アジア映画巡礼

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そろそろ本腰入れて『バーフバリ 伝説誕生』を語ろう<3>名優たちの競演

2017-02-21 | インド映画

『バーフバリ 伝説誕生』の今回のご紹介、第3弾は出演者たちの魅力についてです。

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出演者として真っ先にご紹介しないといけないのは、何と言っても主役のバーフバリ、それも二人のバーフバリを演じたプラバースですね。シンガポールで2015年夏にこの映画を見た時、こんな清潔感に溢れて、かつマッチョなテルグ語映画スターがこれまでどこに隠れていたのだろう、と思いました。1979年10月23日生まれなので、現在37歳。チェンナイ生まれとありますが、ご両親はテルグの人のようで、テルグ語映画の俳優クリシュナム・ラージュー・ウッパラパティの甥なのだとか。2002年にテルグ語映画『Eeshwar(イーシュワル)』でデビューして以来、ずっとテルグ語映画に出演を続けています。S.S.ラージャマウリ監督ともすでに2005年の『Chhatrapati(大王)』で一緒に仕事をしており、『バーフバリ 伝説誕生』が2作目です。『バーフバリ』の撮影が始まった2013年半ば以降はずっと本作にかかり切りで、結婚式も延期したほど。『バーフバリ』にこれ以上の人はいない、というハマリ役になっていますが、残念なのは声がちょっと軽めで、英雄としては重みがないこと。私が最初に見たタミル語版では、吹き替えの声がまさに英雄声であっただけに、タミル語版での公開でもよかったかも、と思ってしまいました。

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続いてご紹介したいのが、衛士隊長カッタッパ役のサティヤラージ。『チェンナイ・エクスプレス』(2013)では、ミーナの父親で地方のドンを演じていましたが、久しぶりにその姿を見て、年を取ったなあ、とショックを受けたものでした。1954年10月3日にタミルナードゥ州コインバトールに生まれたサティヤラージはもう62歳なので、当たり前と言えば当たり前なのですが、私が以前彼の作品を見ていたのは1980年代のこと。タイトルは忘れましたが、弟思いの頼れる兄貴を演じて「いい人」オーラ全開だった作品など、ラジニカーントやカマルハーサンのような花はないものの、惹かれる俳優でした。デビューは1977年で、すでに80本を超す作品に出演しているサティヤラージですが、本作のカッタッパは代表作の一つとなったのではと思います。「マハーバーラタ」の武術の師ドローナを彷彿させるようなたたずまいでありながら、自らを奴隷であると言って常に控え目な位置にその身を置く-武器商人アスラム・カーン(スディープ)ならずとも感銘を受けるであろう人物です。ところが、『バーフバリ 伝説誕生』のラストでカッタッパは衝撃の告白をし、それが後編へと繋がっていくのです。サティヤラージの名演技、じっくりとご覧になって下さいね。

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前述した、西方からやってきた武器商人アスラム・カーンを演じるスディープです。ラージャマウリ監督の『マッキー』(2012)では、ハエの攻撃にさらされた彼ですが、カンナダ語映画界のスターながら、テルグ語映画界やタミル語映画界からも引く手あまた。本作ではカメオ的出演でワンシーンのみながら、カッタッパとのからみということもあって、強い印象を残します。1973年9月2日生まれの43歳で、プレイバックシンガーとしても活躍しているスディープは、その声の良さを買われてナレーターや吹き替え俳優としても活躍中です。

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ヒロイン役のタマンナーは1989年12月21日生まれの27歳。最初に姿を現すのが、主人公シヴドゥの見る幻としてなので、その美しさはまるで天女のよう。その後女戦士として再び登場、粗末な戦闘服に素肌も汚れ放題の、強靱な女性を演じます。さらにシヴドゥと恋するシーンでは上のようなたおやかな美女に変身と、いろんな顔を見せてくれます。カーヴェリ川長治さんのブログでは、このシーンを「赤珠ちゃん。」滝のシーンに登場する天女を「白珠ちゃん。」と表現してあって、画面を見るたびに思い出し笑いをしてしまう私です。タマンナーは元々は北インドの人で、ムンバイ生まれ。タマンナー・バーティヤーの名前で出ることもあり、2005年にヒンディー語映画でデビューしてしばらくはヒンディー語映画に出演した後、南インドに活躍の場を広げ、今ではタミル語やテルグ語の映画で大活躍しています。演技力にも定評があり、様々な主演女優賞を受賞している女優です。

