アジア映画巡礼

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敬老の日にピッタリの韓国映画『チャンス商会』

2015-09-21 | 韓国映画

本日は敬老の日。私も敬われる年代となりまして(笑)、本日はタダで近所の温泉に入れてもらってきました。普通の銭湯なのですが、お湯は天然温泉で真っ黒な色をしています。泡風呂もあって、とっても温まりました~。

さて、そんな敬老の日にピッタリの韓国映画が、この週末から公開されます。タイトルは『チャンス商会~初恋を探して~』。まずは基本データをどうぞ。

 

『チャンス商会~初恋を探して~』 公式サイト

2015年/韓国/111分/
監督:カン・ジェギュ
主演:パク・クニョン、ユン・ヨジョン、チョ・ジヌン、ハン・ジミン、ムン・ガヨン、チャンヨル(EXO)
配給:CJ Entertainment Japan
宣伝:上地(電波・紙媒体)/田中舘(WEB・モバイル媒体)

9月25日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

主人公は、白髪頭の70歳のソンチル(パク・クニョン)。チャンスマートというスーパーで働く、頑固で口うるさいおじいちゃんです。チャンスマートの社長チャンスは身内同然、社長の娘で高校生のアヨン(ムン・ガヨン)や、そのボーイフレンドであるミンソン(チャンヨル)にもガミガミと注意したりして、まったく遠慮会釈もないワンマン老人ぶりを発揮しています。ソンチルは街の再開発には絶対反対で、ただ1人書類にハンコをつかず、推進派をこまらせてもいます。そんなソンチルは独り暮らし。特に不自由はしていないのですが、自宅に一部屋だけ鍵がかかった部屋があり、どうしても扉が開かないのがいつも謎になっていました。

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ところがある日、道を隔てた家に、同じぐらいの老年の女性グンニム(ユン・ヨジョン)とその娘ミンジョン(ハン・ジミン)が越してきたことで、ソンチルの生活に少しずつ変化が出てきます。グンニムはチャンスマートの近くで花屋を開き、そんな彼女がだんだんと気になっていくソンチル。グンニムもまんざらでもない様子で、ついにソンチルはグンニムにデートを申し込み、チャンス社長のデート指南を受けてレストランでいいところを見せようとします。ひとまずデートもうまくいったのですが、ソンチルがグンニムの生活にだんだんと踏み込んでいくにつれ、思いもかけない事件が起こるようになっていったのでした....。

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

最初、頑固な老人を主人公にした恋物語のように見えた本作は、少しずつ様相を変え、最後に真実がわかる仕掛けになっています。同世代の美しい女性に恋していくソンチルの物語部分は、コミカルな演出で韓国映画お得意の人情ものとしてわかりやすく、そこにミステリーやファンタジーの要素がからみあってきてからは、見る者の頭に「?」が飛び交い始めて....と、達者な脚本と演出で観客を楽しませ、最後に「そうだったのか!」で涙することになるよくできた作品なのです。それもそのはず、監督であり、脚本を脚色したのはあのカン・ジェギュ。そう、『銀杏のベッド』(1996)、『シュリ』(1999)、『ブラザーフッド』(2004)、『マイウェイ 12,000キロの真実』(2011)と、大作、話題作、ヒット作をたくさん世に出してきたカン・ジェギュ監督なのでした。

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

これまで国家がかかわるようなスケールの大きな作品を作ってきたカン・ジェギュ監督ですが、どうしてまた、庶民の日常を誠実に描く作品に転じたのでしょうか。監督は特にその理由を語っていないものの、「本作を作る過程が一生続けば良いのにと思ったくらい、とても幸せで楽しかった。変わらぬ愛の意味について、今そばにいる誰かと一緒に分かち合える映画になればと思う」という監督の言を聞くと、そういえはこの監督は、常に人の情をたっぷりと描いてきた人だった、と思い出しました。男女の愛情、兄弟の人情、ライバル同士の友情と形は違っても、大局の中の人間をしっかりと描き、感動作を作るのに長けていたカン・ジェギュ監督。その力が、今度は身近な社会を舞台にして発揮された、ということなのでしょう。

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

監督の意図を上手に体現している出演者たちですが、中でもチャーミングなのがグンニムを演じるユン・ヨジョン。これまでの出演作、『ハウスメイド』(2010)や『自由が丘で』(2014)で見せてきたような、しゃきっとしたきつい女性像からは打って変わって、かわいくてやさしいグンニムを演じてそれはそれは魅力的。しぐさや表情に惹きつけられてしまいます。声のトーンまで変えているようで、女優魂を見る思いでした。

(c)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

ほかに、K-PopグループEXOのメンバーの1人チャンヨルが出演しているのも話題になっています。高校生役にはピッタリのチャンヨル、私服姿もかわいいですが、制服姿がよく似合っています。

この紹介を書くために調べてわかったのですが、『チャンス商会』の「チャンス」は英語の「chance」ではなく、「長寿」の韓国語読みだとか。そういえば、主人公ソンチルが勤めるチャンスマートの名前は、社長の名前チャンスからつけられたのでした。親が長寿を願って付けたであろう「長寿(チャンス)」という名前、それもまた、この作品を読み解くキーワードの一つになっています。カン・ジェギュ監督の職人技、ぜひご覧になってみて下さい。予告編はこちらです。

映画『チャンス商会~初恋を探して~』予告編



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