酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

石原3選に黄信号?~階級社会における都知事選

2007-03-20 02:06:01 | 社会、政治
 経済協力開発機構(OECD=先進30カ国で構成)の報告(06年)によると、日本の貧困率は加盟国中2位である。階級社会に移行した日本で、統一地方選挙が22日に告示される。首都決戦には石原慎太郎現知事、浅野史郎前宮城県知事、吉田万作氏(共産党推薦)、黒川紀章氏と濃いキャラがそろい、政策と離れた「政治ショー」の様相を呈してきた。

 一流の野次馬を目指す俺も、選挙戦を楽しむ準備を整えつつある。まずは最近3回の国政選挙(03衆院選、04年参院選、05年衆院選)の結果から、都内における各党の基礎票を調べてみた。平均獲得票数は自民党=200万票、民主党=213万票、公明党=81万票、共産党=53万票、社民党=29万票だ。基礎票の厚みと現職の強みで、石原氏優勢というのが直近の世論調査(朝日新聞)の結果だった。

 ところが昨日(19日)、思わぬ伏兵の出馬表明が波紋を広げた。創価学会員の桜金造氏が「打倒石原」を宣言する。タカ派の石原氏に学会が愛想を尽かしたとみるのが一般的だが、「報道ステーション」では学会票の浅野陣営流入を避けるための受け皿と分析していた。いずれにせよ、宗教団体がキャスティングボートを握る状況は健全と程遠い。<弱者の互助組織>として勢力を伸張させた創価学会が、<強者の仮面>を脱ぎ捨て、原点に回帰することを願いたい。

 俺が注目するのは勝敗ではなく、自らも一員である下層階級の選択だ。「強者の奢り」と「身内の論理」が露骨な石原氏だが、<階級>を超えた魅力があることも否定できない。もちろん、彼ら(我ら)の支持が浅野氏を浮上させるかもしれないが、そうなれば民主党は難題を抱えることになる。<社会主義は時代遅れ>を主張して政界再編を推進したのは、小沢一郎民主党代表その人である。階級社会の進行とともに需要を増すのは社会主義だ。米国型保守2党を志向した小沢氏が、かつて切り捨てた社会主義(社民主義)に乗っかって政権を目指すという<歴史の皮肉>に立ち会えるかもしれない。

 都知事選(75年)の敗北は、石原氏にとってトラウマになった。「選民意識」の塊である氏は、老境で負った傷を墓場まで引きずることは避けたいはずだ。かつて氏の秘書は、同選挙区の故新井将敬氏を中傷するビラを貼り、現行犯で逮捕されている。「殿の負け」を恐れる余り、陣営が再度、姑息な手段を用いることだってありうる。<低所得層への大幅減税>なんて「らしからぬ」公約を掲げてくれたら、アンチ石原の俺の気持ちも揺らぐかもしれない……。、

 最後に、船越英二さんの訃報について。市川崑監督とのコンビで、邦画史に残る傑作を世に問うた。「黒い十人の女」(61年)、「私は二歳」(62年)も印象的だったが、最高傑作は戦争の狂気と極限状態が描かれた「野火」(59年)だ。船越さんの鬼気迫る演技は、今も記憶の底に焼きついている。戦争が風化した今、若い人にはぜひ見てほしい。衝撃的な内容ゆえ、見る前に相当の覚悟が必要な作品である。とまれ、ご冥福を祈りたい。

コメント (6)
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