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アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

ムンバイ北部に行ってみました

2025-03-01 | インド映画

ムンバイは私自身の中では、3つの地区に分かれます。南から「シティ」、そして「アンデーリー以南」と「アンデーリー以北」です。「シティ」はいわば旧市街地で、イギリス統治時代の古い建物などが数多く残っている地区ですが、近年映画館が少なくなり、映画を見るには不便になってきました。シティの北限?はマーヒムで、バンドラに入ったら新市街、という感じになります。前にも書きましたが、ムンバイでオート(トゥクトゥク)が走れるのはバンドラまで。旧市街地区には入れません。というわけでバンドラ南部には、乗り換え客待ちのタクシーが何カ所かに停まっています。

バンドラからアンデーリーまでは、華やかなジュフー海岸なども含めて、ハイソな区画がある一方、サンタクルズの駅前マーケットなど庶民の市場もいろいろある、面白いところです。ちょっと北のマーラードあたりまでを含めてショッピングモールも多く、従って映画館もモール内に必ずあるので映画を見るのに便利です。そのさらに北となると、たまに映画を見るためにオートを走らせたりしましたが、ターネー市までの間は私にとっては馴染みの薄い場所、という感じだったのでした。

で、昨日はちょっと知らない所へ行ってみよう、と、ゴーレーガーンオという地区に行ってみました。Movie Time Hub Mallというのが映画館の名前に出ていたのですが、なんかローカルなネーミングが感じられて、多分私の好きそうなモールでは、という感じがします。ネットで調べたところによると、ここで11時30分からタミル語映画の『Dragon(ドラゴン)』、続いて2時15分からヒンディー語映画の『Super Boys of Malegaon(マーレーガーンオのスーパー・ボーイズたち)』をやっているので、2本みられそうです。よし、10時に出て列車の快速で行けば、間に合うだろう。

ホテルを出る時レストランのボーイさんと行き合い、「今日はどこへ?」と言われたので「ゴーレーガーンオまで行くの、列車で」というとちょっとびっくりしたような顔をされて、「列車は安いからね」とちゃんと私の意図を汲んでくれたのでした。ウーバーを呼んだりしたら、多分500~600ルピーするところが、列車なら10ルピーですからね。心強い庶民の味方です。で、チャーチゲート駅でうまく快速にも乗れました。主要駅だけ停まるもので、チャーチゲート⇒ムンバイ・セントラル⇒ダーダル⇒バンドラ⇒アンデーリー⇒ボーリーワリーと停まって行くので、上写真のアンデーリー駅で普通列車に乗り換えないといけません。しかし、鼻歌歌っていられたのはバンドラまでで、その先は、これが快速?「快」も「速」もないじゃない、というノロノロ運転ぶり。イライラしながらアンデーリーまで行ったのですが、途中でがら空きの車内に私と同じ座席に乗っていた女性に、アンデーリーでの乗り換えについて聞いてみました。すると、ちゃちゃっとスマホで列車時刻表アプリを見てくれて、「到着ホームとは別の3番ホームよ」と教えてくれました。次は何時何分発のがある、とかもわかって便利ですね、そのアプリ。

というわけで無事に乗り換え、ゴーレーガーンオ(上写真)で降りたらまた試練が。駅前に停まっているオートは、ハブモールに行ってくれないのです。「あの向こうの店が見えるだろ。あの前に停まっているオートに乗りなさい」で、行ってみると相乗りオートで、3人が窮屈な格好で乗り、目的地へ。結構時間がかかりました。相席の男性2人のうち一人はプネーから出てきたばかり、というサラリーマン風の人、もう一人は若いフリーで仕事をしているみたいな人でした。着いたら運賃は合計50ルピーだと言います。若いお兄さんはさっさと20ルピーを「じゃ、ぼくの分」払って行ってしまいます。私も20ルピーを出して、「これでOKよね」と道を渡ってモールに行こうとすると、サラリーマン氏が「戻ってこい」と手でおいでおいでをします。「どしたの?」「5ルピーおつりだよ」えー、何と正直な。自分だけ10ルピーで得するのがイヤだったんでしょうね。真面目なサラリーマンさんで、「じゃ、よい1日を」と去って行きました。で、モールですが、こんな感じです。

むむ、どうもハイダラーバードのプラサードみたいに、映画館に飲食店とちょっとしたお店がくっついたモール、ということらしいです。2階には電気量販店が入っていたりして、映画館は3階です。量販店の前には、シャー・ルク・カーンがいました(笑)。スマホといい、ペプシのサムズ・アップの広告といい、シャー・ルク・カーンの顔はインド全国街のすみずみにまで広がっています。

映画館のチケット売り場は1階にあり、何と、インド映画の父ダーダーサーヘブ・パールケーの写真(下写真の右上)まで飾ってありました。どういう映画館なの、ここ?

