アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFF2017:私のDAY2

2017-10-28 | アジア映画全般

今日は朝フィリピン映画『アンダーグラウンド』の試写を見るはずが、六本木に着いてみると体調思わしくなくてパス。1時間ほどしたら回復してきたので、オン・デマンドで別の作品を見ることにしました。TIFFの映画祭パスはいくつかの段階があり、私のパスはオン・デマンドの上映が見られるパスなのです。ただし、全部英語字幕のみで日本語字幕はありません。家のパソコンでもちょこちょこ見ていたのですが、六本木会場にもパソコンで見られる部屋があるので、そちらに行ってみました。というわけで、本日はパソコン画面で見た『詩人の恋』を皮切りに、4本見てきました。

『詩人の恋』
 2017/韓国/英題:The Poet and the Boy
 監督:キム・ヤンヒ
 主演:ヤン・イクチュン、チョン・ヘジン、チョン・カラム


舞台は済州島。主人公の詩人(ヤン・イクチュン)は、サークルで自分の詩を誉められたりけなされたりすると一喜一憂している気弱な男。ほかに学校でも非常勤で詩作を教えているのですが、生計はもっぱら妻(チョン・ヘジン)が働いて支えています。妻は子供を望むものの、詩人は精子の数が少ないとかでなかなか妊娠しません。妻に責め立てられて食欲もなくした詩人でしたが、なぜか近所にできたドーナツ屋のドーナツには夢中になり、とりつかれたように食べまくります。そして、ドーナツ屋に通ううちに、そこで働く青年(チョン・カラム)が気になり始めます...。

滑り出しは笑いも含んだストーリー展開なのですが、後半、詩人と青年が接近するにつれてちょっと息苦しい場面が多くなります。ヤン・イクチュンが冴えない詩人をさらりと演じていて、やっぱりうまいなあ、この人、と思わせられました。こんなに俳優として引っ張りだこでは、監督作品を作っている暇がありませんよね。


『怪怪怪怪物!』
 2017/台湾/原題:報告老師!怪怪怪怪物!/英題:mon mon mon Monsters
 監督:ギデンズ・コー(九把刀)
主演:鄧育凱(トン・ユィカイ)、蔡凡煕(ケント・ツァイ)、劉奕兒(ユージェニー・リウ)、陳珮騏(チェン・ペイチー)

Mon mon mon MONSTERS.jpg

今夏香港で上映中だったので、見に行こうかどうしようか迷ったのですが、私の好みとは合わない感じだな、と思ってパスしたら、やっぱり私にはヘビーすぎました。ある高校を舞台に、クラスのいじめられっ子(トン・ユィカイ)がいじめっ子のリーダー(ケント・ツァイ)に無理矢理仲間に引き入れられる、というのが導入部です。いじめっ子4人+いじめられっ子は先生に命じられて奉仕活動に行き、老人の世話をしているうちにそこに出没するゾンビを学校に連れて来てしまいます。ゾンビ姉妹の妹の方で、姉は妹を捕まえられた復讐に、高校生たちを襲い始めます...。

とにかくいじめがすごいやり方で、それだけでもう吐きそうになってしまいました。彼らは捕まえたゾンビもいじめ抜き、そのやり方たるや凄惨そのもの。スプラッタ・ホラーと言えるのでしょうが、むき出しの悪意の方が恐ろしく、私にはちょっと勘弁してもらいたい映画でした。


©Star Ritz International Entertainment Co., Ltd.

『ビオスコープおじさん』
 2017/インド/英題:Bioscopewala
 監督:デーブ・メーデーカル
 主演:ダニー・デンツォンパ、ギーターンジャリ・ターパー、ティスカー・チョープラー、アーディル・フセイン

©HANDMADE FILMS PVT LTD AND STAR INDIA

ラビンドラナート・タゴール原作の「カーブルから来た果物売り」を元に作られた映画は、1961年のバルラージ・サーハニー主演作『Kabuliwala』がつとに有名ですが、その映画を下敷きにした作品です。コルカタに住む有名なファッション写真家ロビ・バス(アーディル・フセイン)は、アフガニスタンに行く直前にパリに留学している娘ミニー(ギーターンジャリ・ターパー)に電話しますが、ミニーはその電話を無視してしまいます。ところが、ロビの乗った飛行機は墜落し、ミニーはあわててパリからコルカタへ戻って来ます。ちょうどそこへ、父が長年保釈を要請していたラフマト・ハーンが恩赦で釈放された、という知らせが入ります。父の助手のような存在であるボーラーが説明してくれ、やがてミニーも幼い時にかわいがってくれた「ビオスコープおじさん」のことを思い出します。彼は殺人犯として収監されていたのですが、事実を突き止めようと、ミニーはボーラーと共にゆかりの人を訪ね歩きます....。

