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経営に関する法律情報~契約を見つめ直す その3~

2013-09-27 17:28:57 | 経営に関する法律情報

神奈川県中央会では、3つのテーマによる専門家の記事を載せています。

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本日は、法律事務所 佐(たすく) 弁護士 佐々木光春氏による「経営に関する法律情報」をテーマとしたビジネスブログです。前回「契約を見つめ直す ~その2~」に引き続き、第5回目は「契約を見つめ直す ~その3~」となります。

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契約を見つめ直す その3

前回までは、契約の成立、代金の支払方法や瑕疵(不具合)などの話をしてきましたが、これらは、相手方が正常な状態であること、即ち、相手方が義務を履行できることを前提としたものでした。

今回からは、相手方が義務を履行できない非常事態にどういう対応をするかという観点から契約を見つめ直していきたいと思います。
ここでも売主の立場と買主の立場では、採るべき対応は全く異なります。
売主の場合は、第1に代金を回収することを考え、次善の策として売った物を取り戻す、出荷しないということを考えることになります。
他方、買主の場合は、後から瑕疵(不具合)が発生したときにどうするかということを考えることになります。

まず、売主の代金回収についてですが、買主以外からも回収することができるようにしておけば、当然のことながら、回収の可能性は高まります。

例えば、関連会社や買主の代表者に連帯保証をしてもらうことなどが、これにあたります。保証は、書面でしなければならないので、契約書に規定しておくことが必要です。最初から連帯保証をとることが難しいときでも、代金の支払遅滞が生じた場合に連帯保証人を提供するなどの規定をしておけば、その後の交渉に役立つことがあります。

また売買の場合には、動産売買の先取特権というものがあります。この権利には、転売先から買主が受け取る代金を、直接売主が回収できるという効力が含まれているので、転売されているときには、非常に有効です。
動産売買の先取特権は、売買契約であれば法律上当然に認められるので、契約書で特別な規定は不要です。

しかし、この権利を実行するためには、売った物と転売された物が同じものであることを裁判所に証明しなければならず、この証明は、事実上書面で行うことが必要です。そのため、契約書、注文請書、納品書などに、品名だけでなく、サイズやロットナンバーなどの物が特定できる記載をしておくことが必要です。

事前に転売先や具体的な転売の内容を把握できない場合でも、契約書に代金支払遅滞などの信用不安が生じた場合の情報提供義務を定めておいたことで、買主や転売先から情報を得られたこともあります。
情報提供義務というのは、交渉の際にはとても役に立ち、また平時の契約時には拒否されることも少ないので、契約を見つめ直す際には、どんなときにどんな情報が必要になるかをよく検討することが重要です。

次回も引き続き、所有権留保や解除などの非常事態における契約の役割について話をしていきます。

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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春


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ものづくり現場の体験から~第5回 図面にない骨~

2013-09-18 13:06:32 | ものづくり情報


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はじめに:本シリーズ(全16回)は過去に体験した"ものづくり"の現場を、技術士メンバーが交代でお役立ち情報として提供したいと企画しました。本ブログを通して色々と意見交換ができたらと思います。よろしくご愛読ください。

第4~6回はものづくり現場の体験から得た情報を大川 治が提供します。

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第5回 図面にない骨


■図面完成

 大きな油タンク、容量約20,000トンに、円錐型の屋根をつける。コーンルーフタンクの建設である。屋根を支えるのに普通は支柱を立てるのであるが、今回は埋め立て地で地盤条件が悪いので、トラスで屋根を支える設計図が書き上がってきた。


■どうやって組みあげる?

 さて、工事面。トラスは工場製作して現場に運び込む。あとは現場でそのトラス同士を組み立てれば、屋根は完成するのだが、その骨の部分。どうやってトラス同士を組みつければいいんだろう? 考えこんでしまった。

考えあぐねていわゆる下請けの、現場を取り仕切ってくれることになっているベテランの職人さんに来てもらって、図面を前に相談に及んだ。構造計算書も用意していたんだが、そんなもの職人さんは全く見なかった。・・・・・ややしばし、職人さんは言った。
「主任さん、ここんところに骨一本おごってくれんかね」
「サイズは?」
「適当でいいよ、50のアングルじゃ困るがね」

強度計算上は全く必要のない骨なのである。現場の修羅場を何回もくぐってこられたベテランの貴重きわまりない現場の知恵。早速図面には、適当なサイズの骨を書き加えて出図してもらった。


■見事に成功

 現場はこの職人さんに率いられた少数精鋭の、職人集団の参画によって、見事に組上がり、完工した。このタンク、建造からすでに50年以上、横浜のキリンビール工場の近くにあって未だに現役で稼働中である。

 中小企業にこそこのようなベテランの知恵が脈々として引き継がれている。その技術とともに記録に残らない知恵もノウハウとして非常に貴重なもの。年寄りだからといって、ベテランをないがしろにしてはなりません。日本の技術力は間違いなく一流なのです。物事を上下関係で見がちな我が国において、大企業が中小企業を見下すような風潮がないとはいえませんが、技術がよければ仕事が向こうからやってくるはずです。

