湊かなえ「告白」
松たか子主演で話題になった映画の原作です。
一人称の小説ですが、章ごとのI(私ね)が違います。
一章目は一人娘を失った中学の女教師。
彼女は担任を受け持っているクラスに自分の娘を殺した犯人がいると、学期末のホームルームで告白します。
犯人やその母親などの一人称で話は進み、最後の章で女教師の復習が完結します。
誰も救われないけれど、それはそれでいいんだと思える小説でした。
何より今となれば時代錯誤になりつつある「少年法」に対する作者の強い思いがこの小説を生んだんではないかと思った、これがいちばんの感想。
巧妙化してくる少年犯罪とその闇に呑まれてしまう若者。
デジタル化についてこれない大人、盲目に過保護になる親。
一人娘が学校のプールで溺れ死んでしまった理由とは。
ある種陰湿な復習を実行する女教師。
ラストはあれでよかったのか、あそこしかなかったのか票が分かれそうなオチ。
う~ん、やはり親は子供に対して責任を取るべきだということか。
早い人なら一時間くらいで読めます。