アジア映画巡礼

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シンガポールのインド映画(4)

2016-08-22 | インド映画

香港に移動してきました。本日は台風直撃で、関東以北の皆様は大変なようですね。被害に遭われなかったことを祈っています。

さてさて、シンガポール滞在ももう終わり、という時に、やってきたのはヴィジャイ・セードゥパティ主演の作品。タイトルも『Dharma Durai(ダルマドゥライ)』という、ラジニカーント主演の1991年の映画と同じタイトルです。ラジニ主演作の方は、『ダルマドゥライ 踊る!鋼の男』としてDVD化されています...というか、私が字幕をやらせていただきましたので、忘れられません。ヴィジャイ・セードゥパティの主演作はラジニ作品とはまったく関係がなく、主人公の名前がダルマドゥライだというのだけが同じです。共演は、『バーフバリ』(2015)の美女タマンナーと、『カラスの卵(Kaaka Muttai)』(2014)で子供たちの母親役を演じたアイシュワリヤー・ラージェーシュ。ヴィジャイ・セードゥパティ劇場とでも言うべき、ファンサービス満点の作品でした。日本で公開や上映されることはまずないのでは、と思いますので、ネタバレのストーリーを書いてしまいます。イヤな方は、お読みにならないで下さいね。


ダルマことダルマドゥライ(ヴィジャイ・セードゥパティ)は、ある農村の豊かな家の息子でしたが、酒飲みの怠け者でした。でもなぜか時々英語が口をついたりして、何やら過去があるようです。彼の家は、兄や弟たち、そして姉の夫によって頼母子講ビジネスが営まれており、村の人からお金を集め、ある時に当選者を選んでそのお金を支払う、というシステムの手数料で儲けていたのでした。兄弟たちはダルマドゥライをクズ扱いする中、母親だけはダルマドゥライをかばいます。しかしながらとうとう兄弟との確執が頂点に達し、ある夜ダルマドゥライは家を出ることに。暗闇の中で身の回りの品を詰め込んだバッグには、近々当選者に払うための高額の金が隠されていたのをダルマドゥライは知りませんでした。

Dharma Durai(2016 film) Poster.jpg

ダルマドゥライがやってきたのは、大学時代を過ごしたマドゥライの町。ここの医科大学で、ダルマドゥライは友人たちと学んでいたのでした。その中には、女子学生のスバーシニー(タマンナー)やステラもいました。ステラはダルマドゥライのことが好きで彼に告白し、卒業したら自分の家に来て父親に求婚してほしい、と頼んでいました。大学では優れた指導教官カマラージ医師のもと、いろんな事件を起こしながらもダルマドゥライは真摯に医学を学び、時には大学祭の劇などにも才能を発揮して、学生生活を大いに楽しんだのでした。卒業後、ダルマドゥライは故郷に帰って医師になりますが、そのうち文学の才能がある貧しい農家の娘アンブセルヴィ(アイシュワリヤー・ラージェーシュ)と恋仲になり、結婚の申し込みをします。ところが、ダルマドゥライの兄弟たちが勝手にダウリーを要求しに行き、アンブセルヴィの父は高額のダウリーを払えず窮地に陥ります。それを知ったアンブセルヴィは、自らの命を絶ってしまうのです。それ以来、ダルマドゥライは兄弟たちとの間に溝を作り、酒飲みの怠け者という毎日を送っていたのでした。


大学を訪れたダルマドゥライは、ステラとスバーシニーの住所を尋ね、二人を訪ねます。ところがステラは医師になったものの事故で死亡しており、父親からは「ダルマドゥライというクラスメートが求婚に来るから、といつも言っていたよ」と言われてしまいます。ショックを受けて次に訪ねたスバーシニーは、夫と別居して独り暮らしをしながら、病院の医師として人々に慕われていました。スバーシニーは傷ついたダルマドゥライを受け入れてくれ、やがて彼女と夫の離婚が成立すると、二人は同棲生活をへて結婚します。ダルマドゥライはスバーシニーの勧めで診療所も開き、そこにカマラージ医師が訪ねてきたりして、二人は満ち足りた生活を送っていました。そんなある日、スバーシニーがバッグの中のお金を発見、長い時間がたったあとながら、ダルマドゥライは実家に戻って兄弟たちに謝り、お金を返すことにします。実は、兄弟はダルマドゥライが出奔したあと彼が金を奪ったと思い、あちこち行方を捜したのですが、見つからなかったため頼母子講の責を負わされ、家を負われて村の外れの小さな家で細々と暮らしていたのでした。戻って来たダルマドゥライを見て、カッとした弟は彼の頭を殴りつけ、ダルマドゥライは意識不明に陥ります...。

 Dharmadurai Official Trailer | Vijay Sethupathi, Tamannaah | Yuvan Shankar Raja | Trend Music