大川 治(技術士、(公社)日本技術士会神奈川県支部会員)

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日本技術士会神奈川県支部
http://www.engineer.or.jp/c_shibu/kanagawa/


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経営者のための労働情報~日本は世界の最先端を走っている~

2013-09-12 09:52:17 | 経営者のための労働情報

神奈川県中央会では、専門家執筆によるブログの記事を載せています。

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本日は「経営者側からの視点での人事労務」をテーマとした法政大学経営学大学院
イノベーションマネジメント研究科藤村博之教授の第17回目の記事となります。

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■第17回 日本は世界の最先端を走っている


日本の特徴は高齢化のスピードが速いこと

 人口構成の高齢化は、日本だけではなく先進国や中進国にも共通した課題です。日本の特徴は、高齢化のスピードが速いことにあります。『平成22年版高齢社会白書』によると、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)は、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年であったのに対し、日本は、1970年から1994年の24年間で7%から14%になりました。

 スピードは各国まちまちですが、高齢化自体は世界的な傾向です。ヨーロッパ諸国はもとより、アジア各国も確実に高齢者の割合は高まっています。その中で先頭を切っているのが日本です。世界の最先端を走るというのは、お手本がないため、自分たちで道を切り開いていかなければなりません。たいへんな道のりです。しかし、見方を変えれば、これほどチャレンジングでおもしろい課題はないとも言えます。

 事実、世界の国々は、日本の高齢化対策に注目しています。ドイツの研究者は、「ドイツの高齢化問題は、日本よりも5年遅れてやって来るという印象を持っている。そのため、日本の施策の成功失敗を注意深く研究している。」と話しています。お隣の韓国や台湾からは、多くの研究者が日本を訪れ、高齢化対策を研究しています。いまや日本は、高齢者活用の分野で世界に範を示す国になっているのです。


人類の理想を実現しつつある日本

 日本の高齢化のスピードが速いのは、長寿化と少子化が同時に発生しているからです。この点については前回触れました。不老長寿は、昔からの人類最大の目的であり、日本はその目的を達成しつつあると言うこともできます。それは、平均寿命だけでなく、健康寿命も世界有数だからです。
2010年の平均寿命(0歳児の平均余命)は、男性79.64歳、女性86.39歳、同年の健康寿命(心身ともに自立して健康に暮らせる年齢)は、男性70・42歳、女性73・62歳でした。厚生労働省基準の健康寿命と世界保健機構(WHO)基準の健康寿命には、両者の定義の違いによって若干の差がありますが、健康に長生きするという点でも日本は世界のトップを走っているのです。


私たち日本人の叡知を示す

 このように書いても、心の晴れない読者は多いと思います。「確かに世界の最先端かもしれないけれど、人口構成の高齢化は問題ばかり多くて、決して手放しで喜べるようなものではない。社会保障費の負担は年々増大するし、公的年金に対する不安も増すばかりだ。未来に希望など持てないではないか」という声が聞こえてきそうです。

 社会は、それぞれに問題を抱えています。暴動やテロなど生命の危険と隣り合わせの国や国民の大半が飢えに苦しんでいる国、言論が統制されていて自由に意見が言えない国など、日本ほど安全で自由な国は他に数えるほどしかありません。
人口構成の高齢化は確かに問題ですが、解決できない課題ではありません。しかも、世界中の国が日本の動向を注視し、成功した施策は他の国の指針になるのです。国民経済の規模では中国の後塵を拝するようになりましたが、高齢化問題への対策では、他国から尊敬され、模範となることができると言えます。日本の叡知を世界に示せる絶好の機会であるととらえ、果敢に挑戦していこうではありませんか。

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法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科
教 授 藤 村 博 之
http://www.fujimuralab.com/

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経営革新で未来を拓こう!~言葉による経営革新~

2013-09-09 08:36:43 | 経営革新をするには



神奈川県中央会では、3つのテーマによる専門家の記事を載せています。

本日は「経営革新」をテーマとした中小企業診断士竹内幸次氏の第105回目の記事となります。

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105回 言葉による経営革新

株式会社スプラムの中小企業診断士竹内幸次です。前回の「収益になるウェブサービスと、話題になるウェブサービス」に続いて、今回は「言葉による経営革新」がテーマです。

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商売の基本は「誰かに喜んで頂くこと」

商売は笑売、そして笑倍。はるか昔の物々交換の時代から、商売は相手が喜ぶことを提供することでした。電機自動車も、インスタントメッセンジャーのLINEも、どんなに時代が変化しても、顧客から代金を頂いて、その顧客にとって価値がある商品やサービスを提供することが商売です。

ところが、最近、この「相手に喜んで頂くこと」への意識が薄い人も増えたように感じます。例えば、顧客がその商品を買うのは、その物体が欲しいのではなく、商品を使って楽しんだり、生活を豊かにしたいから買うのですが、その「商品を使った状態」がイメージできず、単に目の前の物体の販売だけに終始している売り方になってしまっている場合があります。

顧客はカーライフを楽しみたいのに、売り手は車という物体の説明や物体の価格の話に終始してしまう。もちろん物体自体に興味がある顧客もいると思いますが、多くの場合、その商品やサービスを欲しいと顧客が思う理由は、その物体等を利用した状態が欲しいからなのです。


こんな言葉を顧客に掛けてみよう!

