チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

<連載①>高江・土砂崩落事故の原因について---「大雨」は通用しない!

2013年02月16日 | 沖縄日記 高江

 (土砂崩落事故を起こしたヘリパッド工事図面。崩落は南東部の急斜面で発生(黄色部)したそこは、直径75mのヘリパッド内部である。工事によって、西側から南東部にかけての斜面では、「密度:密」という伐採が行われた。急斜面を全面伐採したことが今回の崩落事故の最大の原因である。防衛局が主張する「大雨による自然災害」ではない!)

 

 高江・オスプレイパッド工事現場(N-4.1地区)で発生した土砂崩落事故の原因について分析しよう。

 冒頭の今回崩落事故を起こしたN-4.1地区のヘリパッドの工事図面を参照されたい(沖縄防衛局への公文書公開請求により、工事図面は全て入手済)。ヘリパッドは、直径75mに及ぶが、中心の直径45mの部分が「接地帯」、その外側の幅15mの部分が「無障害物帯」とされている。

 この付近の地形は、北側、そして西側から南東部にかけて谷となっているが、特に、南東部はかなりの急斜面であることが分かる。今回の崩落事故は、この南東部の急斜面で発生した(黄色部)。

 

 1.「大雨が原因」は通用しない

 防衛局は、今回の土砂崩落事故の原因を、「年末年始の大雨」と主張している。たとえば、「年末からの降雨が原因」(沖縄タイムス 2013.2.2)、「崩落が工事の影響とは考えにくい。大雨が原因」(沖縄タイムス 2013.2.14)というような主張である。私も参加した、15日の沖縄生物多様性ネットワークの防衛局交渉の際も、防衛局は、「降雨により、のり面の表土が崩れた」と回答した。

 しかし、今回の事故の原因を「大雨」とすることは通用しない。やんばる地方では、12月、1月は、1年のうちでも最も雨の少ない時期である。昨年12月末の1週間の降雨量は、24.5mm。年始の1週間も、わずか20mmの降雨しかなかった。事故があったと言われている1月8日には、48mmの降雨が観測されているが、この程度の雨は、やんばるではたいした降雨量ではない。たとえば、 今回の工事が始まった昨年8月以降だけでも、次のように、日雨量が100mmを超えた事例は多い。

 2012.8.5       112mm

 2012.8.26      180mm

 2012.8.27      259mm

 2012.9.17      139mm

 2012.9.29      152mm

 2012.10.17    113mm

 今回、わずか48mm程度の雨で土砂崩落を起こしたという事実は深刻である。このままでは、梅雨時や、大型台風による集中豪雨で、これ以上の崩落事故が発生することは必至である。 

 

2.急斜面を全面伐採したことが土砂崩落事故の原因

 今回、崩落事故が起こったのは、ヘリパッドの南東部の斜面。平面図でも分かるように等高線が密集し、かなりの急斜面である。防衛局は、「工事区域ではない」と主張するが、そこは、直径75mのヘリパッドの内部の「無障害物帯」であった。この「無障害物帯」は、「ヘリコプター飛行の安全を確保するために障害物があってはならない場所」(環境影響評価書)であり、あくまでも、ヘリパッドの一部である。

 冒頭の平面図でも斜線で表示されているが、ここでは、「密度:密」という全面伐採が行われ(伐採面積は1171㎡にもなる)、その後にチガヤという草の種が播かれただけであった。その急斜面が今回、崩落を起こした。やんばる地方では、各所の林道工事現場でも繰り返されているように、急斜面の立木を伐採すれば、土砂崩落事故が発生し、赤土が流出することは当然、予見されていた。今回の土砂崩落事故の最大の原因は、急斜面の立木を全面伐採したためであることは明らかである。そのため、45mm程度のわずかな降雨で崩壊したのである。 

 また、防衛局は、「(崩落個所)は工事区域外」と主張するが、この無障害物帯でも、1171㎡にも及ぶ全面伐採だけではなく、様々な工事が行われていた。チガヤの播種工、最下部での「防風柵設置工」(H=3m、L=128m)、マント植栽、そして、上部には、盛土工まで行われている(冒頭の図面の赤い部分が盛土個所)。この盛土工の土量は不明だが、盛土が終わった後の「ブルーシート保護工」は約20㎡もある。急斜面の上部の盛土工が、今回の崩落を引き起こした可能性もあるだろう。

 そして、工事期間中は、「接地帯」に設けられた沈砂地からの放流水も、この斜面に流されていた。さらに、ヘリパッドの「接地帯」(直径45m)は、北から南にかけて2%の勾配がついている。そのため、「接地帯」や周辺部からの表面水は、全てこの斜面に流れ込んでいく。また、地中に浸透した水も、この斜面から出てくる。こうした水流によって、この斜面はますます不安定となっていたことも、今回の崩落事故の一因であろう。

 

3.結論 

 以上、分析してきたように、今回の崩落事故の原因は、決して「大雨」ではなく、急斜面の立木を全面伐採したことにより発生したものである。

 なお、このような全面伐採は、今後予定されている5ケ所のヘリパッド工事でも行われる。特に、H地区の工事では、4,539㎡もの「密度:密」の全面伐採が行われる(今回の約4倍の規模!)。また、G地区では、延長1.2Kmもの進入路が造成されるので、伐採はさらに大規模となるだろう。今回の事故の原因と対策が十分に検討されなければ、さらに大規模の土砂崩落事故の再発が危惧される。

 ヘリパッドの場所の選定、工法等に問題があったことは明らかであり、直ちに工事を中止し、原因の究明や今後の方針について、赤土防止条例を所管する沖縄県や専門家、環境保護団体、地元住民らと協議すべきである。

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1 コメント

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沖縄の赤土は厄介 (ムラサキチュウガエリ)
2013-02-18 00:45:08
沖縄の土木工事は難しい、赤土は何時までも乾かなかったりするし、木の根も深くまで入らない。チガヤは根が浅く緑化にはなっても地滑りには無力。全面伐採したのなら連鎖的に崩れる可能性が大きいでしょう。

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