独自のシネコンなのか、お昼ご飯がわりにホットコーヒーとチキン・ハンバーガーを頼んだら、190ルピーと大手シネコンの半額以下。販売員はむくつけきプロレスラーみたいなおじさんでしたが、ニコッとしてバーガーを温めてくれ、コーヒー(単体だと70ルピー)も嬉しそうに淹れてくれて、こっちも楽しくなりました。大手シネコンも、これぐらいの値段にしてほしいわ~。で、映画をちょこっとご紹介。

『Dragon(ドラゴン)』
 監督:アシュワト・マーリムットゥ
 主演:プラディープ・ランガナーダン、アヌプマ・パラメーシュワラン、カヤードゥ・ローハール、ミスキン、G.V.メーナン

2014年、コンピュータ・サイエンスを専攻する大学生のラーガヴァン(プラディープ・ランガナーダン)は優秀な学生でしたが、失恋がもとで180度転換、「ドラゴン」というあだ名の札付き学生になってしまいます。学部長は彼を目の敵にして、単位を取って卒業しろと言いますが、結局学位を取らないままラーガヴァンは大学を出ます。しかし、やりたい放題をやった「ドラゴン」は、多くの仲間や後輩にとってはあこがれの人物でした。卒業後も、両親(ジョージ・マリヤン)には企業勤めとウソをつき、仲間とぶらぶらしては毎日を過ごすラーガヴァンでしたが、ある時「学位を偽造した」という男ゴウタムに出会い、彼の裕福な暮らしを見て、自分も学位を偽ることを決心します。ブローカーの助けを借りて学位を手に入れたラーガヴァンは、IT企業の社長(G.V.メーナン)に気に入られ、就職も果たします。しかし、恋人だったキールティ(アヌプマ・パラメーシュワラン)は去り、ラーガヴァンは傷つきますが、すぐに富豪(K.S.ラヴィクマール)の娘パッラヴィ(カヤードゥ・ローハール)と恋仲になり、アメリカ勤務の話も出て人生は順風満帆かと思われました。

ところが、テレビニュースでゴウタムが経歴詐称で逮捕されたことを知り、ラーガヴァンは真っ青になります。こうして学部長の言に従い、大学に戻って単位を取る決心をしたラーガヴァンでしたが、それを会社や恋人パッラヴィに隠してやらねばならず、たびたび危機に見舞われます。さらに、大学にはキールティが講師として勤務しており、かつての「ドラゴン」を慕う「ちびドラゴン」が学内で暴れていました。ラーガヴァンは果たして、全科目に合格して学位を取れるのでしょうか...。

何ともめまぐるしい作品でしたが、主人公を演じるプラディープ・ランガナーダン始め、若者に人気のある人たちが出演やカメオ出演しているらしく、ほぼ20代の青年ばかりという10数人の観客には、登場するたびに大ウケでした。そしてこのプラディープ・ランガナーダン、ダヌシュの弟か息子か、と思えるぐらい、ダヌシュそっくりなのです。背はもっと小柄なので、この先ダヌシュほどの人気が出るかどうかは疑問ですが、くるくる変わる情けない表情といい、カトンボみたいな手足の動きといい、ダヌシュのデビュー時にそっくりでした。ラストは教訓的な展開で終わりますが、こんなに詰め込まなくてもいいのに、と言いたくなるような作品で、監督のアシュワト・マーリムットゥと主演のプラディープ・ランガナーダンが書いた脚本は、もう少し整理すれば名作になっていたかも、という感じ。今後の成長に期待しましょう。キールティ役のアヌプマ・パラメーシュワランがとっても感じよかったです。

『Super Boys of Malegaon(マーレーガーンオのスーパー・ボーイズたち)』
 監督:リーマー・カーグティー
 主演:アーダルシュ・ゴウラヴ、ヴィニート・クマール・シン、シャシャーンク・アローラー

『人生は一度だけ』〔2011〕や『ガリーボーイ』(2019)の脚本家として知られ、自らも監督として活躍するリーマー・カーグティーの監督作品。プロデューサーにはゾーヤー・アクタルやエクセル社のファルハーン・アクタル、リテーシュ・シドワーニーらが名を連ねています。実話を元にした作品で、マーレーガーンオというムンバイからちょっと離れた村に暮らす若者たちが、映画製作を夢見ていろいろやっているうちに約30年が経ってしまい、仲間の1人がガンで余命わずかとわかった時、「スーパーマン」を彼に演じさせてその姿を残そうとするお話です。1997年からお話が始まるので、当時の若者の常としてみんな長髪にしているのですが、その後2000年代に入っても長髪のままのため、そりゃおかしいんじゃないの、とかツッコミながら見てしまいました。あまりにも時代色を出すことにこだわりすぎて、お話が面白くなくなってますよ、リーマー。

