チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

具志堅隆松さん、県議会で堂々の陳述。お二人の遺族の方も、当時の凄まじい体験から南部からの土砂採取の中止を訴え!

2021年04月09日 | 沖縄日記・辺野古

 昨日の開発業者に続いて、今日(4月9日・金)は、具志堅隆松さんが沖縄県議会土木環境委員会で参考人として陳述した。

 自民党県議らは、「具志堅さんの長い活動に敬意を表します」と言いながらも、昨日の業者の陳述を受けて、「何故、地権者の許可もなしに土地に立ち入ったのか」という質問を繰り返した。

 こんな質問にも、具志堅さんは冷静に答えた。

「遺骨が残っているところは、まだ開発されていない緑地帯です。今まで40年近く遺骨収集活動を続けてきましたが、その土地が誰の所有地かを前もって調べることはできない。今回の熊野鉱山でも、昨年11月1日に遺骨を発見し、警察と県の遺骨収集情報センターに連絡した。その日は日曜日で現場に業者はいなかった。翌2日にセンターが業者にその旨を伝えた際は、業者は非常に好意的だったという」

 そもそも山を歩く時に、誰も事前にその土地の所有者に立入許可を求めることなどないだろう。宅地や畑などに無断で入ったというのではないのだ。熊野鉱山が立入禁止になってからは具志堅さんも中には入っていない。このような質問は、具志堅さんの長年の活動を貶めようとする嫌がらせでしかない。

 2時間にわたって具志堅さんは議員の質問に明確に答えた。40年近い遺骨収集活動の実績に基づいた発言には説得力があった。

・「戦争で殺された人の遺骨を、戦争のための基地を造るために使うのは、死者に対する冒瀆です」

・「遺骨が今も残っている南部地区の未開発の緑地帯の開発は止めてほしい。慰霊と平和について考える場所にしてほしい」

・「遺骨を収集したから開発してもよいということにはならない。全ての遺骨を収集するのは不可能だし、戦没者の血が染み込んでいる土砂を埋立に使うのは間違っている」

・「今回の問題は、国による県民分断の手段にされている。業者を批判しているのではない。国に、南部からの土砂採取計画を断念させたい」

・「この問題は、我々ウチナンチュ、特に戦後世代が沖縄戦をどう捉えるのかということが問われている」

         (陳述を終えた具志堅さんと遺族の方)

 具志堅さんは今日、今回の問題の当事者は遺族の方々だとして、お2人の遺族の方を補助人とされた。委員長の許可を得て発言したKさんは次のように述べた。

「戦争当時、私は6歳でした。首里で艦砲攻撃を受けておばあさんが吹き飛ばされて即死した。母親(28歳)が私と5歳と3歳の弟、9ケ月の妹を連れて南部に逃げた。その間に肉親5名が死んでしまった。私は小さかったので、何処に埋めたのかも分からない。見つかっているのは、お祖父さんの遺骨かもしれません。

 南部へ逃げている途中は、泣いたこともない、痛いとも、疲れたとも言わなかった。摩文仁の壕まで来たら、中に日本兵がいて銃を突きつけ、幼子は入るなという。母親は泣きながら、長男だけは助けてくださいと頼み、私と弟は中に入れた。母親は下の弟と妹を連れて外に出て、どこかに2人を置いて戻ってきた。

 壕の中では3日間、食べるものも飲むものもなかった。米兵が入口を崩して、「出てこい」と言ったので、私は真っ先に出て行った。母親もついて出てきた。米兵は、子どもと若い女性が出てきたので、火炎放射を止めてくれた。そうでなければ皆殺しになっていただろう。壕の中には20名ほどいたが、私たちが外に出たので、皆も出た。私と弟の2人は助かったが、母親が外に置いてきた弟、妹がどうなったのかは分からない。

 辺野古新基地を造ると聞いた時、戦争の地獄を生き延びてきた私は死んでも阻止しようと思っている。しかし、私が死んだら、この戦争体験を伝えるることはできなくなってしまう。何故、辺野古で戦争の準備をするのか。私は83歳になるが、100歳までは死ねない」

 Oさんも切々と訴えた。

「父親は南部で亡くなったが、何処で死んだのかも分かりません。今でもなんとか父親の遺骨を探したいと思っています。南部の土砂には今も遺骨が残っています。そんな土を辺野古の埋立には使わないでほしい。

 業者の金儲けのために開発されることは遺族として認められません。県議の皆さん、阻止してください。絶対に許可しないでください。」

 遺族たちの発言に、傍聴席では涙ぐむ人たちも多かった。しかし自民党県議は、「お気持ちは良く分かりますが、感情的になってはダメです」と言い放った。

 

 今日の土木環境委員会では、残念なことに、全会一致の反対決議をあげるところまで行かなかった。12日(月)に再度、委員会を開くという。しかし、自然公園法の開発届に対して知事が中止命令を出せる期限は16日だから、もう時間がない。なんとか早急に決議をあげてほしい。

 

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