市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

男らの殺しあふとき生殖の血は点景としてしたたる大河

2008-01-11 22:31:37 | Weblog
昨年、思い立って玲瓏短歌会に入りました。

ずっとひとりで詠ってきたのですが、歌や詩、言葉についてもっと枠をひろげてみたくなったから。

主宰者は塚本邦雄氏。『玲瓏』発行人は、御子息の青史氏です。先日この方の御著作『呉越舷舷』が集英社文庫から上梓されました。三国志ブームなどで、中国の歴史に対する関心が高まっているそうです。

ひさしぶりに、漢字たっぷりの密度の濃い頁に接しました。

男たちの死闘謀略の歴史の渦に翻弄され、利用される美女たちの姿に、やはりまず、関心がゆきます。

彼女たちが受身でなく、生死の瀬戸際で果敢に行動する姿は、あざやかです。まだぜんぶ読み終えてはいないのですが、彼女たちの運命を点々と読みたどるように頁をめくる自分に気がつきます。

うつくしくて果敢で……そして歴史という壮大な流れの中では、彼女たちの生死は、ほんの刹那の紅なのだけれども、男たちの死よりもけざやかに胸に迫るのは……

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薄氷(うすらひ)に沈む暮れ色雪のまへ相姦迫る沈黙(しじま)のやうに

2008-01-11 18:45:32 | Weblog
今夜、雨から雪になると……はつゆきです。

雪の前、大気は光をひそめ陰をうしない、ひとびとのたてる雑音は、雪雲の気配に吸われて角をそがれ、にぶくなり、ポール・デルヴォーの絵画さながら、影のないしらじらとした光景を幻視させます。

デルヴォーの絵は夜が多いのですが、彼の描く豊かな白い肌と、みひらいた大きな眼、無表情で黙しがちな女たちの優しくまた冷ややかに棲みあう世界は、こんなふうに、沈黙のふくらむ現実のすぐそばまで迫っている気がする。

デルヴォーの女は、すべて彼のうつくしい母親への憧憬を原型にしているとか。

彼は生涯独身(童貞ではなく)だった、とか。

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ひかる朝に悲哀はしづけき囀(さへづ)りをころがす小鳥は我をおそれぬ

2008-01-11 09:39:34 | Weblog
冬の鳥たちは痩せてちいさいということですが、海辺の冬鳥はそうでもないようです。千鳥や鴎など、人馴れしていて、よほど近づいてもゆったりとこちらを眺めています。

白い尾羽を持つ小鳥。渚によく見る、あれは浜千鳥なのかしら…。今朝、ちょっと外に出たら路面に降りていて、しきりにアスファルトをつついていました。こちらをちらっとみて、顔色も変えずにそのまま。

すぐそばまで行ってもおびえません。

しっぽに触れるかな、と思ったとたんに、さっと飛んでいってしまいました。ざんねん。

その子のかれんな囀りだけ、水色の朝の空から降ってきた……
コメント (2)
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