市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

ゆるやかに地上抜けゆく肉体のけもの忘れて白鳥座かな

2008-06-27 20:57:57 | Weblog
 星曇り。夏の星座はざんねんながら見えない。

 この季節なら、東北東の空に夜の9時ごろはみえるはずの白鳥座。

 


 詠うことについて、しきりに迷う。


 ありのままに素直に詠おうという素朴さと、言語構築によって、現実とは異なる空間に飛んでみたいという願い。


 感動のありかってなんだろう。


 こころは日々変化する。

 日常茶飯さまざまなできごと、あたらしい経験の重なりのなかで鍛えられてゆく自分を実感するにつれて、歌に対する視野も、これまでとは違ったものになってくるのがわかる。


 繊細。抒情。ロマンティシズム。


 ひびき、言葉のからみのしなやかさ。


 同時に、感動。


 技巧だけではものたりない。


 さりとて万葉びとには戻れない。


 時間と人生の流れのなかで、自分の表現のなかに、自画像が見えるんだろう。


 素直で叙情的な「言葉遊び」でありたい。

 遊びは……ことだま、をのびやかに生かす営み。


 おもちゃにするのではなく。


 自分を客観視するのはむつかしい。


 学生時代、思い立って世阿弥の花伝書を読んだっけ。そこに「離見の見」。

 
 20代のころは、この言葉の意味がわからなかったけれど、たぶん、自分自身をつきはなしてクリアに眺めるということなんだろうと今は思う。


 いい歌、句にであうと、心がふるえる。



     


      日のやうに光のやうに水のやうに流れのやうに明日の日のやうに

                               前川佐美雄さん





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2 コメント

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肉体のけもの・・・ (木ねずみ)
2008-06-30 09:17:49
素敵なお歌ですね。。
「けもの」と「獣」ではまた違った感じですね。
「けもの」はどこか臆病な生き物にも思えます。
空に伸びやかに白鳥座が広がる様子が目に浮かぶようです。
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ひらがなと漢字 (雪香)
2008-06-30 15:03:01
どちらをえらぶか、っていつも考えますね。

短歌は大和言葉なので、ひらがなのほうが、音のころがりや響きをつたえてくれるかな、と思います。

けもの……臆病、そうですね、柔和な感じになります。語源はたぶん、毛のモノ、ですから

漢字は、絵画的でしょ?

獣ってかくと、いかめしい、というかこわい印象になるから。

一時期、漢字の派手さに見せられて、パズルみたいに遊んだこともありますが、そのころの歌を、素直に思い出せないんですね

なだらかに口にのぼらせて、飽きない歌を詠いたいなあ、と思います。

そのいっぽうで、耽美的な世界にもあこがれる。

バランスできれば、と。


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