チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

2月15日、沖縄平和市民連絡会が海砂採取の総量規制を求めて沖縄県土木建築部長交渉 --- 「関係者の意見聴取を行いながら、総量規制について検討していきたい」と回答

2024年02月16日 | 沖縄日記・辺野古

 2月15日、沖縄平和市民連絡会が、海砂採取の総量規制を求めて沖縄県土木建築部長交渉を行った。

 私たちはこの問題について、2019年当時から県交渉や県議会への陳情等の取組を続けてきた。今回、設計変更申請が代執行され、大浦湾での工事が始まった。まもなく、海底一面への敷砂敷設や地盤改良の砂杭等で、沖縄の年間採取量の3~5倍もの海砂が使用される(ここ数年の海砂採取量は80~120万㎥程度だが、辺野古新基地建設事業では394万㎥もの海砂が必要とされている)。

 2019年当時、県は、「総量規制の必要性については関係者の意見を聞いて検討していきたい」と回答していたが、その後、具体的な作業はほとんど進んでいない。現在では、西日本各地の多くの県は海砂採取を全面禁止し、それ以外の県も海砂採取の総量規制を定めている。沖縄県の対応は大きく遅れているのだ。

 このままでは、沖縄沿岸部の環境は致命的に破壊される。再度、海砂採取問題についての取組を強めていきたい。

 

                     (2.15 土建部長交渉)

********************************

 以下、2月15日の県交渉の概要である(質問・要請書は末尾に掲載)。

 

海砂採取の総量規制を求める沖縄県土木建築部長交渉の記録(概要)

 

*日時:2024年2月15日    場所:県庁 土木建築部長室

*参加者

   ●沖縄県:前川土木建築部長、砂川統括監、川上海岸防災課長

     ○沖縄平和市民連絡会 11名(特別参加:桜井国俊さん)           

 

 

議事録(質問・要請書は別紙参照)

1.採取位置、採取量に関する証拠書類の提出について

<部長冒頭回答>

●「2020年から試行として始めたが、今も提出を求めて、内容を確認している。今後も継続して提出を求める。『海砂利採取要綱』に記載するよう、要綱改正に向けて作業していきたい。」 

 

2.深堀りを規制するため、採取後にも深浅測量図を提出させることについて

<部長冒頭回答>

●「他府県の状況を確認し、採取業者の意見も聞きながら対応を考えていきたい。」 

 

3.海砂採取の総量規制について

<部長冒頭回答>

●「西日本各地で総量規制を実施していることは承知している。ただ、沖縄での砂の採取は海域からに限られており、他府県のように陸域及び河川からの採取は行えない等の違いがある。

 総量規制の必要性については、将来にわたって建設用骨材の安定供給を確保する必要があり、関係機関の意見も踏まえて検討していきたい。

 総量規制については、R2年度、一度、漁業関係者や事業関係者からの意見聴取を試みたが、その時はコロナの影響や軽石の問題等もあり、意見聴取は十分行えなかった。総量規制については、今後、引き続き意見聴取を行いながら検討していきたい。」 

<質疑応答>

○「関係者への意見聴取は今後どうするのですか?」

●「R2年度に意見聴取をしようとしたのですが、それが十分できなかった。今後実施したい。」

○「代執行されたので、今後、大浦湾での工事が進んでいく。辺野古新基地建設事業で使用される砂の量は?」

●「394万㎥ほどです。」

○「現在の沖縄県での年間の海砂採取量は?」

●「R元年度:122万㎥、R2年度:104万㎥、R3年度:123万㎥、R4年度:80万㎥です。」

○「ここ数年の年間の海砂採取量が80~120万㎥だから、その程度で総量規制をかけるべきだ。その後、公共事業等に影響が出るというのなら、九州各県でもやっているように審議会で新しい上限を設ければよい。いったん決めた総量規制を固定するのではない。」

