アジア映画巡礼

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香港国際映画祭レポート<4>新人監督コンペ(中国語圏映画)

2019-03-29 | アジア映画全般

香港国際映画祭では、コンペも行われます。「火鳥大奨(ファイアーバード・アワード)」というコンペで、「ヤングシネマ・コンペティション(中国語映画)」「ヤングシネマ・コンペティション(世界映画)」「ドキュメンタリー映画コンペティション」「短編映画コンペティション」の4つにカテゴリーが分かれており、それぞれに賞が授与されるようです。ここでは、「ヤングシネマ・コンペティション(中国語映画)」のご紹介をしておきます。

『幻土(げんど)』
2018/シンガポール、フランス、オランダ/95分/原題:幻土/英語題:A Land Imagined
監督:ヨー・シュウホァ (楊修華)
東京FILMeX2018で上映された作品。詳しくはこちらを。


『冬去冬又來』


2019/中国/110分/英語題:Winter After Winter
監督:邢健


日本軍が占領していた時代の中国東北部を舞台にした、貧しい農民一家の物語。ほぼ全編モノクロで撮られていて、冬の寒さがよけいに身にしみます。長男は子供を作る能力がなく、家が絶えると嘆く父でしたが、混乱の中で三男と長男の嫁ができてしまい、嫁が妊娠しているとわかると大喜び。ところがソ連軍が侵入し、日本軍がいなくなったと思ったら、そのゴタゴタで一家はほぼ全滅することに...。最前線に妻子を伴い、日本式の生活をするという、奇妙な日本軍将校中村も登場。日本人が演じているので日本語はまだしもですが、変なニッポンが描かれていてがっかり。


『再見南屏晩鐘』

2019/中国/107分/英語題:A Dog barking at the Moon
監督:相梓


主人公の出産シーンから始まる本作は、アメリカ人の夫を伴って帰国した主人公と、ずっと中国で暮らし、現在は金持ちとなった夫を持つ母。かつて父は若い男性と関係していた現場を母に見られ、それ以来夫婦仲は冷え切っています。そんな家庭の過去の姿もまじえながら、現代中国の家族像を描いていきます。フィックスの長回しが続く、ちょっとしんどい作品でした。


『星渓的三次奇遇』

2018/中国/100分/英語題:Three Adventures of Brooke
監督:竹原青


主人公は、マレーシアの地方都市アロールスターに遊びに行った中国人の若い女性。物語は3部に分かれ、いつも始まりは彼女の乗っていた自転車が道端でパンクするところから。第1部は、主人公は当地に勤務している父を訪ねてきた北京の女性で、通りかかかった同年配の女性に助けてもらい、彼女の家でパンクを直してもらって、一緒にアロールスターの町を回る、というもの。第2部ではパンクを助けてくれたのは男性3兄弟で、第3部ではパンクを機にフランス人の初老の男性と知り合う、というもの。こちらでは、主人公は文化人類学者で、夫を亡くした女性という設定になっています。どの回も映画としての面白さがなく、テレビの旅番組を見ているかのよう。

劇場で見て、あとで監督のQ&Aがあったのですが、「どうしてこういう3部作に?」という質問に監督は「アロールスターはあまり撮るところもなくて、こういう繰り返しのお話にした」と答えていて愕然。こういう作品をコンペになぜ選ぶ? と思ってしまいました。監督の名前が日本風になっているのも「カワイイ」好きのなせるワザかも知れず、監督自身も原宿竹下通りが似合いそうな人でした。


『乗客』


2019/中国/103分/英語題:Give Me a Ride
働いていた北京から、故郷の重慶に帰ってきた女性が主人公。最初に乗ったタクシーの運転手に名刺をもらい、後日もう一度祖父母の墓参りで運んでもらったことから、2人は恋人同士になります。運転手の方はひとり暮らしで年老いた母親を見ていますが、かつて結婚したことがあり、別に下宿している高校生の息子がいます。女性は自動車ディーラーに就職しますが、重い心臓病を患っていることがわかり、20万元の手術代が必要だと言われます...。家族の亀裂をこれでもかと描いていくのですが、主人公と息子が出会ってわかり合えるようになるシーンとか、いくつか心に響くシーンがあり、集中して見られました。ですが、ラストがちょっと不明。中国映画、かりやすいラストにするとダサい、というような考え方があるのでしょうか...。



『はじめての別れ[第一次的離別]』
2018/中国/87分/英語題:A First Farewell
監督:王麗[女那](リナ・ワン)
昨年の東京国際映画祭で上映された作品。詳しくはこちらを。

『過ぎた春[過春天]』
2018年/中国/99分/英題:The Crossing
監督:バイ・シュエ(白雪)
大阪アジアン映画祭でもコンペ部門で上映されましたが(詳しくはこちらを)、こちらでもコンペの候補作です。残念ながら、映画祭事務局で見られるオン・デマンド作品には入っておらず、一般上映は満席で入れず...というわけで、未見です。大阪アジアンでは、<来たるべき才能賞>を受賞していましたが、ご覧になった皆様、いかがでしたか?


『漫遊』


2018/中国/94分/英語題:Vanishing Days
監督:祝新


これも、とてもわかりにくい映画でした。両親と小学生の女の子、そして叔母が出てくるのですが、空間も時間も飛びまくり、登場人物のアイデンティティも移り変わって、何を言いたいのかまったく伝わってこない作品でした。

このコンペ作品のラインアップを見ても分かるように、東京国際映画祭や東京FILMeX、大阪アジアン映画祭などと重なるアジア映画が多くて、新しい発見が少なかった今回でした。ただ、とんでもない作品も上映されましたので、後日<5>としてご紹介します。お楽しみに。


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初めまして (milouchat)
2019-04-06 15:18:47
僕も24日から27日までHKIFFに参加し
映画祭で9本、一般映画館で2本を見ました。
HKIFF には3年前から通っています。
と言っても、実はアジア映画が好き(ですが)だからではなく、ヨーロッパ映画が好きで、昔はヨーロッパにばかり行っていたが、事情で近場にしか行けなくなった。でも残念ながら香港以外のアジアではヨーロッパ映画を見るチャンスが極めて少ない。
しかし映画祭なら確実に見ることができる。
と言うわけで映画祭狙いで年に数回アジアに出かけます。それでも今回見た9本のうち4本はアジア映画でした。僕が見たのは 「Hotel By The River」「群龍戯鳳」「乗客」「第一次的離別」です。
4本とも、それなりに(いや十分)楽しめる作品でした。
milouchat様 (cinetama)
2019-04-06 23:41:34
初コメントをお寄せ下さり、ありがとうございました。
今、HKIFFのプログラムでチェックしてみたのですが、ちょうど私と同じ頃、3月25~27日ぐらいに香港においでになったのでは、と思います。
東京国際映画祭が欧米の未公開作品お披露目の場になっているように、HKIFFも地元の人にとっては第一義的には欧米のいい映画が見られる場として機能しています。
ですので、milouchatさんの目の付け所は正解、というわけですが、ついでにアジア映画も楽しまれてよかったですね。

「Hotel By The River」はホン・サンス監督の『川沿いのホテル』で、昨年の東京FILMeXでオープニング作品として上映されました。
「群龍戯鳳」は懐かしい洪金寶(サモ・ハン・キンポー)作品『ペディキャブ・ドライバー』(1989)ですね。
あとの2作品はここに挙げていますが、私はあまり劇場で見る機会がなかったので、もし観客の反応で印象に残るようなことがありましたら、ぜひまたコメントをお寄せ下さい。

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