神奈川県中央会では、3つのテーマによる専門家の記事を載せています。
本日は「経営革新」をテーマとした中小企業診断士竹内幸次氏の第108回目の記事となります。
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108回 これからの起業を考える
株式会社スプラムの中小企業診断士竹内幸次です。前回の「アンブッシュ・マーケティング」に続いて、今回は「これからの起業を考える」がテーマです。
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起業希望者の増加
ここ数か月のことですが、私が講師を担当する起業塾・創業塾の受講者数が増えているように感じます。また、参加者数のみならず、実際に起業を行う予定の人が増えているようにも感じます。きちっとした統計データではなく、あくまで私の実感ですが、日本経済の成長期待が起業マインドにも変化をもたらしているようです。
安倍首相も海外で、とくに女性の起業促進についてスピーチをしています。こらからの日本は、起業が大きなテーマになると思います。
従来の起業と今後の起業
あえて統計データを示さず、現場で18年間中小企業や起業支援をしてきた立場から実感として書きます。
(1)従来の起業
ベンチャーという言葉が盛んに使われていた時代は、成長が見込める分野で起業し、できれば早期に株式を公開して創業者利益を得るという形態がよく見られたように思います。ベンチャー起業は果敢に挑戦する企業という意味ですが、どことなく、市場(顧客)の満足度よりも、新規性や革新性、総資産のような事項に評価の中心があったように感じます。
(2)起業の転換
予想以上に長引いたバブル経済崩壊の足跡。この時期はデフレ経済下であり、賃金水準をなるべく下げず、解雇をたやすく行わない日本型経営にも限界が来ました。倒産や解雇も多かったことから、「仕方なく起業した」という例も多かったように思います。逆に、この時期に「起業」が「一部の鼻息の荒い若者」から、身近な存在に変化したように思います。夢を追いかける起業から、身近な生活のための起業。
(3)今後の起業
デフレ終息、消費税率アップ、TPP等の大変に大きな環境変化が起きている現在は、起業の形態も過去2つの段階とはまた異なる形態になるように思います。
・株式公開等の金融市場よりも、目の前の問題を解決する手段としての起業が増加する
・女性や高齢者等が身近な視点で起業することが増える
・日本で起業し、海外に売る海外需要獲得型の起業が増える
起業支援のあり方
現政権下では創業補助金等の金融面での国の支援がとても多くなりました。良いことです。応募案件の7割以上が採択されており、起業を支援するという本来の目的に適った運営がされていると感じます。今後は以下のような起業支援が期待されるところです。
・起業に興味を持つ人の裾野を広げる施策
・起業に関するノウハウを習得する機会を広げる施策
・アーリーステージ(創業からざっと5年間)で伴走的に支援する者の存在
・創業から10年間ほどの特例措置の増加(現在の大企業も中小企業も同じ手続きが必要となる事項の緩和)
・起業予定者や創業者を歓迎する社会的価値観や取引慣行
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株式会社スプラム代表取締役 竹内幸次 http://www.spram.co.jp/
中小企業診断士竹内幸次ブログ http://blog.goo.ne.jp/2300062/
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