●「まず、枠組みを定めることも検討すべき事項だと考えています。」

○「現在、80~120万㎥の採取量でも、やんばるの海岸はやせ細っている。今の状況について環境部等はどう考えているのか?」

●「現状についての判断は環境部からもらっていません。」

○「防衛局が沖縄の年間の海砂調達可能量をいくらといっているか知っていますか?」
●「---」

○「防衛局は今回の設計変更申請で、沖縄の年間の海砂調達可能量は564万㎥だとしている。直近の採取量の7倍にもなる。これだけの海砂が採取されればどうなるのか? 県は、もっと、危機感を持って対応してほしい。」

○「今後の大浦湾での工事工程はどうなっていますか? 何時から海砂が使われるか知っていますか? 防衛局の資料では、今年の夏までに、地盤改良工事の前に海底に敷砂(厚さ:1.5m)が撒かれる。早急に対応しないと、もう時間がない。

 2020年当時も総量規制の問題で県との話し合いを続けたが、それから4年も経っている。もう少し具体的な検討作業が進んでいるかと思ったが残念です。」

 

4.ジュゴン生息地での海砂採取の禁止について

<部長冒頭回答>

●「ジュゴンの保護という観点から海砂利採取をどのように制限できるかについては環境部等と情報共有を図りながら対応を検討していきたい。環境部からは、ジュゴンについては生態が不明という面も多いという意見も聞いており、そういった中でどのような対応が可能かは慎重に考えていきたい。」

 

<質疑応答>

○「『海洋保護区』についてご存知ですか?」

●「---」

○「環境省は、自然公園法や自然環境保全法の地域だけはなく、共同漁業権区域も、『海洋保護区に該当する区域』と位置付けている。県は、自然公園法や自然環境保全法の地域での海砂採取を禁止しているが、海洋保護区全般について海砂採取を規制すべきだ。」

○「今日はありがとうございました。」 

                                                         (以上)

********************************

 

沖縄県知事 玉城デニー様                                     2024年2月15日

 

      沖縄県内での海砂採取の規制強化を求める質問・要請書

                                  

              沖縄平和市民連絡会

                共同世話人:高里鈴代・真喜志好一

                      松田寛・宮城恵美子・城間勝

  

 現在、沖縄県が直面している深刻な環境問題の一つが、沿岸海域での海砂採取問題です。

 海砂採取は、海底の泥を根こそぎポンプで吸い上げ、砂だけをふるい分けた後に、礫・泥等を高濃度の濁水とともに海に戻すという荒っぽい方法で行われるため、自然環境や水産資源、さらに護岸等の海岸部の公共施設の管理にも深刻な影響を与えます。

 そのため、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、熊本県、大分県、岡山県等、海砂採取を全面禁止する県が順次増えています。また、山口県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、鹿児島県等では全面禁止ではありませんが、年間採取量の総量規制(採取量の上限)を設けています。

 こうした各地の現状を見れば、沖縄県が大きく遅れていることが分かります。

 私たちは2019年から沖縄県に対して、海砂採取の規制を強化し、環境破壊を抑えるための要請を続けてきました。その結果、県も2020年7月から、採取中の船の位置情報や採取量測定時の写真を提出させる等、監視強化の改善策を講じるようになりました。

 しかし県は、海砂採取の総量規制については、「我々はこれまであまり採取量について考慮してこなかった。環境に対してどのような影響があるのか。九州各県でさえも総量規制をしていたという事実も明らかになっていますので、この辺も研究しながら、今後、砂の採取に対してどういう対応をするのか、関係部局とも連携を図りながら検討していきたい」(上原土建部長、 2019.3.18 県議会土木環境委員会)、「総量規制の必要性については、関係者の意見を聞いたうえで方向性を考えていきたい」(照屋統括監、2019.11.20 平和市民連絡会との意見交換会)、「総量規制については、他府県でもほとんど実施しているという現状を踏まえ、沖縄県としても早い目に作業を進めていきたい」(同)、「有識者の意見を聴取し、必要かどうか検討したい」(2020.6.28 沖縄タイムス)と回答をしてきましたが、今も具体化していません。

