神奈川県中央会では、4つのテーマによる専門家の記事を載せています。
本日は「経営革新」をテーマとした中小企業診断士 竹内幸次氏の第8回目の記事となります。
株式会社スプラムの中小企業診断士竹内幸次です。前回の「バランススコアカードを使った目標体系づくり」に続いて、今回は「組織面における経営革新の進め方」がテーマです。
1.市場戦略を実行するために組織・人事戦略を位置づける
組織・人事面の戦略では、主に次の事項を決めていきます。
(1)組織の構造/どの部署の中に、どの部門を作るか等
(2)組織のモチベーション(やる気)のアップ
まずは(1)の組織の構造を決めるのですが、ここでのポイントは「業務プロセス面」や「顧客面」等他の戦略との整合性を取ることです。
例えば、BtoB(企業間取引)からBtoC(一般消費者取引)へ新規に進出する場合(つまり、業務プロセスも顧客も変わる場合)、それが実現できる組織にしなければなりません。例えば、BtoBの事業のみの時には不要だった消費者相談室やリピート購買を促すための会員組織も発足させる必要があるでしょう。
ここで、組織の構造を決める際の発想の手順は以下です。
(1)顧客に向けた市場戦略を決める
(2)その市場戦略を実行するために最適な組織構造に変更する
「組織構造は戦略に従う」という言葉はあまりにも有名です。目的性をもって組織を変える、これがポイントです。
2.風通しのよい職場を作る
市場戦略に最適な組織構造ができたら、次は組織のモチベーション(やる気)のアップです。モチベーションの上げ方には様々な理論がありますが、ここでは中小企業が「風通しのよい職場を作ること」が重要であることを説明しましょう。
以下のグラフは、“どのような取組を行うと若年層の定着率が良くなるのか”を分析したものです。これによると、若年者の定着率に差が出る取組は風通しの良い職場づくりと若年者を成長させるための取組であることが分かります。
逆に、実力主義の導入や高賃金は若年層の定着率とは無関係なのです。
出所:2006年版中小企業白書
このことから、中小企業ではモチベーションアップのために以下の事項に取り組みましょう。
(1)経営者と従業員が意見交換する機会を定期的に設ける
(2)上司の評価項目に“部下の育成”を必ず入れる
次回は、「業務プロセス面における経営革新の進め方」をご紹介します。ご期待ください!