アジア映画巡礼

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来るぞ来るぞ!『マガディーラ 勇者転生』

2018-08-28 | インド映画

8月31日(金)から公開されるインド映画『マガディーラ 勇者転生』を、一足先にDVDで見せていただきました。こんな展開だったのか! いやあ、チョー面白いです。ざっくりとした筋は知っていたものの、思いもかけぬ超絶アクションシーンがあったり、ここは物語のキモだ、と思っていたインド版予告編シーンが、「そんだけなのぉ?」だったりと、予想を裏切ってくれる面白さがテンコ盛り。『バーフバリ』2作と比べると、「若書き(若描き)」ならぬ「若撮り」の感じを受けますが、公開当時大ヒットしたのがわかる、勢いと強烈な個性のある作品です。まずはデータからどうぞ。


『マガディーラ 勇者転生』 公式サイト
 2009年/インド/テルグ語/原題:MAGADHEERA/字幕翻訳:藤井美佳/日本語字幕監修:山田桂子

 監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 
 製作:アッル・アラヴィンド、B.V.S.N.プラサド 
 撮影:K.K.センティル・クマール 
 音楽:M.M.キーラヴァーニ
 出演:ラーム・チャラン、カージャル・アグルワール、スリハリ、デヴ・ギル、スニール、サラット・バーブ
 配給:ツイン

8月31日(金)より新宿ピカデリー、なんばパークスシネマほか、全国順次ロードショー!

©GEETHA ARTS, ALL RIGHTS RESERVED.

オープニング・タイトルでは、人数が数えられる声が聞こえてきます。「1人、10人、32人、...95人、99人!」その合間に意味深なセリフがはさまります。これはいったい...と謎めく始まりですが、舞台となるのは1609年の北インド、アーラーヴァリ山脈にあるバイラヴァコーナの地。今しも死に瀕したウダイガル王国のミトラ姫(カージャル・アグルワール)が、こちらも血まみれになった戦士バイラヴァ(ラーム・チャラン)に呼びかけます。「あの世にいくならせめて、妻として死なせて...」そして、谷底に落下していく2人。その後バイラヴァの鎧がウダイガル王国を攻めてきたシェール・カーン(スリハリ)の手によって荼毘に付され、「必ずよみがえれ」という言葉が掛けられます。

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そこから一転して時代は400年後に飛び、バイクレーサーのハルシャ(ラーム・チャラン二役)がカッコよく登場。友人(スニール)らが見守る中、掛け元の女(ムマイト・カーン)がこっそり引き上げたバーを見事に飛び越して、無事着地するハルシャ。賭け金を持ち逃げしようとした女を追いかける時に、ちょっとしたハプニングはあったものの、ハルシャには向かうところ敵なしなのでした。ところが、雨の中オートリキシャに乗って急ぐハルシャが、バスを待っていた女性と手が触れたとたん、電流を感じてしまいます。その女性インドゥ(カージャル・アグルワール)を追いかけているうちに、ハルシャはインドゥの従兄で、悪辣なラグヴィール(デーウ・ギル)とも知り合いになるのですが、実は彼ら3人には前世の因縁があったのでした...。

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お話はさほど複雑ではなく、プロローグを経て400年前の人物がそれぞれに転生している現代パートが調子よく進み、そしてまた400年前に戻って重厚な時代劇になるという構成になっています。どちらのパートでもソング&ダンスシーンにアクションシーンと見どころが満載ですが、現代パートではラーム・チャランの父で「メガスター」と呼ばれているチランジーヴィが特別出演する大サービスも。ここは、「もう1回上映して!」と叫びたくなる、超のつく見どころとなっています。チランジーヴィ、やっぱり貫禄はもちろんですが、色気も茶目っ気もあっていいですねー。息子を見事、翻弄しています。

Bangaru Kodipetta Full Video song || Magadheera Movie || Ram Charan, Kajal Agarwal

