アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

書き漏らした映画あれこれ

2016-08-23 | アジア映画全般

香港のホテルは、久しぶりに油麻地(ヤウマテイ)のホテルになりました。いつもは1万円以上していた海景[糸糸]麗酒店が税・サ込みで8,000円と安かったので、泊まってみたのです。このホテルの前は天后廟で、百老匯電影中心(ブロードウェイ映画センター)という映画館に行く時には必ずと言っていいほど通る道筋のため、何だか初めて泊まった気がしないのですが、部屋はまあまあ、デスクが極小なのが難点であるものの、工夫した作りになっていて感心しました。狭い部屋を広く見せるために鏡もうまく使ってありますし、ネットもさくさく、洗濯物もよく乾きます(洗濯おばさんの採点はこれが重要なのだ)。


あと何と、無料の携帯電話付きで、英語や中国語の画面に慣れるには絶好のチャンスです。ちょっといじってみましたが、うう、中国語のコマンドはわかりにくい...。それと、デスクに充電器が固定してあるのでホントに邪魔です。電話だけくすねても充電できないとタダののし餅(?)ですから、充電器を固定しておいてその気をなくさせようという作戦ですね。あと、湯沸かしポットもデスクに固定してあるんですよ(笑)。誰か、持って行っちゃったんでしょうね。しかし、固定するなら端の方にしてほしい(怒!)。というわけで、この狭いデスクの手前を使ってパソコンを打っています。


さて、シンガポールで紹介から漏れた作品と、香港で見た作品をさくっとご紹介してしまいます。シンガポールで見たのは、『Arrprentice(見習い)』という作品で、マレー語の映画と言うことから最初マレーシア映画かと思っていたのですが、シンガポール・ドイツ・フランス・香港・カタールの合作でした。監督は、『沙の城』(2010)で注目されたブー・ジュンフォン(巫俊鋒)です。

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日本もですが、シンガポールも死刑制度が残っている国です。殺人罪にはもちろん、麻薬関連の犯罪に関しては特に厳しく適用され、過去には旅行者でも麻薬を持ち込んで死刑になったことがありました。本作の主人公のアイマン(フィルドゥス・ラフマーン)は、マレー系の若い刑務官。中央刑務所に転属となり、やがて65歳の老刑務官ラヒーム(ワン・ハナフィ・スー)の存在が気に掛かるようになります。ラヒームは死刑執行の責任者で、実はアイマンの父は30年ほど前に死刑に処されたのでした。今は姉と暮らすアイマンは、両親を亡くしてから祖父に育てられた等の経緯で昔とは異なる姓になっており、父のことはばれずに刑務官になれたのですが、そうとは知らずラヒームはアイマンを見込んで自分の跡継ぎとして育てようとし始めます....。

APPRENTICE - Boo Junfeng Film Trailer (ENG Subtitles)

上が予告編ですが、どうにも暗い作品で、死刑の瞬間などがリアルに描かれているため、見終わってあと味が悪かったです。死刑廃止に向けての一石なのか、という点もよくわからない描き方で、現担当者のラヒームも、後任として見込まれたアイマンもマレー系シンガポール人にしてしまうのも、作り手側の偏見なのか、それとも刑務所内にある偏見に対する告発なのか、これもよくわかりませんでした。高野和明の小説「13階段」を思い出してしまいました。なお、ラヒーム役のワン・ハナフィ・スーは、先日日本でも上映されたマレーシア映画『世界を救った男たち』(2014)でも主役を演じていました。


香港では、シンガポールでわざと見ないで残しておいた映画『危城(危機の町)』を見ようとしたのですが、8月18日に公開されたばかりというのに、中心部の映画館ではもうどこも上映していません。そ、そんなに面白くなかったの? 陳木勝(ベニー・チャン)監督作品で、劉青雲(ラウ・チンワン)、彭于晏(エディ・ポン)、古天樂(ルイス・クー)に呉京(ウー・ジン)まで出ているというのに、これは一体?? というわけで、上写真のように青衣島の映画館まで出かける羽目に。朝イチの上映なので55香港ドル(715円)でした。ホントはシニア料金で、と言いたかったのですが、「長者カード(高齢者証)を見せて」と言われるに決まっているので、納税者ではない身としては正規料金を払ったのでした。でも、昨日百老匯電影中心で台湾映画『樓下的房客』(Ⅲ級片=成人映画で、セックスシーンやらS&Mやら猟奇殺人やらがテンコ盛り。九把刀の原作・脚本とは思えないウゲゲの作品でした)を見た時は、チケット売り場のお姉さんが「シニア料金ですね。外国人でも構わないんですよ」と言ってくれて20香港ドル(260円)にしてくれたんですけどね。

