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ワイルド・サイドを歩け─ルー・リード追悼の続き2

2013年11月07日 | 音楽
 「ワイルド・サイドを歩け」は言わずと知れたルー・リードの代表曲の一つで、いろんな所でいろんな人が和訳しているのが見つかる。しかし今、あらためてレコードに付いている訳詞カードなども含めて目を通してみると、意外と自分にとっての決定版的な訳が見当たらないことに気づく。そしてまた、意外と誤訳が多いことも…──といって、自分だってスラングを含んだ洋楽の歌詞など、そう易々と訳せる自信はない。だが、少なくとも自分にとってはわかりやすい、また人にその魅力を伝えやすい訳というものはありえる。追悼に際し、こんな有名な曲を取り上げる予定はなかったが、あえて訳してみる気になった(いつものように、ここは違うのでは?という点があったら遠慮なく指摘お願いします)。

 以前に、マツコ・デラックスの「妄言」に関してエントリーを立てた。妄言の一つは「(日本のほかに)これだけふとこころが深い国がどこにあるんだよ!」というものだが、これに対しては簡単に答えられるわけである。「ある。それはアメリカだ」と。
 イリーガルな生き方に身をやつす実在の「オネエ」達(多くはアンディ・ウォーホールの「ファクトリー」に出入りし、リードとも面識のある)を紹介し、ワイルドだろお?と言うばかりか「おまえもワイルドになっちまえよ」と誘惑する淫靡な歌が、放送禁止にもならずトップ10ヒットになる国なのである。それも、今から40年も前の話である。
 マツコだって、ルー・リードくらい知っているはずだ(と思う)。彼のようなアーティスト(彼だけではない、彼の前にもパイオニアはいた*注)がアメリカに登場しなければ、日本のゲイやオネエ達だって、今ほど堂々とカミングアウトして生きていくことができただろうか。それを思えば、今日び、のうのうと「遅れてきたアジア」を見下すような位置から「日本社会は懐が深い」などと発言できる(ゲイの扱い云々の文脈ではないにせよ)ということが、僕には納得しづらい。自分の依って来たるところを、どう考えているのだろうか。ゲイじゃない人間に言われる筋合いはないと言われるかもしれないけど(そういう問題でもないんだけど)。

WALK ON THE WILD SIDE

ホリーはフロリダ州マイアミからやってきた
合州国をヒッチハイクで横断しながら
道すがら眉毛を引っこ抜き
足を脱毛して「彼」から「彼女」になった
彼女は言う、ねえあんた、危ない方を歩かない?
可愛いキミ、ヤバイ道を歩いてごらんよ

キャンディはロング・アイランドからやってきた
楽屋ではみんなのダーリンだった
だけど正気じゃなかったことなんてない
フェラチオしてくれる時ですら
彼女は言う、ねえあんた、危ない方を歩かない?
こっちのヤバイ道を歩いてごらんよ

そして黒人娘たちが歌う、
ドゥ・ドゥ・ドゥー、ドゥ・ドゥ・ドゥー、…

リトル・ジョーは一度だってただでやらせなかった
誰もがしっかり払わされた
こっちでお仕事、あっちでお仕事
ニューヨークって街は急き立てる
なあベッピンさん 危ない方を歩かないか?
俺も言ったよ、ジョー、ヤバイ方を歩こうぜって

シュガー・プラム・フェアリーが通りに出てきた
南部のソウル・フードが食える所を探してたんだ
アポロ座に出かけて 彼の踊りを見ておくべきだった
仲間は言う、よおシュガー、危ない方を歩こうぜ
俺も言ったよ、ベイビー、ヤバイ方を歩こうぜ

ジャッキーはひたすら暴走してる
一日だけのジェームス・ディーンになったつもり
それなら事故るのは当然で
安定剤を飲んでいたらなおさらだろう
彼女は言った、ねえあなた、危ない方を歩かない?
俺も言った、ハニー、ヤバイ道を歩いてごらんよ

そして黒人娘たちが声をそろえる、
ドゥ・ドゥ・ドゥー、ドゥ・ドゥ・ドゥー、…

※原詩つき
http://www.youtube.com/watch?v=0KaWSOlASWc

※同曲を含むアルバム『トランスフォーマー』の制作状況、背景を回顧するドキュメンタリー。「ホリー」「キャンディ」「リトル・ジョー」も登場。
http://www.youtube.com/watch?v=DmULNggIlt8

*注 すでに1950年代、バイヤード・ラスティンのようなラディカルな人物がいた。一方、男女の境界を壊す形で「性の解放」を体現するルー・リードやデヴィッド・ボウイーらロック・アーティストの台頭は、ハーヴェイ・ミルクのような70年代の活動家を少なからず勇気付け、人々の中に支持を広げる力になっていたはずだ。
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