ラーム・チャランの方は、現代パートのチャラ男も時代劇パートの寡黙な戦士もどちらもハマリ役ですが、中でも現代パートで見せるクネクネダンスは絶品で、目を奪われます。特に上に付けた「Bangaru Kodipetta(金のめんどり)」は、ここ、ワイヤー使ってんじゃないの、と疑いたくなるようなシーンもあって、メイキングが見てみたいです。さらに、ラーム・チャランは何かにまたがる姿が優美で、現代パートのバイク、馬、そして時代劇パートの乗馬シーンが非常に美しく、ほれぼれしてしまいます。この点は、最後に付けたS.S.ラージャマウリ監督のインタビューでも語られていて、万人が認めるところなのだなあ、と感心しました。

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カージャル・アグルワールの方は、ミトラ姫の役はちょっとそぐわないものを感じる時がありますが、現代パートの方はいつものちゃきちゃき娘ぶりで、その派手な美しさが印象的。現代パートは脚本が少々ありきたりで、笑いの取り方なども陳腐なのですが、そのあたりが「若撮り」と言いたくなるゆえんです。宣伝さんから配布された画像の中に、本作撮影時のS.SS.ラージャマウリ監督の画像があったのですが、今から10年近く前なので、確かにお若いですね。

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さて、そんなラージャマウリ監督の公式インタビューを、宣伝さんが配信してくれました。ここに全文を貼り付けておきましょう。

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S.S.ラージャマウリ監督インタビュー 

インタビュアー:江戸木純

 Q:『マガディーラ 勇者転生』は輪廻転生を核にした物語ですが、監督は本作以前や本作に続く『マッキー』でもユニークな輪廻転生の物語を描かれています。監督が輪廻転生にこだわる理由と本作の構想はどこから生まれたのかを教えてください。

S.S.ラージャマウリ(以下、SSR):輪廻転生を扱う理由にさほど深い意味やこだわりはありません。現在と過去が交錯する面白くユニークなドラマを語るための装置のようなものですね。この映画に関して言えば、『バーフバリ』2部作と同じように父が物語の草案を練りました。部分的にはさまざまな神話や民話、過去の古典的な映画の要素も取り入れています。また、観客のみなさんに喜んでもらえるようにという商業的な視点から、現代と過去、それぞれのシーンで歌と踊り、そしてハードなアクションや格闘シーンを入れ込みました。 

Q:この物語はラージャスターンに栄えたウダイガル王国と現代のハイダラーバードという2つの場所で語られます。この2つの土地を設定されたことに何か特別な理由がありますか?

SSR:私は、ラージャスターンはインドの中で最も美しい場所のひとつだと思っています。美しい砦の数々をはじめ、広大で素晴らしいロケーションがたくさんあるのです。それらの場所は、私が400年前の物語を語るために完璧な場所ばかりでした。一方、私たちが熟知しているハイダラーバードはまさに現代都市で、現代の場面を描くのにこれ以上の場所はありませんでした。 

Q:『マガディーラ 勇者転生』の成功は、『バーフバリ』2部作の製作に対し、どのような影響を与えましたか? また、本作での経験が『バーフバリ』2部作に活かされた部分はありますか?

SSR:映画製作の最終権限は各作品のプロデューサーが持っていて、作品が実現するかどうかは、プロデューサーがいかにその物語を信じるかにかかっています。『マガディーラ 勇者転生』の場合は、プロデューサーが脚本をとても気に入ってくれ、その物語を語るために必要なテルグ映画史上最高となる高額な製作費を集めてくれました。『バーフバリ』2部作に関しても状況は同じで、他の作品の成功の影響というわけではなく、別のプロデューサーがその物語を信じて、莫大な製作費を集めてくれたのです。経験という面では、本作だけではなく、これまでのすべての作品の経験が次の作品に活かされています。VFXを多用し、多くのスタッフと共同作業を行ったこの映画での経験は『バーフバリ』2部作以上に、『マッキー』の企画の構想や製作実現に活かされたと思います。『バーフバリ』2部作はある意味さらに次元の違う挑戦でしたから。 