珍しいビスタサイズにしたのも、最初から海外狙いがあったためではと思いますが、映画を作る映画は得てしてつまらなくなりがち。まあ、インドの人には、「ジャーヴェード・アクタルと一緒に写真を撮った」「『ラージャー・ヒンドゥスターニー』のビデオだ」等々、有名な映画人や懐かしいタイトルが出てきてそれなりに見られると思うものの、「スーパーマン」撮影が始まるまではかなり退屈しました。結局実生活では、誰も大きく成功した人はいなかったようですが、ちょっと地味すぎ、の作品でした。

ハデハデ作品とジミ~な作品の取り合わせで疲れました。モールの1階まで降りてみると、クルフィー屋さんを発見。いいなあ~、こういうお店があるの。ムスリムの人が多いのでしょうか? いろんな種類のクルフィーがあって、ケーサリーピスタをまず1本、50ルピーで試し、こりゃ味がいいわ、ということで、70ルピーと高いマラーイー・マトカーというのを食べてみることにしました。右の方に並んでいる、丸い容器に入ったクルフィーです。

この容器、実は素焼きの壺なんです。この上のカバーを取って、小さな金属の、ままごとのスプーンみたいなのを添えて渡してくれます。おいしい~~~、ホント、全種類食べたいわ。壺入りなのでなかなか溶けず、食べながら1Fを移動。マクドやKFC等食べ物のお店がいくつか入っているのですが、壁にこんなイラン革命前のペルシア絵画みたいなイラストを描いてあるお店も。

入り口脇の一番いい場所を占めているのは、カシミール・エンポリアムとでも言いたいカシミール州のショールやラッカー細工を売っているお店で、そこに吊してあったサリーが何ともステキで一目惚れ。中のお兄さんが「入ってらっしゃい」としきりに誘います。というわけで、ネギをしょった鴨がカシミールのダル湖にドブンしてしまいました。

 

今回は映画調査が頭を占めてサリー店に行く余裕もなく、さらにはいつも行くと必ずほしいデザインのインド服が複数見つかるお店「ウェストサイド」でも気に入ったデザインが1枚もなくて(ホント、珍しいです)、衣類を買ったのはチェンナイのスーパーで安売りしていたクルター1枚だけ(しかも、1099ルピーが659ルピーになってた! 1200円とは信じられない)だったので、つい財布の紐が緩んだのでした。しかしまあ、パシュミナ・サリー(ホントかどうかはわからねど)のきれいなこと。お兄さんがいろいろ見せてくれたので、その写真をどうぞ。

この青年、ムハンマド・ラフィークさんと言うのですが、カシミール州のスリナガルに近い土地の出身で、いかにカシミールがいいところか力説してくれました。「でも、まだいろいろ大変じゃない?」「うん、そうだけど、カシミールほどきれいな土地はないよ。水もきれいで清潔で、本当にいい所なんだ」と、聞いていてホロリとするような故郷自慢でした。で、これではないのですがサリーを1枚買ってしまいました。8000ルピーを2割ちょっと負けてもらいましたが、今回、チマンラールでのお買い物を除くと最高額です。これを仕立てに、もう一度インドに来なくてはいけなくなってしまいましたが、チェンナイの仕立屋さんとも「また来るからね」と約束したので、日本に戻ったらがんばって稼がなくちゃ。ムハンマド・ラフィークさんもがんばって稼いでね。このモールは上階にレストランがあるので、日本人の団体客が食事を取りにバスを横付けしたりするのだそうです。お店の名前は「Kashmir Art Bazaar(カシミール・アート・バザール)」、これでまけて貰った分帳消しにしてね。

このモールは新しくできたメトロのレッドラインの駅にも近く、今度来てメトロポール・ホテルに泊まったら、そこから1本で来られます。毎日クルフィーを食べに通うのも夢じゃない、ふふふ。このメトロ、ホームドアが標準装備になっていてびっくり。満員でも安心ですね。

 

というわけで、ムンバイ北部冒険は無事終わりました。ムンバイで映画を見たい、とお考えの方は、ぜひアンデーリーあたりに宿を取って、いろんなモールを巡ってみて下さい。ヒンディー語映画だけでなく、タミル語、テルグ語、マラヤーラム語、グジャラーティー語、マラーティー語などの映画が見られます。


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