上記の車販売を例にすると、以下のような言葉を顧客に掛けてみましょう。物体を購入する意味を顧客がイメージできて、販売交渉もスムースになるはずです。

・きっと、行きたい場所に、安全に連れて行ってくれますよ、この車
・ご家族が車内で談笑する声が聞こえてきそうです
・ハイブリッドですから燃費もいいので、給油に掛けていた時間を顧客面談に使えますよ



「一言添え」と「言い方」で顧客を喜ばす

また、以下のような「一言添え」をしてみましょう。その際には相手の目を見て、心をこめた言い方をしましょう。

・(顧客がお店を出る際に)お気をつけてお帰り下さい
・またお会いできる日を楽しみにしております
・(急に店内が込み始めたら)○○様がいらしたので、どんどん新規のお客様が来店されました
・(閉店時間近くで)○○様がお帰りになる時間が当店の閉店時間です
・(飲食店等で)お待たせいたしました、今日は特別にいい食材ですよ


中小企業経営者の皆様、言葉による経営革新、ぜひ認識をお持ちください。


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株式会社スプラム代表取締役 竹内幸次 http://www.spram.co.jp/

中小企業診断士竹内幸次ブログ http://blog.goo.ne.jp/2300062/

株式会社スプラムFacebookページ http://www.facebook.com/spramjp

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ものづくり現場の体験から~第4回 実績主義の弊害~

2013-09-02 15:29:35 | ものづくり情報


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はじめに:本シリーズ(全16回)は過去に体験した"ものづくり"の現場を、技術士メンバーが交代でお役立ち
情報として提供したいと企画しました。本ブログを通して色々と意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第4~6回はものづくり現場の体験から得た情報を大川 治が提供します。

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第4回 実績主義の弊害

我が若かかりし頃、一応大企業の範疇に属する会社にいた時にプロジェクトマネージャー(プロマネ)と
してLPG基地の設計から建設、試運転までやったときの実話である。


■LPGヒーター(熱交換器)の効率改善のための新機軸

効率改善のために熱交の管束の下から空気を吹き込むことを思いついた。空気を無駄なく管束の下から吹き
上げるために、熱交換器の断面は通常の円形ではなく箱形にした。大袈裟に言えばこれ私の発明品、従って
世界初のお目見えである。


■新機軸の成功と不満

現場での建設も無事終えて、この角形熱交の試運転、効果測定まで行った結果、狙い通りの効率改善には
成功した。結果はよかったのだが、自分としては反省点があった。
それは、箱形故に端部のフランジを角形のままに設計してしまったが故に必然的にパッキンも四角になる。
これだといったん漏れが発生すると、ボルトを締め付けてもその漏れを止めることが難しいのである。

考えてみれば理の当然のこと。漏れ試験で難渋したものだから、この経験を論文にして周知させておいた。
すなわち、これから箱形タイプの熱交換器を採用する場合には、端面のフランジは円形がよいと結論づけ、
その旨推奨しておいた。


■リピートオーダーの受注

時は移る。すこし偉くなって技師長を拝命していた私のところに、角形熱交換器の図面があがってきた。
待望の第2号機の受注に成功したものである。ところがなんと端面のフランジは円形にはなっていない! 
早速現場のことを考えて、かつて論文で推奨しておいたように、端面のフランジは円形のものをデザイン
するように申しつけた。しかし、担当者が何となくもじもじクヨクヨして困惑している様子。
問いつめたところ、設計課長が実績がないとの一点張りで、角形フランジでないと設計図を承認してくれ
ないというのだ。


■変な実績主義

実績がないものは問題が生じやすいというのは一面の真理であろう。しかしながら、発明品で、私の経験
からそれよりもいいものとして、論文にして推奨までしておいたものを、この絶好の機会に、まるで変な
実績主義をふりまわすのでは、技術改良もなにもあったものではない。技術というものはよりいいものを
求めて日々ブラッシュアップしてゆくべきものでありましょう。


■大企業だって・・・

どうです?大企業であっても、内情はこのようなものなのです。
皆様方の会社ではこのようなことはないとはおもいますが・・・?
現場を愛し、よくものを見ている方々がいっぱいいる、ものづくりの中小企業、わたしはそんな会社が
大好きです。

中小企業の技術者のみなさん! 自信をもって技術のさらなる改良に日夜頑張りましょう。

大川 治(技術士、(公社)日本技術士会神奈川県支部会員)

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日本技術士会神奈川県支部
http://www.engineer.or.jp/c_shibu/kanagawa/


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