Q:『マガディーラ 勇者転生』は『バーフバリ』2部作以上に歌と踊りが作品の重要位置を占めています。特に冒頭の埠頭でのダンス・シーンはとても印象的ですし、ウダイガル帝国でのスペクタクル・ダンスシーンも素晴らしい見せ場となっています。この映画のダンス・シーンの創造の過程を教えてください。

SSR:第一に、ラーム・チャランが最高のダンサーだということはインドでは周知の事実で観客は彼のダンスに大きな期待を持っています。ですから、私は彼と彼の父親でもある伝説的なスター、チランジーヴィ氏とのダンス対決をこの作品で実現させたいと思いました。チャランにとっては父の前で踊ることは大きなチャレンジでもあります。彼はそれを見事にやり遂げ、素晴らしいシーンにしてくれました。ウダイガル帝国でのダンス・シーンは作品に優美さとスペクタクルな雰囲気を加えるために重要でした。有能な音楽監督のM.M.キーラヴァーニや素晴らしい歌手たち、ダンス・マスター(振付師)たちが常に最高の仕事をしてくれますので、ミュージカル・シーンを作るのはとても楽しく、実はそれほど難しい作業ではありません。 

Q:俳優ラーム・チャランの魅力を教えてください。

SSR:彼は常に物語を頭に入れ、自然体で演技します。踊りも抜群にうまいですが、特に乗馬の腕は抜群で、いくつもの場面でその技を発揮してくれました。本作で彼は全力を完全に出し切り、魅力の総てを発揮してくれたと思っています。 

Q:ヒロインのカージャル・アグルワール起用の理由を教えてください。

SSR:彼女の過去の出演作を見てエレガントで素晴らしい才能を持つ女優だということは知っていましたし、ぜひ一度私の作品に出て欲しいと思っていました。この映画では王女にふさわしい気品と美しさを持つ女優を探しました。同時に私たちのハードな撮影スケジュールにも合わせてもらわなければなりません。彼女はまさにそんな女優でしたし、完璧な仕事をしてくれました。

Q:悪役ラナデーヴ/ラグヴィールキャラクターは監督の作品の中でも特に強烈な存在です。あのキャラクターにモデルはありますか? 

SSR:私の映画の中には数多くの悪役が登場します。過去の作品では悪役は見た目も悪く粗雑なキャラクターが多かったのですが、本作ではヒロインが外見的には騙されそうなハンサムな悪役を設定しました。デヴ・ギルは、外見は良いが内面が悪魔のようなキャラクターを見事に演じてくれました。 

Q:この映画にはスケールが大きく、想像を絶するアクションとスタントの見せ場がたくさんありますが、あれらのアクション・シーンは監督のアイデアでしょうか?

SSR:アクション・シーンの撮影は私が最も好きで、得意とするものです。アクション・シーンがうまくいったときの気持ちよさは格別です。私はまず、私の考えや構想をアクション監督にしっかりと伝え、それぞれのアクションやスタントを構成してもらいます。実際のアクションとスタントの最終決定はアクション監督に任せます。本作ではアクション監督(ピーター・ハイン)との共同作業が完璧にうまくいき、最高の結果を出すことができました。彼とはその後の映画でも何度も組んでいます。本作のアクションではウダイガルでの「100人斬り」のシーンが特に気に入っています。100人以上のスタッフとキャストがひとつになった、思い出深いシーンです。 

Q:最後に日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

SSR:最初に、すべての日本の観客の皆様に『バーフバリ 王の凱旋』の大成功に関して感謝いたします。現在も上映が続いているというので驚いています。本当にありがとうございます。『マガディーラ 勇者転生』は『バーフバリ』2部作を応援していただいた皆さんなら、必ず気に入っていただける作品だと信じています。楽しんでいただければ幸いです。

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さあ、今週金曜日は『マガディーラ 勇者転生』にGO! 現代と400年前とを行き来しながらお楽しみ下さい。 

 

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