市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

ゆふべには扉(と)のほのか開く園のごと顔やはらかく薔薇を眺めむ

2015-04-21 17:21:54 | Weblog



 薔薇に









 そろそろ五月の薔薇が待ち遠しい季節だ。この画像も椿さんの絵。かんたんに言うなら、マニエリスムの薔薇だ。



 このごろ集中的に山口椿さんの穏やかでスタンダードな画像をアップし続けている。


 『海の器』を書いている頃も、そのあとも、このパートナーであり師匠であったひとは、口癖のように言っていた。


 「技芸のなかに、自分のよきものが表現されるまでには、そりゃあ、長い鍛錬がいるんだ」



 仕上げた絵や小説、楽曲について、ときどき褒めてもらって、それがとてもうれしかったことを、処女作を眺めながら思い出す。







 その局面を思い返せば、じつに透明な時間を過ごしてきたものだった。 





 



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雨音を拾ふ言の葉静かなる手のさきに今あなたとはどこ

2015-04-20 18:07:59 | Weblog



 雨に。




 寒いような蒸し暑いような。ひととおり今日のお稽古も仕事も済ませた。時折フェイスブックをサーフィン。



 ネット社会はすくなからず偏っているなあと感じながら、目はさまざまな記事に驚く。








 奇妙な物言いだが、このまま平和な日本が保たれればいいと思う。





 今日も丁寧に過ごした。オッケー



 画像はレオナール・フジタの小品を面相筆による臨模。椿さんの作品。今わたしの祭壇にある。
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雨のうへ薄紫に藤の揺るる手触りのまま海に出会ひぬ

2015-04-19 13:46:47 | Weblog


 午前中少しあたふたと雑用を済ませる。


 下馬四つ角から大通り越にはるかな海を眺める。





 雨はそぼ降り、ゆったりともやいだ晩春の中に、新緑と藤、山吹がうつくしい。



 その眺めを。









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萬感の手紙

2015-04-18 23:29:36 | Weblog
 

 「海の器」新刊本を椿さんに送ったら、お返事をいただいた。


 小説に書き込んださまざまな技芸、メチエはすべてこのひとから教わったものだ。本の読み方さえも。



 作品初期の原型から今の文章まで、ずいぶん書き改めたので、本を送った後も、もしかしたら叱られるかとひやひやしていたが、椿さんらしくきっぱり短く「萬感」とだけ。



 今もこのひとは精進を怠らない。死ぬまで舞台人、芸人、職人だろう。




 ありがたい励ましのお手紙でした。ご覧くださいませ。










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未来4(759)月号

2015-04-16 16:34:02 | Weblog


 つつまれてありたしただただ山ふかく密林深く狭霧に濡れて

 ひとつまみ冷えし土くれ染みて知る霧氷しずるる北上山地

 どうするも北上山地白白と谷川流る川葬なきや                          田江岑子



 骨の白、ユトリロの白おもふまで鈴懸の木は冬日にしづか

 いつしらに身にあるものはやはらかく球なす冬の寄生木に似て

 ゆるやかに冬のひかりの下りくる踊り場はいまひとときの瀞

 その端を引かばほどけむ仮名文字の日記(にき)のうちより逃がす蜻蛉               岩岡詩帆



 ひとりなりあかねさす昼ぬばたまの夜その空間に雪は降りゐつ

 樹はそこにそこに立ちゐてこの地球の秘めたる力吸ひあげてをり                  後藤雪乃





 いつもランダムに好みの歌を掲載させていただいている。

 こうして眺めてみると、自分の心象に近い、スタティック、幻想的な風情の方が多くなる。色彩もどうも、白、ばっかりだ。

 単純に色だけで言うなら、特に嫌いな色はない。ただ、うたうときにその色を選ぶ情感が歌柄に現われ、それで、白い歌が多くなるのだろう。



 そしてまた、いいな、と感じても、このブログへの掲載をご遠慮する方もたくさんいらっしゃる。
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貝のうらへ虹運ぶごと時の流れよ君に光れよ

2015-04-15 12:39:58 | Weblog



 拙作『海の器』ネット販売が出版社「港の人」で始まりました。

 http://minatonohito.jp/products/168_01.html


 また、定期的にパフォーマンス上演させていただいている南青山骨董通りのアンティークギャラリー、ラトゥリエでも販売いたします。

 ラトゥリエでは『白鳥姫』もご提供いたします。

 港区南青山5-17-6、ⅠF  03-3486-5343

 


 

 読者の時間を、わたしの綴った言葉たちがさわやかに彩ることを願います。
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玲瓏89号

2015-04-15 12:18:13 | Weblog





 渾身の優しさならむふうはりと蝶は光も風も毀さず

 ひとの宿る熱きを知らず我が胎は夕陽を湛ふるみづのしづけさ

 ひと房の葡萄の甘さ深まりてロザリオ一連指に冷えゆく                   沼澤聡子「瑠璃の羊水」



 川風に見合ふさびしさ全身が翼に変はることだってある

 夏の日に背を向けてゐる向日葵の何も起こりはしない前触れ

 星を狩りにゆくのだらうか会を終へ若き一人はうなだれており                阪森郁代「前触れ」


 
 道は果て架空の街に入りゆけり我が再びの愛はありやと

 日常を一段下りし曖昧はアリバイとなり我を隔つる

 この途(みち)に無となりゆかん自らを許してカンナの紅(あか)零しみる          千舘禮子「虚の間」



 姑はいま半身麻酔の霧のなかいづくの芒の原を駈けゐる

 陽だまりの丘の窪地を思はせる車椅子にはうたたね兎

 いのち急く姑にはあらずよまだ青き楓の下に車椅子押す                   小黒世茂「カプセル風呂」


 
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海の器

2015-04-10 19:58:23 | Weblog


 さっき、『海の器』が届いた。うれしい。



 何度も書き加え、推敲し、そのときどきの自分の心模様をすこしずつ織り込んで、ようやく上梓となった。


 インターネット、アマゾンでも来週半ばくらいから販売される。


 鎌倉市内では、たらば書房さんが扱ってくださるとか。





 濃淡さまざまな情景を描いたけれど、それらはいっそ、とても長い、一種の抒情とお読みいただけたらうれしい。

 第一歌集と同じく、デッサンは自作、母に題字をもらった。これもそのときどきの母の心のすがたを映す。この字はあどけなく感じられた。

 校正をしてくださった井上有紀さんに、晴朗な感想文をいただいた。わたしの浅くつたない作家人格には過分な言葉だった。









 ご購読いただけましたら幸いです。








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海の音の耳に響かひ高らかに絃を弾けばうたひてやまぬ

2015-04-08 17:51:18 | Weblog


 ゆうぐれに。






 細竿に。華奢な楽器だけれど、海のような響きで奏でられたら。






















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夢ならば桜に紛(まぎ)れてそのひとの眠りなつかしく訪(と)はましをはた

2015-04-08 06:09:14 | Weblog


 朝、ふと。








 題詠「桜の夢に想ふ」とでも。





 今日もていねいに、やさしい心でつとめましょう。




 みなさんすがすがしい春でありますように。













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アルファポリス