初心者のクラシック

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ピアノソナタ第15番「田園」

2009年11月23日 | ベートーヴェン
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はベートーヴェン:ピアノソナタ第15番「田園」です。

ベートーヴェンで「田園」と言うと、交響曲の方が有名ですが、ピアノソナタでも作曲されているんですね。この「田園」

そして、ベートーヴェンのピアノソナタと言えば、壮絶で激しいものや失望感いっぱいの「3大ソナタ」が有名ですが、その番号が後半になると、やや大人しく、じっくり聴ける雰囲気の曲。というイメージがありましたが、

番号的には前半に位置する今回の「第15番」はそのイメージとは少し違うかもしれません。激しさや、失望感とは違い、そのタイトルからしても、ちょっとのびりした曲調のようです。

例によって、ウィキペディアによると、タイトルの命名は、作曲家ベートーヴェ本人のものではなく当時の出版社がつけたもののようですが、しかしながら、なだらかに始まり、明るい曲調のこの曲は、ベートーヴェンの違った印象を受ける作品だと思います。




 第1楽章:中低音のなだらかなフレーズがはじまると、とてものどかで、
 おだやかな表情を聴かせてくれます。
 そのフレーズにキラリと光る音が入りはじめると、
 低音からじわじわと盛り上がり、高音へ弾みをつけるように跳ね上がる
 フレーズがとても特徴的です。
 やがてそれもおさまり、また静かにおだやかなメロディが流れると
 少し落ち着きます。
 そしてまた、跳ね上がるあのフレーズがインパクトをつけていきます。
 次第に低音のフレーズが増え、沈むように終わっていくようになりますが、
 何度か、息を吹き返すような音を聴かせると、
 最初のフレーズが現れ、最後にもう一度跳ね上がってから、
 静かに着地を決めて、静かに終わります。

 第2楽章:てくてくと、夕暮れ時の野道を歩いていくような…、
 少しさみしい雰囲気のメロディが始まると、少し気分もふさぎます。
 伏し目がちに歩きながらも、時折視線を上にしたかと思うと、
 また、下を向いてトボトボと歩きだすような、そんなイメージでしょうか?
 しかし、立ち止まると、急に可愛らしいフレーズが顔を出し。
 その足取りも少し軽くなったように感じます。
 徐々に力強い音にもなりますが、
 気が付くとまた、足取りも重く、再びてくてくと歩きはじめます。
 明るい音色が嘘だったかのように、またトボトボと歩くようなフレーズが
 最初以上に切なく、重苦しい印象を受けます。
 
 第3楽章:今度はうって変って、最初から弾むフレーズが転がりだすと、
 軽快にその歩を進めていきます。
 節目、節目をバッチリ決めながら、転がりだすと止まらない、
 どこまでも進むように弾みます。
 そして最後はきっちりと終わります。
 
 第4楽章:中音がじわっと響き出すと、それが序章のように
 待ち切れず始まるメロディがあふれ出します。
 仕切りなおして、丁寧にまた始まると、一気に元気になります。
 落ち着きを取り戻そうと、ゆっくりとしたフレーズになりますが、
 やはり抑えきれず、力が入ると次第に盛り上がり大きくふくらんでいきます。
 そして最後はその抑えきれない笑顔を一気にふりまくように、
 華やかに盛り上がると、笑顔で曲を終わります。
 

「ベートーヴェンでもこんなピアノソナタを書くのか!?」と言うのが率直な印象です。
全体を通してみるとさすがに、「底抜けに明るい」とは言い難いですが、あのゴツゴツとした、というか、緊張感あふれるいつもの作風とは一味違った一曲になっていると思います。
ちなみに≪オススメCD≫ではグルダを紹介していますが、聴いたのは、ナクソス版でイエネー・ヤンド―のピアノです。
ひょっとすると、ピアニストによっても、違った印象で聴ける曲なのかな?なんて思ったりして、

とは言っても、そこはやはりベートーヴェンなので、全体的にはふわっとした、のどかな印象ですが、要所、要所ではガッツリ決めてきますから、そのバランスも聴きどころのひとつかもしれません。


≪オススメCD≫
グルダだとおもしろく弾いてそうな気がします。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第15番&第23番
グルダ(フリードリヒ)
ユニバーサル ミュージック クラシック

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【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆☆★
怒:☆☆★★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆☆☆★


≪おすすめシチュエーション≫
基本的には明るくサラッと聴けるんだけど…


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