ネタバレ承知でほぼ全部書いてしまいましたが、上の予告編を見ただけでは何の話かわからない、どうにもまとまらない物語ながら、脚本がなかなか上手で最後まで面白く見させてもらいました。タミルの人々のイメージでは、ヴィジャイ・セードゥパティはまずはヤクザなダメ男、というのがあるようで、フルの髭面でその姿をたっぷり見せておいてから、髭を全部剃った顔で知的な大学生を演じさせ、続いて口髭だけの医師姿で登場させるなど、いろんな彼の姿を見せてファンを喜ばせようという意図があったのでは、と思ってしまう作品でした。また、お相手はタマンナーが演じる女性とばかり思っていたら、最後になるまで彼女はむしろ脇役で、あらあらこれはまたぜいたくな使い方を、とあきれたところでやっぱりヒロインはタマンナーと判明する仕掛けなど、結構巧みな脚本になっています。監督のシーヌー・ラーマスワーミが脚本も担当していますが、うまいですね。


実は、今回の旅ではヴィジャイ・セードゥパティの主演作で見ていない作品のDVDを揃えるのも目的の一つだったのですが、一番ほしかった『Pizza(ピザ)』は手に入らず、残念無念。ムスタファではもちろん捜したのですが、主演作は1本だけしかなく、ほかにお店はないかとセラングーン・ロードを歩いていたら、上写真のDVD屋さんを発見。昔は3、4軒あったDVD屋もすっかり携帯電話屋などになってしまった中で、このABR Music Video(92, Serangoon Road)だけはがんばって商売を続けています。「うちには、日本人のお客もよく来るよ」と言っていた店主(真ん中の人)と奥さん(その左)は、あっちこっちに電話したりして3タイトル揃えてくれたのでした。ヒンディー語映画もありますので、お探しのものがある方はぜひどうぞ。


リトル・インディアの駅では今年もカリーナー・カプールが迎えてくれましたが、シンガポールの宝石屋さん、こんな大スターと2年も広告契約するなんてお金がありますねー。去年とは違う写真を楽しませてもらいました。『ハッピーは逃げていく』の中で出て来たジョークの一つが、ラホールの人たちが言い合う「カリーナー・カイフとかいう女優が...」「カリーナーとくればそのあとはカプールでしょ」「そうそう、カイフはカトリーナだよ」というもので、大いに笑わされたことを思い出しました。最後に面白い映画2本が見られてよかったです。


泊まったのはチャイナタウンでしたが、ホテルの近くにはヒンドゥー寺院もモスクもあり、ヒンドゥー寺院では3シンガポールドル払って撮影許可をもらい、いろいろ写真を撮りました。セラングーン・ロードにある寺院よりはちょっと規模が小さいですが、こちらのマリアンマン寺院も天井画が素晴らしくて、とっても素敵な寺院でした。


そうそう、Pホテルからのチェックアウト時にちょっとしたドジをやりました。空港までミニバスで送ってくれる、というので、9シンガポールドル(700円弱)ならタクシーに比べて半額以下、と飛びついたら、予定時刻より20分も遅れてくるし、途中他のホテルに5箇所ぐらい寄って客を拾っていくし、で、タクシーの3倍ぐらい時間がかかってしまいました。まあ、時間に余裕を見ていた上、すでにチェックインはウェブで済ませていたのでどうってことなかったのですが、最初に遅れて到着した時つい運転手さんに広東語で文句を言ってしまったら、なぜかかけていたラジオが広東語になって、懐かしいBEYONDの歌「大地」が流れてきたりして、怒りも静まりました。その後、飛行機の中で見た台湾映画『我的少女時代』(2015)では、主要なフラッシュバック部分では1990年代半ばが舞台なので、主人公の憧れの人は劉徳華(アンディ・ラウ)だったり、エンドクレジットの歌は草[虫孟](グラスホッパー)の歌う「失戀」だったりと、まるで香港返還前に引き戻されたような気分で香港に到着したのでした。

我的少女時代.jpg

『我的少女時代』はマンガチック表現が行きすぎでしらける部分もあるものの、主人公のボーイフレンド徐太宇(上ポスターの右)を演じる王大陸(ダレン・ワン)という男優が個性的で、彼の魅力で最後まで引きずられました。しかも、大人になった徐太宇を演じるのはまさかのあの人。ゲスト出演が豪華なのも、大ヒットした原因でしょう。『若葉のころ』に出ていた石知田(シー・チーティエン)もゲスト的な出演をしていたほか、もう1人の男性主人公として人気歌手李玉璽(Dino/上ポスターの左/歌手李亞明の息子だそうでビックリ)も出演、台湾は若手俳優が続々登場しますね~。日本でも公開されそうな気がするのですが、さて、どうでしょう?

 

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