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経営者のための労働情報~大学教育は役に立つ!?~

2012-08-10 09:13:51 | 経営者のための労働情報

神奈川県中央会では、3つのテーマによる専門家の記事を載せています。

本日は「経営者側からの視点での人事労務」をテーマとした法政大学経営学大学院イノベーションマネジメント研究科藤村博之教授の第3回目の記事となります。

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第3回 大学教育は役に立つ!?


 「大学教育って本当に役に立つんですか?」という質問をときどき受けます。私は、「とても役に立ちますよ」とお答えすることにしています。大学で学ぶことは、社会に出て働くようになったときに必要とされる能力の育成に直結しているからです。

 大学教育の特徴を最も良く表しているのは、論文を書くことです。論文を書くには、テーマが必要です。自分が興味を持っていることや疑問に思っている点を調べることによって、テーマが絞られてきます。興味関心は、しばしば「なぜ○○なのか?」という疑問形で表現されます。その疑問を解くために仮説を設定し、それを検証するために必要なデータを集め、仮説を一つ一つ検証していきます。その結果、一定の結論が得られ、残された課題が明確になります。

 このプロセスは、企業において日常的に展開されている仕事の流れとほぼ重なっています。例えば、新製品の売れ行きが予想に反して低迷することがあります。「なぜ売れないのか」について仮説を立て、その仮説を検証するために必要な情報を収集します。既存のデータが不十分であれば、独自の調査を企画・実行することも必要になります。そうして集められたデータを使って仮説を検証し、どの仮説が最も当てはまりそうかを確定し、それに基づいた対策を立てて実行することになります。論文を書くことにまじめに取り組んできた学生には、働くために必要とされる基礎的な能力が身についていることになります。

 企業の採用担当者は、しばしば即戦力がほしいと言います。この言葉を聞いた学生たちは、公的資格の取得が有効だと考え、大学生としての本来の勉学はそっちのけで、資格に関係する勉強に励むことになります。でも、企業が求めているのは、資格を持った学生ではないはずです。自分の頭で考え、課題を発見して、その課題解決のために自ら動いていく力を持った人材を求めておられるのではないでしょうか。

 大学生は、大学本来の勉強方法に立ち返るべきです。自分でテーマをさがして、自らの足でデータを収集することの重要性を実感しなければなりません。そのためには、企業の協力が不可欠です。大学でしっかりした論文を書いてきた学生を企業が率先して採用するようになれば、学生の行動も変わるはずです。学生の育成に企業がもっと積極的に関わってくださることをお願いしたいと思います。

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法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科
教 授 藤 村 博 之
http://www.fujimuralab.com/
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