ものづくり現場の体験から(第2年度) 第20回 改善とは
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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。
第19~20回は自動車会社の製造工程で改善活動を実践し、その後中小企業の支援活動を通し経験した改善活動への
考え方について萩野太郎が担当します。
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このブログは、神奈川県中央会が運営しています!
http://www.chuokai-kanagawa.or.jp/
http://www.facebook.com/chuokai.kanagawa
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第20回 改善とは
1)よい改善は楽しみながら
改善とは、「安全や品質を維持しながら限りなく原価を下げ、利益を生み出していくための活動
である」などと云うと極めてつらい息苦しく、無理にやらされているように思えるかもしれません。
私の経験から、改善というのは、言われたり、いやいややっても成果は期待出来ないと思います。
仲間と一緒に知恵と体を動かし汗をかく中で皆と成果を味わい、喜ぶようでないと改善を目指した
課題の解決は出来ないでしょう。
すなわち、改善で何かを変えていくとき、関係者と一緒になって楽しく実行することが基本であり、
さらに大事なのは今まで行われていたことはすべて良いとする考え方でスタートします。過去を全て
否定すると感情的なしこりが残ることが多いと思います。
例えば現在売れていない商品であっても、過去においてはマーケットにマッチしていたから売れた
ところからスタートします。そのうえでその後マーケットの何が変化したのかを考えることにより、
課題と改善策が生まれてくると思います。
実際の改善にあたっては、現状はどうであれ過去に成果をあげたからこそ、現在の会社があり、
現在の人がいるのです。輝かしい過去を否定するのではなく、過去の成功体験を忘れ、関係者と
愉快に楽しくゲーム感覚で取組むと、たとえ改善が深夜に及んでも疲れはたまらないし、よいアイ
デアも浮かんできます。
2) 改善目標の考え方
ものづくりの歩留まりや販売などで目標を決めるとき、対前年比6%増とか5%増といった数字を前に、
企画部門と生産部門や営業部門がやりとりを繰り返し、最終的に5.5%といった落とし所を求めて時間
をかける、官僚的な交渉は全く意味がありません。不良率や在庫の回転率なども同様です。小数点
以下の細かい数値のやりとりは何の進歩もありません。
業界の常識や平均値を目標にしていては、沈みゆく船に乗っているようなものであり、例えば不良率
3%を目標にすればこんなに利益が出ますとしても、不良率0%や0.1%まで下げられればさらに大きな
成果が得られるでしょう。不思議なもので常識にとらわれた目標値だといつまでたっても業界水準以上
のものは出せなくなってしまいます。べらぼうと思われるはるかに高い目標値にした場合は、小手先の
改善ではどうにもならないため、今までと根本的に違った発想が必要になり、それが進歩を生むこと
になります。目標を掲げるときは、不可能と思える数字でもその目標に意味があれば果敢に挑戦して
みる、もちろん完全な達成は難しいかもしれません、しかし、挑戦は必ず大きな進歩を生み、その進歩
を通して成し遂げるための能力が組織にあることを実感できることが大切だと思います。
萩野 太郎 (技術士、(公社)日本技術士会 神奈川県支部会員)
1年間20回にわたり、7名の技術士が“ものづくり”の体験から得た情報を提供してきました。中小企業の
皆様に少しでもお役にたてれば幸いです。ご購読ありがとうございました。
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公益社団法人日本技術士会 神奈川県支部
http://www.engineer.or.jp/c_shibu/kanagawa/
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お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。
第19~20回は自動車会社の製造工程で改善活動を実践し、その後中小企業の支援活動を通し経験した改善活動への
考え方について萩野太郎が担当します。
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1)よい改善は楽しみながら
改善とは、「安全や品質を維持しながら限りなく原価を下げ、利益を生み出していくための活動
である」などと云うと極めてつらい息苦しく、無理にやらされているように思えるかもしれません。
私の経験から、改善というのは、言われたり、いやいややっても成果は期待出来ないと思います。
仲間と一緒に知恵と体を動かし汗をかく中で皆と成果を味わい、喜ぶようでないと改善を目指した
課題の解決は出来ないでしょう。
すなわち、改善で何かを変えていくとき、関係者と一緒になって楽しく実行することが基本であり、
さらに大事なのは今まで行われていたことはすべて良いとする考え方でスタートします。過去を全て
否定すると感情的なしこりが残ることが多いと思います。
例えば現在売れていない商品であっても、過去においてはマーケットにマッチしていたから売れた
ところからスタートします。そのうえでその後マーケットの何が変化したのかを考えることにより、
課題と改善策が生まれてくると思います。
実際の改善にあたっては、現状はどうであれ過去に成果をあげたからこそ、現在の会社があり、
現在の人がいるのです。輝かしい過去を否定するのではなく、過去の成功体験を忘れ、関係者と
愉快に楽しくゲーム感覚で取組むと、たとえ改善が深夜に及んでも疲れはたまらないし、よいアイ
デアも浮かんできます。
2) 改善目標の考え方
ものづくりの歩留まりや販売などで目標を決めるとき、対前年比6%増とか5%増といった数字を前に、
企画部門と生産部門や営業部門がやりとりを繰り返し、最終的に5.5%といった落とし所を求めて時間
をかける、官僚的な交渉は全く意味がありません。不良率や在庫の回転率なども同様です。小数点
以下の細かい数値のやりとりは何の進歩もありません。
業界の常識や平均値を目標にしていては、沈みゆく船に乗っているようなものであり、例えば不良率
3%を目標にすればこんなに利益が出ますとしても、不良率0%や0.1%まで下げられればさらに大きな
成果が得られるでしょう。不思議なもので常識にとらわれた目標値だといつまでたっても業界水準以上
のものは出せなくなってしまいます。べらぼうと思われるはるかに高い目標値にした場合は、小手先の
改善ではどうにもならないため、今までと根本的に違った発想が必要になり、それが進歩を生むこと
になります。目標を掲げるときは、不可能と思える数字でもその目標に意味があれば果敢に挑戦して
みる、もちろん完全な達成は難しいかもしれません、しかし、挑戦は必ず大きな進歩を生み、その進歩
を通して成し遂げるための能力が組織にあることを実感できることが大切だと思います。
萩野 太郎 (技術士、(公社)日本技術士会 神奈川県支部会員)
1年間20回にわたり、7名の技術士が“ものづくり”の体験から得た情報を提供してきました。中小企業の
皆様に少しでもお役にたてれば幸いです。ご購読ありがとうございました。
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