに幅のある濃・中・淡3色の見本が出来上がってきます。状況に応じ、明度と共に彩度のプラス・マイナスが必要な場合もあり、都度一定の色幅の見本を用意し、最終決定色の選定を行います。
【ズバリと前後の例】
外装の色を決めるのに(慣れたとは言え)これだけの手間がかかりますから、インテリアでフロア毎に色相を変える・部位毎にトーンを揃える、というのはとても体力のいる作業です。1つの色相だけの場合は濃淡の変化のみですから、多少強弱に過不足があっても不調和な印象を与えることはあまりありませんが、複数の色相を用いる場合はトーン(色の強さ・調子)や僅かな色相のズレが不調和でバランスの悪い印象を与えやすくなります。
最終的には実際に使用する建材をある程度の大きさで用意し、室内なら計画と同様の照明下で、外観なら自然光で確認を行い、部材同士の関係性において判定をすることが重要です。その検証にもカラーシステム(使用色・検討中の色の一覧表)は大いに役に立ちます。特に近年、着彩立面図はインクジェットプリンターで出力をしていますので、建材の見本を手配するまでの作業中には全体の構成や濃淡の対比を一目で確認できるツールが以前にも増して役立っています。
建材の中には色の指定・調合が可能なものと、既成色の範囲の中からしか選択の余地がない場合など様々です。ここにインテリアが加わるとマテリアルの数が一気に増大します。ですから始めにおおよその部材の仕様や種類、色の調整の可否を把握しておかないと、どうしても後で“色が合わない”といった事態になりがちです。
私たちは具体的な部位毎の色選定に入る前に、基調色だけでも良いのですが、明度・彩度の上限・下限を『大体』決めて、配色検討作業をシステム化する、ということを行っています。例えば複数の住棟に複数の色相(色合い)を展開する場合、形態の陰影等も加味しながら部分毎に色を選定することはちょっとした色のずれを引き起こしやすくあります。端から色を一つずつ決めて行くのではなく、全体の使用色を先にリストアップしておくのです。
【多色相を使用したカラーシステムの一例】
この一覧のように、縦列は色相を揃えた濃淡のグラデーション、横列は使用する部位を想定した(外壁のベースカラー、メインの部分等)トーン(色の強さ)調和が整った状態をつくり、そこから各部位へ色を“割り振って”行きます。
このカラーシステムは初めから完璧なシステムである必要はありません。色相や濃淡のバランスが部位毎にずれてしまわないための目安であり、色相の間隔や濃淡の対比の程度にまず当たりをつけ、空間に配したり実際の建材見本に置き換えたりしながら、マテリアルボードや着彩立面図を作成して行きます。実施の段階ではこのようなカラーシステムが現場でも役に立ちますから、最終版が報告書や指示書として実物見本と共に納品します。
塗装は最も融通が効く仕上げ材であり(発注・納品等の日数を加味しなければなりませんが)、日本塗料工業会の色番号等で指定をすると1週間前後で塗り板見本(A4サイズ程度)を入手することができます。メーカーのサンプル帳も実際の塗装見本が添付されている場合も多くありますが、台紙に貼られた見本帳で使用色を選定することは他の部材との比較もしにくく、また色彩の面積効果の影響もあり、空間に展開された際のイメージを掴むのはとても困難です。
未だに、カラーシステムと実際の計画案がほぼ一致し完成、と思っても、そこから見本を手配する時には必ず『ズバリと前後』の色を作成してもらいます。ズバリ、は色見本(指定色)そのまま、の意味です。テクスチャーや艶感により色の見え方は色票とは異なりますが、マンセル表色系は“色のものさし”ですから、基準・中心となる色を明確にする(設定する)必要があります。
ズバリ色をゼロとした場合、前というのはやや明度上げた(明るく)状態、後というのはやや明度を下げた(暗くした)状態です。近年ではどの塗料メーカーに指示をしても、この『ズバリと前後』と言えば良い感じに幅のある濃・中・淡3色の見本が出来上がってきます。状況に応じ、明度と共に彩度のプラス・マイナスが必要な場合もあり、都度一定の色幅の見本を用意し、最終決定色の選定を行います。
【ズバリと前後の例】
外装の色を決めるのに(慣れたとは言え)これだけの手間がかかりますから、インテリアでフロア毎に色相を変える・部位毎にトーンを揃える、というのはとても体力のいる作業です。1つの色相だけの場合は濃淡の変化のみですから、多少強弱に過不足があっても不調和な印象を与えることはあまりありませんが、複数の色相を用いる場合はトーン(色の強さ・調子)や僅かな色相のズレが不調和でバランスの悪い印象を与えやすくなります。
最終的には実際に使用する建材をある程度の大きさで用意し、室内なら計画と同様の照明下で、外観なら自然光で確認を行い、部材同士の関係性において判定をすることが重要です。その検証にもカラーシステム(使用色・検討中の色の一覧表)は大いに役に立ちます。特に近年、着彩立面図はインクジェットプリンターで出力をしていますので、建材の見本を手配するまでの作業中には全体の構成や濃淡の対比を一目で確認できるツールが以前にも増して役立っています。