酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

文化的な週末~「さよなら原発さよなら戦争全国集会」、そして「コスタリカの奇跡」

2017-09-18 23:42:59 | カルチャー
 緑の党に入会して3年半、「空気を変えたい」と記してきたが、変化を導くのは〝空疎な言葉〟ではなく地道な活動だ。ちなみに、俺が変えたい「空気」とは、「同調圧力」に屈し、「みんな」という匿名性に潜り込む悪しき日本の伝統だ。典型的なのは、タコツボ化した社会空間だ。政治音痴を自覚した俺は最近、〝文化活動〟に専念している。

 台風一過の18日、「ともに生きる未来を! さよなら原発さよなら戦争全国集会」(代々木公園)が開催された。俺は「オルタナミーティング」のブーススタッフとして署名集め、チラシ&ビラ配布を担当した。主な展示物を、プロモーションを兼ねて以下に挙げる。

 まずはオルタナミーティング主催「平成世直し二人会~神田香織&松元ヒロ」(10月23日、座・高円寺2)だ。神田のイベントを扱うのは数度目で、知名度の高さは承知していたが、松元ファンの多さに驚かされた。衆院選投開票日の翌日(恐らく)、暴政に毒を吐く両者の熟練芸でケミストリーが生じ、会場は熱気に包まれるだろう。

 「大塚まさじ高円寺ライブ」(10月29日)、年末恒例の「友川カズキ阿佐ケ谷ライブ」(12月17日)も告知し、併せて「ソシアルシネマクラブすぎなみ」の年内の上映作品、「ビューティフル・アイランズ」、「ダムネーション」、「ハーフ」)のチラシもブースに置いた。

 緑の党の最重要課題である供託金違憲訴訟(宇都宮健児弁護団長)への反響は今回も大きく、ブ-スで多くの署名を頂いた。「武器輸出反対ネットワーク」(NAJAT)代表である杉原浩司さん編著「亡国の武器輸出」(合同出版)も発刊前に展示する。〝時の人〟望月衣塑子記者(東京新聞)もNAJAT発起人のひとりで、同書にも寄稿している。

 反原発、反戦、そして反基地を闘う人々の声が、スピーカーを通してブースにも届いてきた。山城博治氏(沖縄平和運動センター議長)の切迫感に溢れたアピ-ルと歌声も聞こえてくる。森友・加計隠し解散に言及する識者も多かった。実は同時間帯、「パレスチナと日本」と題されたシンポジウムが開催されていた。反戦と反核を軸に<パレスチナ-沖縄-フクシマ-ヒロシマ>が紐帯を形成している。

 日時は2日溯るが、高円寺グレインで開催された第21回ソシアルシネマクラブすぎなみに足を運んだ。上映作は「コスタリカの奇跡~積極的平和国家のつくり方」(16年)で、前回ソールドアウトになったため、再上映になった。<国家の崇高な意志>に感銘を覚える作品で、非武装中立を実現し、現在まで維持するため、コスタリカが乗り越えた幾つもの困難が描かれている。

 <20世紀半ば、ホセ・フィゲーレス・フェレールが非武装を「制度化」した。その後継者たちは、教育や医療福祉を充実させることで、非武装を「文化」にまで昇華させた>(足立力也、映画HPから)……。

 コスタリカ研究の第一人者である足立氏は、緑の党創設メンバーでもある。「コスタリカの奇跡」で謳われていたのは反戦、教育重視、人と自然の調和、平等と公正である。〝乗り越えた幾つもの困難〟と上記したが、最初の関門はカルデロン大統領の裏切りだった。労働法を制定し社会保障の基礎をつくるなど社民的施策を進めたが、権力への執着で道を誤る。選挙で負けたのに居座ったカルデロンを倒したフェレールは大統領就任後、非武装を宣言する。

 フェレールに限らず、歴代大統領のしたたかさに驚嘆させられる。国内で影響力を持つカトリック教会や共産党と巧みに距離を取り、近隣の独裁政権(とりわけニカラグア)との軋轢に耐える。何より深刻なのは中南米を我がもの顔で闊歩するアメリカの脅威である。

 政権転覆を企てるアメリカの策謀で、平和主義と民主主義が絶体絶命の危機に追い詰められるたび、コスタリカは外交で圧力をかわす。欧州各国の首脳、国際的機関、アメリカ国内のリベラル派との連携を密にして、非武装を貫いた。アメリカに隷従して不戦を誓う憲法を踏みにじる安倍首相との差は何から生じるのか……。それは<矜持と理想>といえる。

 軍事費を教育と医療福祉に回したコスタリカは、<幸福度の高い国>として知られるが、〝理想郷〟に近年、歪みが生じつつある。グローバリズという悪魔がコスタリカを蹂躙し、麻薬もまた蔓延している。<民主主義最大の敵は格差と貧困>と説くピケティの主張通り、不満が充満しているコスタリカだが、公正と平等を掲げるソリスを大統領に選んだ。


 湾岸戦争への参戦を宣言した大統領に対し、一学生が訴訟を起こして勝利した経緯も紹介されていた。民主主義とは、自由と平和を志向する魂であることを本作は教えてくれた。かつて<民主主義成立の条件は人口1000万人以下>と記したことがある。コスタリカ(人口500万人)も北欧やアイスランド同様、条件をクリアしている。 
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