季節の移り行き。
昨日から、すこし冷えまさり、朝の大気はくもりながら乾いていた。
カーテン越しの光に、透度が増す。
街の物音や、何かの気配、騒音のぶつかりあい……
音たちの輪郭は、夏とは違うくきやかさ。
お茶碗や布巾を、素手であらったあと、もう指先の乾きを感じる。
暦の日付を、うっかりすると忘れてしまいそうなくらい、毎日のこまごま。
歌うときの静かさがうれしい。すきまなく時はながれる、くるくる……さらさら。
とはいえ、わたしのちいさな日常でのめぐりのことだけれど。
山裾で、下草刈が始まっていた。秋への準備。
通りすがり、草の匂い、湿った土と水分が、鼻腔いっぱいにあふれかえった。
刈り込まれた野原の切り口が新鮮に香った。