「ビオスコープおじさん」は戦乱のアフガニスタンから逃げてきた人で、約20年前のヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の対立事件の時ミニーを守ってくれた人、という設定になっています。アフガニスタン人、行商人、ミニーの守り手、という「カーブルから来た果物売り」の基本設定を生かしながらも、まったく違ったストーリーに仕立て上げていることにまず感心しました。サスペンス風味も効いていて、ラストまで観客を引っ張っていってくれます。

今回はプレス向けの上映で見たのですが、デーブ・メーデーカル監督(上写真)は上映前とあとにきちんと入り口に立っていてくれて、ほんの立ち話ですがインタビューもできました。

Q:監督は、姓からマハーラーシュトラ州ご出身とわかりますが、タゴールの作品をベースにしたのはなぜですか?
監督:父はマハーラーシュトラの姓ですが、実は母はベンガル人なんです。子守歌はいつもベンガル語の歌で、タゴール・ソングとかよく聞かせてくれました。ですから、タゴール作品にも小さい時から親しんできたんです。

Q:主役のアフガン人にダニー・デンツォンパを起用したのはなぜですか?
監督:アフガニスタンには、大きな部族が2つ存在します。パシュトゥーン族とハザーラ族です。このうちハザーラ族はモンゴロイドの顔立ちなんですね。ですので、シッキム出身のダニーにはぴったりです。それから、ダニーは以前アミターブ・バッチャンの主演作『Khuda Gawah(神に誓って)』(1992)に出演していて、その時にアフガニスタン・ロケに行っているのです。今回は、その時の彼の経験にとても助けられました。

というわけで、疑問が2つ解けました。上の写真は、メーデーカル監督と奥様です。ヒロインを演じたギーターンジャリ・ターパー(『汚れたミルク』などにも出演)もとてもきれいでしたが、デリー出身という監督の奥様もすごく美人の方でした。

 

『ヤスミンさん』
 2017/マレーシア/ドキュメンタリー/英題:Yasmin-san
 監督:エドモンド・ヨウ

©Greenlight Pictures

石坂健治プログラミング・ディレクターの推薦作品で、『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』(2016)の行定勲監督作品「鳩 Pigeon」のメイキングを中心に、ヤスミン・アフマド監督の軌跡をも辿ります。行定監督の「鳩 Pigeon」の主人公はヘルパーのヤスミン(シャリファ・アマニ)なので、このドキュメンタリーは2人の「ヤスミンさん」を追いかける作品というわけですね。冒頭でシャリファ・アマニがヤスミン・アフマド監督と初めて出会った時のことを語り、彼女のユニークさを余すところなく伝えてくれます。また、エドモンド・ヨウ監督はホームビデオらしき映像をたっぷり使って、ヤスミン・アフマド監督が若き日に両親や妹のオーキッドと戯れている姿も見せてくれます。

ヤスミン・アフマド監督やシャリファ・アマニのファンはもちろん必見ですが、行定監督(上写真)の語りも面白く、幼い頃の鳩を介した元ヤクザのおじさんとの出会いなど、胸にしみるエピソードを語ってくれます。行定監督ファン、ひいては日本映画ファンも必見と言えますね。実は上の行定監督のお写真は、この上映と時間が重なってしまった国際交流基金のパーティーに行った時に撮ったものです。ラスト30分弱という時間になってやっと会場に行けたので、どなたももういらっしゃらないなあ、と思っていたら、突然行定監督からお声を掛けていただいたのでした。お話を聞くと、タゴール文学もよく読んでいらっしゃるそうで、インドへの関心も高いようです。先ほどの『ビオスコープおじさん』もご覧になり、「作りがしっかりしていますよねえ」と誉めて下さっていました。さらに、「実はあの監督とその前に青山ブックセンターで会ったんですよ。洋書の置いてあるところはどこだろうか、と尋ねられたんですが、まさかあの映画の監督だったとは」とびっくりのエピソードも教えてもらって、今日は大満足の1日となりました。

明日は「インド通信」の発送作業日なので、TIFFは欠勤します。また雨になるようですが、皆さんはTIFFの映画を楽しんで下さいね。 



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