酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

「しあわせの経済 世界フォーラム イン 東京」に感じた変化の兆し

2018-11-13 18:46:57 | 社会、政治
 映画「Search サーチ」(18年、アニーシュ・チャガンティ監督)をメインで紹介するつもりだったが、枕に変更した。理由? 百点満点のエンターテインメントゆえ、あれこれ書いて興趣を削ぎたくないからである。

 斬新な手法に「アイ・イン・ザ・スカイ」が重なった。「サーチ」は全編、PC画面上で進行するからだ。前々稿で日本版「十年」を紹介した際、♯3「DATA」について、<(SNS上の)全データを蓄積すれば、個々の全体像に行き着くのか>と自問した。「サーチ」では失踪した娘マーゴット(ミシェル・ラー)の消息を追うITエンジニアの父デビッド(ジョン・チョー)が、SNSをフル活用し事件の顛末に辿り着く。

 二転三転するサスペンスで、面白さなら「去年の冬、きみと別れ」(今年3月公開)に匹敵する。アメリカで人気の中村文則原作でもあり、「去年の冬――」の配給はワーナー・ブラザーズだった。「サーチ」は監督、主なキャストはアジア系で、ハリウッドの懐の深さを感じさせる。

 「しあわせの経済 世界フォーラム イン 東京」(11日、明治学院大)に参加し、マルシェ出展者として緑の党会員が作った無農薬野菜とビーガンマフィンを販売する。その傍ら、緑の党の活動を告知するチラシを配った。反原発集会同様、緑の党の認知度は極めて高く、野菜とマフィンはソールドアウトの活況だった。

 講演会場には足を運ばなかったが、語られたことは想像がつく。基調報告を行ったのは 第25回「ソシアルシネマクラブすぎなみ」で上映された「幸せの経済学」のヘレナ・ノーバーグ=ホッジ監督(環境運動家)で、同作を配給したユナイテッドピープル(UP)もマルシェに出展していた。

 緑の党会員発のプロジェクト「ソシアルシネマ――」はUPと連携し、数多くの作品を高円寺グレインで上映してきた。「幸せの経済学」以外に「ダム・ネーション」、「バレンタイン一揆」、「0円キッチン」、「第4の革命」などをブログで紹介するたび、ローカリゼーション、持続可能な社会、自然との調和、地産地消、脱成長、ミニマリズム、分散型社会、ダウンシフトといった言葉をちりばめ、作品を評してきた。

 フォーラム参加者とパネラーの立ち位置は共通している。競争より共生、対立より調和、独占よりシェアをいう柔らかな志向だ。若者、女性の姿が目立つ会場には温かな空気が流れていた。「反グローバリズム!」と拳を振り上げるのではなく、<反>ではない価値観を自然体で追求していることを感じた。

 隣の出展者は無農薬野菜栽培に取り組む「マイラブファーム」(千葉市)だった。パートナーと菜園を経営するマイケルやもさんはかなりの有名人で、写真撮影に応じていた。彼はマイケル・ジャクソンのいでたちで、環境保護を訴える日本中のイベントに参加し、パフォーマンスを披露している。NHKに取り上げられたことがあったらしい。

 マイケルやもさんは5反(70㍍四方)の農園で50種ほどの野菜を栽培しているという。<生産物=自分自身>とのアイデンティティーは明確だから、大変な作業も苦にならない。共通の友人は匝瑳で活動する高坂勝さん(緑の党元代表)で、閉店した池袋のバーも訪れたことがあるという。来年の開催も決まっているので、出展者としての再会が楽しみだ。

 <常軌を逸したトランプがアメリカの覚醒と胎動をもたらした>と記した。今回のフォーラムで変化の兆しを感じたが、吸収すべき組織がない。社会主義を公然と掲げる米民主党進歩派と対照的に、永田町の地図は手垢で汚れている。メディアが報じる<小沢一郎-橋下徹-前原誠司>の野合など胎動と無関係で、自公の補完物に過ぎない。


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