上野オンライン将棋教室ブログ(横浜西口大人将棋教室)

平成31年1月から開講している横浜西口大人将棋教室のブログです。現在は上野オンライン将棋教室も併せて開講中です。

読みの精度

2008年02月24日 | 対局
竜王戦 対佐藤(天)四段

読むことの大切さを再確認した一局だった。


角換わりで、一度やってみたかった仕掛けを敢行し、第1図。

(僕は先手番です)



先手も玉の囲いを最低限にして、
後手が居玉のうちに仕掛ける。
研究会で経験があり、
後手が嫌だろうと思っていた局面だった。

今打った▲4五歩に対して、
後手は銀を逃げる一手で、三択。

1、△3三銀
2、△5五銀左
3、△3五銀

1の△3三銀が第一感だが、
以下▲6六銀として、次の▲5五銀ぶつけを狙って先手やや良し。

2の△5五銀左は積極的な手。
以下、▲同銀△同銀に、▲6六銀と強くぶつける。
これも先手が指せると読んでいた。

3の△3五銀は、なんだか指しづらい。
そっぽに行く感があるし、
いつでも▲3六歩の筋が気になる。

103分の大長考の末指されたのは、
3の△3五銀だった。



同じ逃げるなら、△3三銀の方が普通だし玉が堅い。
それでもあえて△3五銀と出た理由は、主に2つ。

1、後に△3三桂と活用できる
2、1と関連して、△4六歩と飛車を押さえ込む順を狙っている

持ち時間の3分の1を使うというリスク(竜王戦は5時間)、
そして、不安定な場所に逃げるリスク。
それらを引き受けて指されたこの△3五銀に、
素直に、すごい、と思った。

第2図から、こちらも68分の長考で▲6六銀と出て、
先手がやや指しやすいのだが、
ここから2回悪手を指して負けてしまった。


駒がぶつからない時点での水面下の読みは、
苦しいけれど楽しさもある。
少しずつ読みの精度を上げて、
納得のいく一手を指したいと思う。

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対局前夜

2008年02月21日 | 将棋関係
明日は、竜王戦 対佐藤(天)四段です。

与えられた機会、
そして、多くの人の尽力により、
対局ができることに感謝して、
僕はいつも通り、ベストを尽くします。

今日はなんとなく、落ち着いています。
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心構え

2008年02月13日 | 対局
C1 対富岡八段

相手の研究、そして強く踏み込む勇気に脱帽した。



(僕は後手番です)

角換わり同型で、よくある形。
でも、第1図の踏み込みは後手良しという結論のはずだった。
(家に帰ってから調べてみると、平成5年に1局指されたのみで、
 あとはタイトル戦を含めて26局、実に15年間、
先手側は誰も第1図に踏み込んでいない)

実際に第1図を迎えて、僕は例によってこんこんと考え続けた。
でも、後手が良くなる順は一つも発見できなかった。
一番難しいと思う順を指したつもりだったが、
第2図の▲2二歩でしびれている。



結局、自分で1から検証しようとせず、
「結論は○○良しのはずだから」
ということで済ませていた姿勢に問題があった。
今まで得てきた知識を全て検証するには膨大な時間がかかるが、
できるところから、今まで通り一つ一つ積み重ねていきたい。
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自分と向き合う

2008年02月11日 | 将棋関係
明日は、C1 対富岡八段戦です。

対局前は、不安になります。
怖い、と思います。

でも、不安から逃げずにいると、
だんだん、不安なままでいい、と思えてきます。
不安でいることも、それほど悪くはない、と思えてきます。

与えられた機会に、
そして、多くの人の尽力により、
明日将棋が指せることに感謝して、
僕はいつも通り、ベストを尽くします。
コメント (2)
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理詰めの世界

2008年02月03日 | 対局
竜王戦 対 中村(太)四段戦

おかしい。
この手順ならこちらが簡単に勝ちのはず・・・。
そう思って改めて読み直して、僕は真っ青になった。

際どい終盤戦で、第1図。
(僕は後手番です)



今、僕が△7七歩と打った場面。

後手玉ももちろん危ないが、
ギリギリで詰まないことは読み切っている。
そして、先手玉は詰めろ。
8三の飛車を取られても、5五の銀を取られても、
詰み手順に影響はない。

訝しげに局面を眺めていると、
ふと、ある手に気が付いた。

▲6八玉と上がる手がある!!



攻め駒から遠ざかる早逃げの手筋なら、僕もうっかりしない。
でも、△7八歩成や△7八銀に対して、それほど効果があるとは思えない、
この▲6八玉。
詳しい手順は複雑なのでエントリーの最後に書くが、
とにかく▲6八玉なら先手が勝ちだった。
(今冷静な目で見ても、非常に指しにくい一手である)
 
実戦は▲4二と。
この瞬間先手の勝ちが消えて、
僕は勝つことができた。


久々に終盤のスリルを味わった一局。
序盤の駆け引きも好きだけれど、
僕はこうした難解な終盤を読んでいるのが、
一番「将棋を指している」という実感がある。



(参考1図以下の補足)

参考図で、△7八歩成は精算されて次に手がない。
8三の飛車が当たりになっているのが痛い。

本命は△7八銀。
しかし、

▲7七桂△同と ▲同金 △6九銀成
▲同玉△8九飛成▲7九歩△3九飛
▲4九歩△同飛成▲5九金打

で先手勝ち。
この時、先手の持ち駒が「銀」なので、
次に▲6三銀打から簡単に詰んでしまう。
第1図以外の局面だと、
金銀を入れ替えても詰めろにならないのが、
第1図しか▲6八玉が成立しない理由。

なお、先手が第1図で▲4二とと指したのは、
以下、

△同玉▲3三角成△5二玉▲3四馬の「合駒請求」で、
△4三桂と受けさせる意味。

終盤では、合駒を使わせることで自陣の危険を緩和させることが、
好手になることが多いので、
実戦心理としてはこう指したいという気持ちが強い。
これが、第1図で▲6八玉と指しにくい理由。
コメント (5)
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