神奈川県中央会では、2つのテーマ(「ビジネスITスキル情報」、「労務管理情報」)による専門家の記事を載せています。
本日は、「労務管理情報」をテーマとした社会保険労務士法人ことのは 社会保険労務士 益子英之氏の26回目の記事となります。
今回のテーマは「注意が必要!36協定届の様式変更(2021年4月より)」となっています。
なお、前回のブログを見逃した方はこちらからご覧いただけます!
「テレワークを上手に活用しましょう」
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36協定 (時間外労働・休日労働に関する協定届)とは、労働基準法36条に基づく労使協定で、使用者が労働者に法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超える時間外労働(残業)を命じる場合には、その企業規模に関係なく必ず必要な文書です。時間外労働や休日労働を命じる場合の具体的な事由(受注の集中、棚卸など)や労働者の人数、延長することができる時間数(上限時間)などを定めた協定を締結し、所定の様式であらかじめ所轄の労働基準監督署へ届け出をしなければ、労働者に時間外労働をさせることはできません(届出をしないままだと労働基準法違反になります)。
この所轄労基署へ届出する36協定届の様式が、政府のデジタルガバメントの推進(デジタル化による行政手続きの簡素化)の一環で、2021年4月から様式が新しくなります。
1、36協定届の届出の際、使用者の押印及び署名が不要になります。
これまで36協定「届」には使用者の押印および署名が必要でしたが、同内容について別に合意された36協定があれ ば、所轄労基署へ届出をする36協定「届」には、押印及び署名が不要となり、電子申請(デジタル化)による届け出が 可能となります。
ここで注意が必要なのは、「①労使間で締結する36協定(労使が話し合い決定した労働条件を書面に書き起こしたも の)」と「②労基署へ届出する36協定届(国が定める様式による届出)」は別のものだということです。
今回の変更は、①の36協定がある場合に限って、②の36協定届について押印・署名が不要になるということなので、 ①36協定が無い場合は、「②36協定届が①を兼ねる」ことになり、結果これまで通り労基署へ届出をする②36協定届に は押印・署名が必要になりますので混乱しないようにしてください。
つまり、今回の変更は、当該②36協定届の届出義務は使用者に課せられているので、使用者が責任をもって①36協定 を作成しているのであれば、②36協定届には、押印等を不要とするということです。ちょっと分かりにくいですね。
2、過半数労働組合及び過半数代表者についてのチェックボックスが新設されます。
前述②36協定届には、その内容について労働者が合意していることを確認する意味で、労働者代表の署名・押印が必 要でしたが、こちらの署名・押印も①36協定がある場合に限っては不要になります。
その代わりに、チェックボックスが新設されますが、そのチェックボックスにチェックが無い場合は、形式上の要件 を備えていないとされ、届出をしても受け付けてもらえませんので気を付けてください。