アジア映画巡礼

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ムンバイで見た3本の映画

2019-03-17 | インド映画

ムンバイでは、あと3本の映画を見ました。うち2本は偶然にも、日本でも公開作品がある監督の作品です。

『Mere Pyare Prime Minister(僕の愛する首相へ)』
 監督:ラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラー

Mere Pyare Prime Minister poster.jpg

サルガム(アンジャリー・パーティル)はスラムに住むシングル・マザー。8歳になる息子カヌーと2人暮らしですが、近所の人たちや、サルガムを密かに愛している若者らに助けられながら、毎日を過ごしています。そんなある日の夜、トイレのために人気のない所に行こうとしたサルガムは、地区の顔役(マルカンド・デーシュパーンデー)にレイプされそうになりますが、通りかかった警部と巡査の2人組に助けられました。ところが、顔役を追い払った警部は、自身がサルガムにレイプを働きます。見て見ぬ振りの巡査。ショックを受けたサルガムは元気をなくし、それを見ていられないカヌーは、モーディー首相に手紙を書いて、それを届けにニューデリーの官邸まで友人と出かけて行きます。担当官(アトゥル・クルカルニー)は丁寧に接してくれ、「スラムにトイレを作って下さい」というカヌーの手紙を首相に届けると約束してくれました。そしてしばらく経ったある日、スラムの一画に共同便所が建設され始めます....。

Mere Pyare Prime Minister | Official Trailer | Rakeysh Omprakash Mehra | March 15th

う~ん、『ミルカ』のラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラー監督、どうしちゃったんでしょうね。手軽に作った児童映画、という感じで、評価できるポイントがありません。『Mirzya』(2016)は全然ヒットしなかったので、違う路線を狙ったのでしょうが、以前の腕の冴えが見られません。がんばれ!

 

『Photograph(写真)』
 監督:リテーシュ・バトラー(『めぐり逢わせのお弁当』)

Photograph (2019 poster).png

ミローニー・シャー(サーニヤー・マルホートラー)は寡黙な女子大生。でも成績はピカイチで、先生(ジム・サルブ)のお気に入りでもあります。家族とエレファンタ島へ遊びに行った帰り、ミローニーはインド門前の広場で、写真屋のラフィー(ナワーズッディーン・シッディーキー)に「記念に写真をいかがですか?」と声を掛けられます。写真はその場でプリントアウトでき、プリントした写真を見ている時にミローニーを探す声が聞こえ、彼女はそのまま行ってしまいます。自分の手元にも残った彼女の写真に、なぜか心引かれるラフィー。男性5~6人が雑魚寝する下宿に戻ったラフィーは、彼女の写真を見ながら故郷の祖母に手紙を書きます。「いつも結婚を勧められてるけど、僕にも好きな女性ができました...」ラフィーが一生懸命働いているのは両親が作った借金の返済のためで、祖母はそんな彼を心配し、いつも結婚話を書き送ってくるのでした。ところが、ラフィーの手紙を受け取った祖母が、ラフィーの彼女に会うため田舎からムンバイに出てくるという連絡が入ったからさあ大変。窮地に陥ったラフィーはミローニーを探し出し、「祖母がいる間だけ、フィアンセのふりをしてくれませんか」と頼みます。意外にもミローニーはそれを承諾し、奇妙なデートが始まります...。

Photograph – Official Trailer Starring Nawazuddin Siddiqui and Sanya Malhotra | Amazon Studios

インドのAAフィルムとアメリカのアマゾン・スタジオの共同製作作品で、リテーシュ・バトラー監督がまたムンバイに戻ってきました。ですが、今度はちょっと作りすぎの感が。『めぐり逢わせのお弁当』でも、通勤電車内でナワーズッディーン・シッディーキー演じる人物が野菜を刻むというシーンに疑問が湧いたのですが、今回は最初の方のラフィーとその仲間たちのシーンにわざと感が漂ってしまい、いまひとつでした。ラフィーが毎月月末に送金しては、自分へのご褒美なのかクルフィー(インド式アイスクリーム)を食べる、というのなど、共感できるシーンも多かったのですが、ミローニーの人物像にも不自然さが目立ちました。ミローニーの家のお手伝いさんで、2人のデート現場を見てしまう人物に『裁き』や『ガンジスに還る』のギーターンジャリ・クルカルニーが扮しています。

 

『Anandi Gopal(アーナンディー・ゴーパール)』(マラーティー語映画)
 監督:サミール・ヴィドワンス

Anandi Gopal (2019)

実在の女性の伝記映画で、19世紀末にインドで最初の女医となった女性の短い生涯を描きます。9歳のアーナンディー(バーギャシュリー・ミリンド)が嫁ぐことになったのは、20歳近くも年上の男やもめゴーパールラーオ・ジョーシー(ラリト・プラバーカル)でした。ゴーパールラーオはボンベイ(現ムンバイ)に近いカリャーンの郵便局員でしたが、進歩的な考え方の人物でした。彼は女子教育の重要性をよく知っており、妻アーナンディーにも半強制的に勉強をさせます。やがてアーナンディーは14歳の時に妊娠し、出産しますが、赤ん坊はすぐに亡くなってしまいました。以後、ゴーパールラーオは「子供が亡くなったのもちゃんとした医療を受けられなかったからだ。妻には西洋医学を学ばせよう。西洋人の行く学校へ行かせるんだ」という考えに取り憑かれます。そして、西洋人の女学校への入学が許可されるのですが、アーナンディーは学校で手ひどい差別を受けます。でも、優秀だった彼女はやがて、夫の尽力によりアメリカの女子医大に入ることができます。同級生には、日本からの留学生岡見けいもいました。アーナンディーは熱心に学びますが、やがて肺結核が彼女をむしばんでいきます....。

Anandi Gopal Trailer | Zee Studios | 15 Feb 2019

フェミニズム映画大流行の昨今ですが、男性偉人実録映画ブームが一段落して、今度は女性の伝記映画がたくさん作られそうな気配です。アーナンディー・ゴーパール・ジョーシーについてはこちらが詳しいですが、本作がヒット中なのは、教育をうけさせようとした夫と、彼の理想を実現させようとした妻、という愛情物語がしっかりと描かれているからでしょう。反イギリスの運動が盛り上がる中、村人たちの反対にもかかわらずイギリス系の学校に入れさせようとする夫も鉄の意志を持った人なら、それに従って他のイギリス人女生徒のいじめにもめげず、しっかりと学ぶ妻もダイヤモンド級の意思の強さを持った女性です。でも、アーナンディーを演じるのが、とっても小柄で童顔の女優さんなので、そこはかとないユーモアも漂い、なかなかチャーミングな作品に仕上がっていました。ギータンジャリ・クルカルニーが母親(義母?)役ででていましたが、この人本当に、あちこちの作品にひっぱりだこですね。ラストシーンというかエンドロールのインドの女性偉人総なめはあまり好みではありませんでしたが、なかなか面白かったです。

この映画を見た時の映画館のことなど、あとまだちょっとムンバイの小ネタが続きます。

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