アジア映画巡礼

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インド映画ポスターちょっと出し

2011-05-25 | インド映画

3月にインドから持って帰ってそのままになっていた、インド映画ポスターの包みをようやく開きました。3月15日の記事で紹介した、ムンバイのポスター屋さんで買ったものです。

あの時の記事には、前からつきあいのあるファクルッディーンさんのことを書きましたが、今回行ってみるとファクルッディーンさんのお店は閉まっていました。それで、向かいの店ガーンディー・フィルムのご主人に「お向かいの店、どうしたの?」と聞くと、「親父さんが病気でさ、閉めちゃったんだよ」とのこと。そう言えば、前はおじいさんが店の奥にいて、ファクルッディーンさんは出たり入ったりしてポスターを揃えてくれていたのでした。「あいつ、今は靴下を売ってるよ」ということなので、ポスター屋さんからは足を洗ってしまったようです。

そんなわけなので、今回はガーンディー・フィルムのご主人ヒマーンシュ・ガーンディー(何て素敵なお名前! サイレント時代の名優ヒマーンシュ・ラーイ+ガーンディーだなんて)さんにいろいろ揃えてもらいました。まず、昨年のナンバーワンヒット『肝っ玉男』 (原題:Dabangg)と、ラジニの『ロボット』 (原題:Robot)です。どちらもヒンディー語版のポスターです。(素人写真で、ポスター撮りが下手なのはお許しを)

英語版、というか、ローマナイズ版のポスターももちろん買うのですが、ヒンディー語版のポスターを買っておくと、もし日本で上映することになった場合、ここにあるスタッフの名前のヒンディー語表記からすぐにカタカナ表記ができるので便利なのです。よくある名前なら苦労しませんが、判断に迷う名前、特に長母音の位置がわからない姓がよくあるので、こういうものも買っておいたりします。

今回は、2010年のベスト10のリストをガーンディーさんに渡して、それぞれのポスターを集めてもらったのですが、残念ながら全部は集まりませんでした。ま、いつものことなので、しょうがないとすぐあきらめ・・・・・る私ではありません。映画館ナーズの横、昔ファクルッディーンさんの店があった前にポスター屋が出ていたはず、とそちらもアタック。ここで、足りなかった作品が2、3枚手に入りました。下のおじさんのお店です。店、というより屋台ですね。映画館ナーズの横、グラントロード駅に近い方の路地をずんずん入っていくと、運が良ければこのおじさんが店を出しています。

ベスト10の中で集まったもののうち、3月の沖縄国際映画祭で上映された『I Hate Luv Storys』と、それから今年に入ってのヒット作ですが、先日の記事でも取り上げた『変ちくりん、妙ちきりん、おかしな奴』のポスターをどうぞ。ポスターは何パターンかあるので、これらもデザインの違うのを2種類ずつ手に入れました。28日(土)に「インド通信」発送作業で我が家に来て下さった方にはお見せできるんですが....。

それから、ガーンディーさんのお店で、古い映画のポスターも手に入れました。「古いのもいっぱいあるぜ。要るかい? ただし、値段は張るよ」とのお誘いに「要る、要る!」と答えたら、助手のお兄ちゃんが倉庫に連れて行ってくれました。屋根裏部屋みたいな所に、三つ折りにしたポスターが山と積んであります。アミターブ・バッチャン主演作を中心に、あれこれ見せてもらった中から10枚ほど買ってきました。紙の質の悪さからして、どうやら公開当時のポスターのようです。新作ポスターが1枚20ルピー(約40円)なのに対し、1枚100ルピー(約200円)ですから、インドの物価からすれば結構いい値段です。

まず、絵としてきれいなアミターブ・バッチャン、シャシ・カプール主演作『幸福な妻の印』 (1979/原題:Suhaag)。相手役は、レーカーとパルヴィーン・ボービー、右上の年取った男性はアムジャド・カーンです。『炎』 (1975)の盗賊ガッバル・シン役で有名になった人ですね。

そして、絵としてはヘタウマ漫画みたいなんですが、いろんな意味でアミターブ・バッチャンとそのファンにとっては忘れられない作品『クーリー』 (1983/原題:Coolie)のポスター。それにしても、背後のクーリー仲間の絵、手を抜きすぎですが。

忘れられない作品、というのは、この『クーリー』でアクション・シーンを撮影中、鉄製のテーブルがアミターブのお腹を直撃、かれはヘリで病院に搬送され、手術を受けて九死に一生を得るという事件が起きたのです。1982年のことでした。アミターブの入院中は、病院の前にはすごい数のファンが集まり、彼の回復を祈ったと言われています。そして元気になったアミターブは、その秋デリーで開かれたアジア大会のスタンドに姿を現します。たまたま日本のテレビでアジア大会のニュースを見ていて、彼の顔を確認した私は天へも昇る気持ちに。インドから配信されたニュース映像だったらしく、結構長く彼の顔をアップにしてくれていたのですが、日本のアナはコメントできず。まあ、顔知らんわな~。

なお、そんな事件があったので、『クーリー』は結末が変えられています。イスラーム教徒のクーリーである主人公のイクバールは、最初悪のボスとの対決で銃弾を受けて死ぬ予定だったのですが、イスラーム教徒、ヒンドゥー教徒、キリスト教徒、シク教徒といった宗派を超えた仲間たちの祈りで助かる、という結末に変更されたのでした。ついでに、『クーリー』の主題歌とも言うべき歌「俺たちは世界中の重荷を運ぶ」のシーンも付けておきます。

余談ながら、「クーリー」はヒンディー語では「クリー」という発音になりますが、これが英語に入って「coolie」、中国語に入って「苦力(クーリー)」となったわけです。上のポスターの最初の「o」はクーリーの認識票が代用していますが、実はそこには認識番号として「786」と書いてあります。この前の5月14日の記事中、『壁』 (1975/原題:Deewar)の所でも挙げた数字ですね。この数字に関しては、また次の機会に。

 

 


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