酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

「反原発1000000人大占拠」~鈍色の空の彼方に虹を見た

2012-11-12 23:04:47 | 社会、政治
 橋下徹大阪市長(日本維新の会代表)が遊説先で、「核廃絶は無理。日本は平和ボケ」と語った。場所は何と広島である。自民党や石原新党との連携の布石で、脱原発と距離を置く意思を表明したとみるべきか。

 昨日は「反原発1000000人大占拠」に足を運んだ。単独行動の身軽さで雨の中、抗議エリアをハシゴしたが、最も心に響いたのは、福島の子供たちの集団疎開を目指すグループのアピールだった。小中学生の多くが甲状腺にできた嚢胞に苦しんでいるが、山下俊一県アドバイザーは全国の専門医に、同地区の親子がセカンドオピニオンを求めても応じないよう通達を出している。山下氏個人を憎むより、陰で操る本当の悪魔(政官財)を炙り出す必要がある。

 チェルノブイリで起きたことを狭い日本に敷衍すれば、福島における放射能汚染は関東圏で暮らす人たちと無縁ではない。現地でも募っていたが、少しでも余裕のある方は「未来の福島こども基金」(口座名「チェルノブイリから日本を考える会」)に浄財を寄付してほしい。同様の趣旨で活動しているグループは他にもあり、寄付先を上記に限定するつもりはない。

 賛助会員ながら寄付だけで済ましているのが「反貧困ネットワーク」だ。宇都宮健児代表(前日弁連会長)が<反貧困>と<脱原発>を掲げて都知事選立候補を表明した。早引けした俺は見逃したが、昨日も国会前で「原発のない社会は優しい社会」とアピールし、拍手と喝采を浴びていたという。

 現状では民自公3党に担がれそうな舛添要一氏が最有力だが、宇都宮氏にも当選の目はある。3・11以降、欧米を席巻した直接民主主義への志向がこの国にも浸透してきた。市民グループだけでなく、国民の生活が第一、共産党、社民党、新党きずなも宇都宮支持だ。ポスト石原が宇都宮氏となれば、下戸の俺でさえ祝杯を挙げたくなる。メディアが中立の仮面をかなぐり捨てた今、読売、産経、週刊文春、週刊新潮は連携して宇都宮氏を叩き、東京新聞、仕事先の夕刊紙、週刊金曜日は支持の姿勢を明らかにするだろう。

 この間の経緯は、総選挙に向けたモデルケースになる。脱原発は様々な切り口があるが、言論の自由を含め、日本の構造を根底から捉え直すテーマといえる。生存権と子供の未来を問うだけでなく、日本再興のビジネスチャンスに十分なり得る。古賀茂明氏は公務員改革の本丸に据え、田中秀征氏が「SIGHT」最新号で「脱原発とTPPは両立しない」と述べていたように、アメリカからの自立という側面もある。

 脱原発派が志向するものは様々だが、小異にこだわっていては前に進まない。必要なのは坂本龍馬タイプのオルガナイザーだが、前提になる連合は既に形成されている。脱原発集会では、右派、中道、左派が恩讐を超えて共闘する光景が繰り返されてきた。

 昨日は雨の中、全国から多くの人たちが参加した。それぞれが自分のメッセージを伝え、ボードを掲げている。一人一人の思いの強さに感銘を受けた。ドイツの例を見てもわかるように、国会で脱原発派が多数を占めるまでには時間がかかるだろう。だが、俺は希望を持った。鈍色の空の彼方、微かに見えた虹は、決して幻ではなかったはずだ。

コメント
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