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女優でもう1人挙げたいのは、シヴァガミ役のラムヤ・クリシュナ。日本の観客には、ラジニカーント主演作『パダヤッパ いつでも俺はマジだぜ』(1999)で見せた、まさに怪演とでもよぶべき、ラジニのパダヤッパに執着する強烈な演技が記憶に残っているのではないでしょうか。今回は、亡き義弟の忘れ形見アマレーンドラ・バーフバリを我が子バラーラデーヴァと分け隔てなく育て、アマレーンドラ・バーフバリこそが王の器と見ると彼を王座に就かせるという、まさに「国母」とでも言うべき女性を演じています。彼女が出演するシーンは、いずれも緊張の糸がピンと張りつめ、心地よい興奮をもたらしてくれます。名優の風格が出て来たラムヤ・クリシュナは、1970年9月15日生まれとのことなので、現在46歳です。

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ほかの出演者もいい俳優揃いで、書き出すと切りがないのですが、最後に特異な役柄を演じている俳優を1人、ご紹介しておきます。上のおどろおどろしい出で立ちの人は、マヒーシュマティ王国を攻めてくる部族カラケーヤの長です。この部族、格好は原始的ながらなかなか戦争巧者で、マヒーシュマティ王国軍は押されてしまいます。カラケーヤ族は独特のクリック音が入った言語をしゃべり、マヒーシュマティの人々は、通訳を介さないとその言語が理解できません。とまあ、実にインパクトのある敵を登場させている『バーフバリ 伝説誕生』です。このカラケーヤ族の王を演じているのはプラバーカルという俳優だそうで、2010年に映画デビューを果たしているのでまだ若いのかも。悪魔的とも言えるカラケーヤ族の王を、貫禄たっぷりに演じています。

こんな風に、俳優たちの演技にも見どころがたくさんありますので、二度、三度と見て細部まで楽しんで下さいね。『バーフバリ 伝説誕生』の公式サイトはこちらです。では、また公開直前にお目に掛かりましょう。


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2 コメント

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新記事ありがとうございます😊 (ワカ)
2017-12-18 09:53:46
バーフバリの公式ツイッターアカウント様で紹介されていたので、こちらのシリーズを楽しく拝見させていただいておりました✨額に注目、の記事なども面白かったです。公式アカウント様が紹介されているので、信頼を持って拝見しておりました😊✨
一つ訂正がありますが、バーフバリのタミル語版吹き替えもプラバースさんです。なので、声についてはあくまで喋り方の好みの問題のように感じます💦私はプラバースさんの声がとても好きなので、該当部分のコメントは、このような公式アカウント様が紹介されるような記事ではなく、個人の感想的な記事で述べるべきに思えます。他の俳優さんについてはこのようなコメントがないだけに、残念です😔💦💦本当に、一個人の感想ブログでの意見なら気にならないのですが、オフィシャル様が紹介するような記事なのに、プラバースファンの人を傷つけるような個人的感想はわざわざ載せなくてもいいのでは…😭💦?
乱文失礼致しました🙇‍♀️こちらのコメントは承認されなくても大丈夫です💦😔
ワカ様 (cinetama)
2017-12-18 19:52:25
コメント、ありがとうございました。
初めにお断りしておきますが、このブログはcinetama個人のブログであり、それをどちら様がご紹介下さろうと、私個人の知見、見解、感想を綴るもので、映画の公式サイトとの関係はまったくありません。

そういう個人の執筆記事なので、時には間違いもあります。
これまでも、間違い訂正の記事はいくつも出していますし、訂正線を入れたものもあります。
間違いをあらためるのは当然で、訂正を出すことに関してはやぶさかではありません。

その上で『バーフバリ 伝説誕生』タミル語版のプラバースの声についてですが、私がタミル語版を見たのはシンガポールでのことで、その後『バーフバリ 伝説誕生』テルグ語版を日本公開前に見た時に書いた記事が、バーフバリ・ファンでいらっしゃるワカさんのお気にさわったのでは、と思います。
率直な感想を書いてお気持ちを傷つけてしまい、申し訳なく思っています。

タミル語版に関しては、当初スーリヤがプラバースの声を吹き替える、という記事が出ていて、2015年夏にシンガポールで見た時にはてっきりスーリヤの声のつもりで聞いていたのですが、その後、スーリヤではなく別の人が吹き替えた声だと、ある方から教えてもらいました。
また、YouTubeには、「『バーフバリ』のプラバースの声は私だ」というこんな映像もアップされています。
https://www.youtube.com/watch?v=Yt0BTno8Fpo
このシェーカルに加え、タミル語版の他のダビング・アーティスト(声優)たちにインタビューした映像もあるのですが、これらからすると、やはりタミル語版のプラバースの声は吹き替えられたのでは、と思います。
私もタミル語はわからないのですが、アマレンドラ・バーフバリ(父)とシヴドゥ(息子)の声は、それぞれ別人がやったようなことを言っている感じですね。

でも、テルグ語版はプラバース本人の声ですし、日本で公開され、ソフトに残るのは彼自身の声になるので、それでいいのではないでしょうか。
インド映画はアフレコが多いこともあって、自分の声が吹き替えられるのにはどの俳優もあまり抵抗はないようです。

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