 今回、辺野古新基地建設事業の設計変更申請を国が代執行で承認したことにより、大量の海砂が採取される事態になりました。現在の県内での海砂採取量は年間81~146万㎥程度ですが(2018年~2022年、「沖縄県土木建築部要覧」)、今後、辺野古新基地建設事業では地盤改良工事の敷砂(厚さ:1.5m)や砂杭、また中詰材として394万㎥もの海砂が必要とされています(防衛局「第3回技術検討会資料」 P53)。現在の年間採取量の3倍~5倍もの海砂が採取されるのですから、沖縄沿岸海域の環境に深刻な影響を与えることが危惧されます。 

 以上の理由から、海砂採取問題について下記のとおり質問・要請します。

 

                   記

 

1.「沖縄県海砂利採取要綱」(以下、「要綱」)では、海砂採取場所について、「海岸線から1km以上離れていること」、「水深が15m以上の区域であること」、「一認可の採取面積は30万㎡(漁業権区域内では10万㎡)以内であること」等の許可の基準・条件を定めている。

 しかし以前は、実際の採取場所や採取量を示す証拠の提出を求めていなかったため、上記の基準・条件が遵守されているかどうか、確認されていなかった。我々の要請もあり、2020年7月1日から、採取中の船の位置情報が示された船内モニター画面、砂利採取月報等に係る荷姿全景写真、採取量計算書等を「試行的」に提出させることになった(2020.6.29 土海第328号)。

 これらの採取位置、採取量に関する書類は、今も提出を求めているのか、どのようにチェックしているのかを説明されたい。

 要綱に、これらの書類を提出するよう記載していないのは何故か。また、海砂利採取計画の認可の際の認可の条件として記載していないのは何故か。今も「試行」のままで、本格実施ではないのか。

 

2.特に環境上、問題となるのは海砂の部分的な「深堀り」である。要綱では、「部分的な深堀りをしてはならない」としているが、その具体的な内容は要綱に定めがなく、「海砂利採取に関する取扱いについて」で、「掘削深度は概ね2m程度とし、採取区域において平均2mとなるようにする」、「部分的な深堀りとは、2mから50%程度を超えた場合とする」とされているだけである。

 県は、この深堀りに関する規制が遵守されているかどうかをどのような方法で確認しているのか。 

 海砂採取の許可申請には、等深線1mごとの深浅測量図を提出させているのであるから、深堀り防止のために、海砂採取後についても深浅測量図を提出させるべきではないか。

 

3.現在、西日本の各府県では、環境面や水産資源への影響等を考慮し、海砂採取の全面禁止や総量規制に踏み切っている。

 沖縄県では砂利採取法に基づく登録をしている業者は238もある(2019年3月18日県議会での海岸防災課長答弁)。現在の要綱では、個々の申請が許可条件さえ満たせば、許可せざるを得ず、申請数が増えれば大量の採取量となってしまうため、総量規制が必要だといわれてきた。

 県議会でも、「(海砂採取の総量規制を求める)陳情の趣旨に沿って、対応が求められている。是非、ご判断いただきたい」(仲村未央議員)、「年間総量規制を設けるべき」(赤嶺昇議員)等と指摘されてきた(2019.3.18 県議会土木環境委員会)。

 県は2019年当時から、海砂採取の総量規制について検討してきたはずである。早急に海砂の年間総量規制を実施されたい。

 

4.沖縄の主要な海砂生産地である国頭村西海域や東村・名護市嘉陽沖合では、以前からジュゴンの生息が確認されており、最近も、古宇利島周辺で多数のジュゴンの食み跡や、名護市久志沿岸部でジュゴンの糞が確認された。しかし辺野古新基地建設事業では、ジュゴンの回遊ルートや餌場に近い沖縄島北部の4ケ所で海砂を採取するとされており(埋立承認申請書「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した図書」 P6)、ジュゴンへの影響が危惧される。

 要綱では、自然公園区域、自然環境保全区域等での海砂採取を禁止しているだけだが、これらジュゴン生息地周辺では、海草藻場を守るために海砂採取を禁止すべきではないか。

                               以上

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