* * *
地面をケムシが歩いていた。
ケムシってこんなに早く進むのか、そんなに急いでどこ行こうと
してるのかな。
風が吹いて段差のある道に落ちた。ちょっと体をくねらせた後、それでも
うんしょうんしょと進んでいく。
じっと見てるのをやめ、ケムシを追い越して歩いていくと、その先には
保育園があって、桜の木に目がとまった。
あのケムシは元居た場所に戻ろうとしているんじゃないか。
風で飛ばされてしまったんじゃないだろうか。
見届けてみようと引き返してさっきのケムシを探した。
つぶされて死んでいた。
きっと引き返した時すれ違った自転車に轢かれたのだ。
そういうことなんだよなぁ。