雨、雨。一日じゅう。
ここは紫陽花で有名な街。あちらこちらの古寺名刹、紫陽花を丹精する。
あと十日もすれば、街のそこらじゅうに、いろんな種類の紫陽花がひらく。
帰りがけにみかけた、紫陽花の莟は、まだあおじろく、蛍のように華奢だった。
稲村ガ崎に近い成就院に、以前はよく紫陽花を見に行った。ちょっと遠出の散歩コースだったので。
お寺さんに続く石段を、ずっと登ると、急に視界がひらけ、花群れのむこうに、相模灘がはろばろとひろがってはれやかだった。
紫陽花は静かな花と思う。梅雨の時期に咲くからかな?
梅雨入りとともに盛りになって、雨季のおわりには、いっしょに衰える。
たくさんのひとが、雨の季節にも、紫陽花を目当てに訪れる。
薔薇といい、紫陽花といい、見るひとそれぞれに、さまざまな想いをかきたてる。
海へ向かうひとも。