酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

心と体で感じた晩秋の福島

2014-10-29 23:56:12 | 戯れ言
 週末から週初めにかけて福島を訪れた。知事選の投開票日に合わせて……なんていうのは後付けで、スケジュールは全て同行した知人任せである。3・11以降、幾つかのボランティアに関わる知人だが、今回はノンポリ? の俺に合わせた観光だった。

 最初に足を運んだのは競馬場だ。8~10Rを3連続的中とラッキーが続いたが、11Rは迷った揚げ句に切った3番人気に勝たれ、菊花賞も撃沈。浮いたのは少額で、〝接待ギャンブラー〟の面目躍如だ。

 その後、電車を乗り継ぎ磐梯熱海温泉に向かう。車窓から眺める景色にデジャヴを覚える。帰省する際の亀岡―園部間に似た田園風景が広がっていた。磐越西線、翌日に乗った磐越東線はともに単線で、1時間に1本程度なのに車内は空いていた。磐梯熱海駅周辺、温泉街も寂れた趣はあるが、3・11の影響と決めつけるのは早計だろう。宿は満杯と大繁盛で、玄関口からすぐのケヤキの森も格好の散策コースだった。

 日本シリーズが気になってテレビをつけた瞬間、内堀氏当選の一報が入る。得票数は熊坂氏の約4倍という圧勝劇だった。細川元首相は「全候補が脱原発だから選挙に関わらない」という妄言を吐いていた。僚友の小泉元首相は先週、都内で脱原発の〝空論〟を展開していた。

 脱原発の〝正論〟とは、放射能汚染と体内被曝の現実を見据え、補償等を含めた道筋を提示することだ。副知事として隠蔽を主導した内堀氏は最悪の候補といえる。だからこそ、都知事選で細川、宇都宮両陣営に分裂した脱原発派が手を携え、共産党も熊坂氏を支援した。熊坂勝手連の河合弁護士は都知事選では細川陣営の中心で、井戸川候補も細川氏を応援した。一本化に動くべきだった元首相コンビの無策に愕然とした。

 イラク戦争に加担し、ファルージャ攻撃を支持した小泉氏に、志葉玲氏(ジャーナリスト)は鋭く問い掛けた。「あなたは現地で起きた劣化ウラン弾等における被爆(=被曝)で死んだ無数の人たち(多くは子供)についてどう考えますか」と……。答えない小泉氏に、脱原発を語る資格など、そもそもなかったのではないか。福島への冷淡さにもかかわらず、いまだに小泉氏に期待を寄せる脱原発派がいることが不思議でならない。……とガチガチ考える頭をほぐしてくれたのは、旅先で出会った人たちの優しい気遣いだった。

 一泊して郡山市に向かい、街を散策する。駅前は都内のターミナル周辺とそっくりで、駅舎を含め商用施設が立ち並んでいた。24階建てのビッグアイの8~14階に萌世高校が入居している。同校は定時制、通信制を併置する県立高校で、市民向けに講座を開いている。郡山市は県の中間に位置しており、県庁所在地の推す声もあるという。駅案内所に置かれた観光ガイドも充実しており、廬山公園など自然と街並みがマッチしていた。

 次なる目的地は、巨大な複合施設であるスパハワイアンズで、俺たちが泊まったのはモノリスタワーだ。フラガールによるショータイムもウリのひとつで、月曜夜というのに会場はフルハウスの盛況だった。火を用いた男性ダンサー3人組によるポリネシアン舞踊が圧巻だった。リピーターが多いのか、体験タイムには100人もの観客がステージに上がってフラガールズと楽しんでいた。

 ショーの前にフラ・ミュージアムに足を運んだ。フラの歴史的、民俗学的な背景が掲示されている。神に捧げる儀式として出発したフラは、バリダンスやガムラン、沖縄の伝統舞踊に通底し、ムックリ(アイヌの笛)に似た楽器を用いている。人々は海を渡って広く交流していたのだろう。

 磐梯温泉では豪華な和食、スパは朝夕ともバイキングで、狂ったように食いまくった。まさに、食を堪能した旅だった。福島の野菜や果物は子供にとって安全とはいえないだろうが、俺ぐらいの年になると被害は小さい。俺は東京でも、福島産を率先して買うようにしている。

 チェックアウト後、タクシーで10分ほどの馬の温泉に向かう。昨年暮れ、当ブログで紹介した「祭の馬」(13年、松林要樹監督)の〝主馬公〟ミラーズクエストと違い、JRAの現役馬が手厚く繋養されていた。人懐こいクリノスーアンコーはデュランダル産駒の2歳牡馬で、既に1勝(1200㍍、未勝利戦)している。トレセン復帰も間近というから、出走したら応援したい。

 心と体(特に胃)で福島を感じる旅だった。俺が齧ったのは、北海道、岩手に次ぐ面積を誇る福島のほんの一部である。次回は原発事故被災地を中心に訪ねてみたい。
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