神奈川県中央会では、3つのテーマ(「経営革新情報」、「ビジネスITスキル情報」、「労務管理情報」)による専門家の記事を載せています。
本日は「経営革新」をテーマとした中小企業診断士竹内幸次氏の204回目の記事となります。
前回のブログを見逃した方はこちらからご覧いただけます!
「OODAループで現場革新」
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第204回 革新型経営で人手不足を解消する
株式会社スプラムの中小企業診断士竹内幸次です。前回の「OODAループで現場革新」に続いて、今回は「革新型経営で人手不足を解消する」がテーマです。
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中小企業では人手不足感が依然として高い
中小企業庁の中小企業景況調査(2019年10-12月)によると、全国の中小企業の従業員数過不足DI(「過剰」-「不足」)は▲21.4です。つまり人材不足である中小企業の方が相変わらず多いことが分かります。▲21.4という水準は過去2年間ほぼ同じです。原材料費が高騰する中で、利益を出すために売上高を増やしたいが、自社に合う人が雇用できないために受注や生産を増やすことができずに利益だけが低下するという中小企業は少なくありません。
生産性向上に取り組むための人材もいない
中小企業の生産性向上のための施策は各種あり、国として取り組んでいるものの、現場から考えると、生産性向上のための新規設備を導入したり、クラウド型ソフトウエアを導入したり、原価管理を徹底するにも、その業務を行う人材がいない状況です。革新的な生産性向上策に取り掛かれないため、現状維持が精いっぱいという状況です。
革新型経営で人手不足を解消する
中小企業の中には、人が余っている企業も存在します。理由は様々ですが、売上高を伸ばすことができないため、現在の人件費総額を支払うことができない状況の中小企業です。製造業の中にも、建設業の中にも人余り中小企業は存在します。
仮説:人余りの中小企業の人材を自社が雇用することができるかもしれない。
しかし、すぐに否定的に考えてしまいます。例えば、自社が建設業の場合、製造業の工場勤務者が人余りであっても、社長は「一部の製造業では人が余っていると言うが、うちに転職してもできる仕事はないかもしれない」と考えてしまうのです。自社業務が特殊だと過度に考えてしまう傾向があるからです。
事業構造を変えて、異業種人材を獲得する
雇用しようとしている人(上記の場合、元製造業勤務者)を活かすために、自社にて能力を発揮できる事業を新規に始めるという発想も有効です。
「事業に合った人を採用するのではなく、人に合った事業を新規に始めると考えればいい」。
このように発想することで、自社には新規事業(上記の場合だと建設業が製品製造事業や加工型製造事業を始める)になり、中途採用した元製造業勤務者を雇用することで、総従業員数が増え、従業員配置転換の幅が広がって従来事業の人手不足感を解消できるかもしれません。