危城

それはさておき、『危城』は確かに気の抜けたソーダみたいな作品でした。時代は1914年。軍閥が跋扈し、世情が混乱していた時代、普城(フツーの町という意味にも取れる)という町を舞台に起きる、人を人とも思わない軍閥のバカ息子(ルイス・クー)と、町の警備を任されている楊団長(ラウ・チンワン)、そしてふらりと町に現れた「大俠」(エディ・ポン)の闘い、というお話です。バカ息子の警備役(ウー・ジン)が「大俠」の兄弟子、という設定で、この2人のラストの闘いを始め、ラウ・チンワンもたっぷりとアクションを見せてくれます。本当なら、見応えのある時代劇アクション映画になったはずが、どこかで見たストーリー、あまりにも狂気がだだ漏れすぎるルイス・クーのバカ息子、「大俠」というにはいまひとつオーラがないエディ・ポンなど、どうにも面白みに欠ける出来上がりでした。ラウ・チンワンもインディ・ジョーンズのようなムチを持ってがんばっているものの、アクション・シーンはやはり精彩に欠けます。アクション監督洪金寶(サモ・ハン・キンポー)の面白いアイディがいろいろ使ってあるので、何とも惜しいのですが、盛り上がらないことおびただしかったです。


もう1本見たのが『導火新聞線』で、これは旺角東駅のモールのUA Cine Mokoで見ました。ここは、シネコンのあるフロアにフィルムの絵が描いてあり、それを辿っていくとシネコンに着けるようになっています。シネコンの手前にはコーヒーショップがあるのですが、そこで軽く夕食代わりに、とホットケーキとレモンティーを頼んだら、こんなレモンティーが出て来ました。このレモンの切り方は、香港的にも、全世界的にも違うと思うぞ、スーパー・サンドイッチ。茶餐庁のコックならクビですね。


『導火新聞線』は全然期待しないで見たのですが、案外面白く見られました。「新聞」は中国語では「ニュース」の意味になります。日本語で言う新聞は「報紙」と呼ぶのですが、従ってタイトルの意味は、「火花散るニュースライン」とでも言うか、熾烈なネットニュースの競争を描いたものです。

導火新聞線HKTV The Menu.jpg

実は「導火新聞線」はもともとテレビドラマとして作られたもので、小さな方のポスターがテレビ版です。好評につき、テレビで演出を担当した3人のうちの1人、方俊華が監督となって映画版が作られたようです。そのため、冒頭にテレビドラマのダイジェストが出て来ますが、「スマート・ポスト」というネットニュース社に勤務するチーフの方凝(周家怡)、記者の樂嘉輝(王宗堯)、新米カメラマンの麥暁欣(ケイト・ヤン)らが、台湾を本拠とする「閃報」社と張り合いながら、ニュースを伝えていく、という内容です。映画のテーマになったのは「ダブル・ジョパディ」、つまり、一度判決を受けた者は同じ罪で二度と裁かれることはない、という問題で、強姦殺人で娘を殺された父(呉孟達/ン・マンタッ)がニセ証人を使って無罪になった有名人の男に復讐する、という事件が描かれていきます。ツッコミどころも多いのですが、ネット時代になってのニュース報道の苛烈な現状をうまく物語にしており、主人公たちがそれぞれに魅力的で、彼らの勢いに乗せられてしまいました。

《導火新聞線》電影版終極預告:打番場逆轉勝

この映画の公開は8月4日で、1日1回の上映とは言え、シンガポールで見た『使徒行者』『寒戦2』と並んで結構中心部の映画館でロングラン上映されています。この日も平日の夕方の時間なのに、若いカップルを中心に3分の1ぐらい席が埋まっており、人気のほどがうかがわれました。で、珍しくエンドクレジットが出始めてもほとんどの人が席を立たないなあ、と思っていたら、エンドクレジットで実際の記者たちが取材する写真がいろいろ使われていたほか、ラストのラストに本編と関連して、特首(タクサオ=香港特別行政区首長)を痛烈に皮肉るオチがついていたのでした。香港の観客、やっぱりすごいですわ~。

 

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