酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

グリーンズジャパンは緑の波に乗れるのか

2020-02-11 23:30:11 | 社会、政治
 まずは訃報から。野村克也さんが亡くなった。享年84である。監督の仕事はチーム内にケミストリーを起こし、モメンタムを生むことだと考えている。だから頭脳を前面に出す野村さんに違和感を覚えていたが、セルフプロデュース力、既成概念に囚われない発想、サービス精神には感嘆させられた。同郷の野球人の死を心から悼みたい。

 別稿(1月15日)で紹介した「パラサイト 半地下の家族」がパルムドールに続きオスカーを獲得した。英語圏以外では初めてで、保守的とされるアカデミーでは画期的な出来事である。社会性とエンターテインメントを併せ持つ韓国映画の精華といえる作品だが、最も衝撃を受けたポン監督作は人間の深淵に迫った「母なる証明」だ。ぜひご覧になってほしい。

 民主党予備選に地殻変動の兆しが窺える。暫定トップのブティジェッジ前サウスベンド市長はゲイであることを公表し、壇上でパートナーとハグしていた。カミングアウトして初めて公職に就いたのは、ドキュメンタリーやショーン・ペン主演の「ミルク」でその存在を知ったハーヴェイ・ミルクである。

 ミルクは77年、サンフランシスコ市議に当選したが翌年、市庁舎で暗殺される。あれから40年、民主党プログレッシブの躍進がアメリカ人の意識を変え、女性、黒人、貧困層、移民、ムスリム、ネイティブアメリカンが議会に進出している。ブティジェッジもそのひとりだ。

 欧州では緑の党が希望の象徴と見做されている。認知度が低い日本で、第9回グリーンズジャパン(GJ)定期総会が開催された。気候危機、格差と貧困への対応を軸に、グリーンニューディール、脱成長、消費増税等について活発な議論が戦わされる。泥縄を縫って臨んだが、グループディスカッションでの発言に説得力があったとは言い難かった。

 そもそもグリーンニューディールをどう捉えるかが難しい。ポスト資本主義に向けた出発点なのか、あるいは資本主義改良の手段なのか……。俺は前者の立場だ。グリーンニューディールの提唱者で、民主党プログレッシブの代表格でもあるオカシオコルテス下院議員は、選挙戦で<革命>を訴えるバーニー・サンダースを支持している。ちなみに欧州で広がっている〝ニュー〟のないグリーンディールは、後者の意味合いが強い。

 話は逸れるが、一般教書演説の後、トランプ大統領の草稿を破り捨てたペロシ下院議長が耳目を集めた。「華氏119」(マイケル・ムーア監督)で、「18~29歳の若者の51%が社会主義を信じている」と問いかけた青年にあきれ顔を浮かべていたのが、民主党院内総務時代のペロシである。左派のサンダースとウォーレンの健闘、性的マイノリティーのブティジェッジの台頭に困惑した民主党指導部は、ブルームバーグに懸けるだろう。

 閑話休題……。脱成長はGJの基本テーゼで、昨年秋に交流した韓国緑の党の若者も強調していた。〝反〟がマイナスイメージを喚起しかねないと懸念する会員もいる。成長は見込めず、〝見かけの数字〟が上がっても99%に富が行き渡らない以上、脱成長は現状に即していないという声もあった。

 俺は幅を広げて脱成長を理解すべきと考えている。脱成長は当ブログで頻繁に記してきた地産地消、持続可能な社会、ミニマリズム、ローカリゼーション、パワーシフトを内包しているからだ。気候危機マーチのメインスローガン<気候を変えずに自分を変える>も脱成長にマッチしている。社会の構造のみならず、生き方の変革に繋がっているから、世界の支配層はグレダさんを叩くのだ。

 消費税率5%引き下げを掲げるれいわ新選組との協調を求める声もあるが、俺は条件付きで高負担を許容する。条件とは北欧など先進国のように、税金の使い道が公開されることだ。消費税関連の議論は、都知事選や国政選挙の枠組みに大きく関わっている。

 この1年のGJの特筆すべき成果は、<ストップ気候危機! 自治体議員による気候非常事態共同宣言>を呼び掛け、300人以上の議員の賛同を得たことだ。総会に集った会員の皆さんは日常活動で〝世間の空気〟を知っている。同じテーブルの京都の会員から聞けた市長選を巡る経緯が興味深かった。

 6年前に入会した際、「最近の日本の作家は多様性とアイデンティティーの浸潤を志向している。グリーンズジャパンのHPに共通点を覚え、『ここだ』と思った」と動機を話したら、事務方はきょとんとした表情を浮かべていた。〝初心〟は今も変わらない。政治参加をためらう方に、このブログが〝免疫〟になってくれればと考えている。俺みたいな適当な人間でも許容されるのだ。
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