ビジネスBLOG @神奈川中央会

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第20回 ものづくり現場の体験から思うこと ~

2016-03-25 13:32:00 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第20回 ものづくり現場の体験から思うこと ~

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本シリーズは2013年度より開始し、3年間に渉り“ものづくり現場”の体験談を神奈川県支部会員の技術士が
リレー形式でお役立ち情報として提供してきましたが、今回(第3年度第20回)を持って終了することになりました。
3年間のまとめとしての感想を、編集を担当した中村正二が述べたいと思います。
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第20回 ものづくり現場の体験から思うこと

 3年間にわたりものづくりに関して色々な角度から話題を提供してきましたが。これらの
話題の中から、私のものづくりの現場体験から特に重要と感じた三つのポイント;①“もの
づくりは人づくり”、②“見える化による改善”、③“現場百回の実践”、について振り返って
みたいと思います。

①ものづくりは人づくり

 “ものづくりの基本は人づくりから始まる”ということに異論はないと思います。その第1
ステップはものづくり現場の人たちとのコミュニケーションから入ります。
 人は夫々個性を持っています。最初は「おはよう」「ごくろうさま」の声掛けから、1対1の
相手と心を通じさせることに時間をかけます。そして、現場の人たちと仲良くなり、意思疎通が
できるような場づくりが、人づくりの基本ができたということと考えます。“上から目線”でなく、
お互いに意見交換を気持ちよくできる場にすれば、それぞれの人の能力、ものの考え方が
分かってきます。人がものを作る以上、このようなベースの中でOJT、教育・訓練、指示、等が
有効になると確信します。もう一つ忘れてならないのは“率先垂範”です。既報「ものづくりは
人づくり」(2015.5.21配信)も参考になります。

②改善は“見える化”から

 これまでいくつかの話題提供の中で“見える化”は改善の基本であることが述べられて
きました。生産性向上(ムダの排除、流れをよくする、作業の標準化、等)、品質の向上
(不良原因やバラツキの原因究明、技能レベルの向上、等)、現場の5S(整理・整頓、
工具・治具管理)、安全な職場づくり、等、全ての改善において“見える化”が絶対に必要
です。
 既報「見える化の工夫」(2014.3.19配信)記載内容が“見える化”第一歩ではないで
しょうか。

③“現場百回の実践”

 私自身のものづくり現場の体験の中で最も大切な行動でした。既報「現場百回の実践」
(2013.8.12配信)で述べているように、「“現場百回”とは刑事や探偵が事故現場に足を
運んで手がかりを得ようとする時に用いられる言葉で、どんな難事件でも百回も現場に
行って調べれば見落としていた状況や思わぬ証拠が見つかるだろう」というものの例え
です。
 ものづくり現場に携わる者として、毎日の現場巡回により、作業者の個々人の状態、
機械の調子、ものの流れ、異常品の発生、などなど、五感をもって感じ続けてゆくこと
です。

 3年間のご愛読ありがとうございました。最近話題となっている、池井戸潤の「下町
ロケット」や「空飛ぶタイヤ」のように、中小企業の熱意と正義で大企業と対抗し、勝つ
道を開いて行くことを願って止みません。

中村 正二 (技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第19回 トヨタ生産方式に思うこと(その3) ~

2016-03-14 10:28:00 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第19回 トヨタ生産方式に思うこと(その3) ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第17回~第19回は、トヨタ生産方式についての過去の体験及び最新図書から思うことを中村正二が述べたいと思います。
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第19回 トヨタ生産方式に思うこと(その3)

 トヨタの指導を受け、第三者の指摘を受けることの重要性について述べてみたい。

第三者の指摘を受けることの大切さ

 「井の中の蛙大海を知らず」の諺がある。長年にわたり製造現場を動かして、その職場に
精通し、多くの改善を行い、自分がいなければこの職場はここまでこれなかった、などと
自信を持っている主がいて、「社内のだれからも指摘されるようなことはしていない」と
思っているものづくり現場でも、色々の体験を通した観察眼を持っている第三者(もちろん、
該当職場の中身は未知である)の指導を仰ぐことは、いつの場合でも必要である。社内では
優れていると評価される職場であっても第三者の目で見れば色々な問題点が見えてくる。
 特に取引先企業の実力者にお願いして現場を見ていただき問題点、改善点等の指摘を
受けることは“一石三鳥”の効果が得られると確信する。“三鳥”とは、「見えないものが
見えてくる」、「指摘された問題点の改善へのインパクトが高まる」、「改善した効果を示す
ことにより取引先の信頼が高まる」をいう。
 ものの流れ、人間関係(コミュニケーション、報連相)、5Sなどはその職場に精通して
いなくてもすぐに見つけることができる。私自身、ものづくり企業をリタイヤして他社(主として
中小企業)の支援をする目的で現場を見たときに、これらのことは容易に見抜くことができると
思っている。その会社の問題点は全てではないが、ポイントを押さえることは容易いことを
実感している。

トヨタの云わんとすること

 当時のトヨタの指導を受けたS氏の講評の言葉(メモがあった)を下記する。
「企業は長いマラソンである。みんなで原価が安く、よいものを作ってゆく。それは知恵くらべ、
腕くらべであると・・・・・・・。そして会社のためだけでなく己の生活と命を守るためにも
みんなで力を合わせてやってゆくことである。」と!! 今でも通用する考えであると思う。
 冒頭(第17回)に紹介した“トヨタ仕事の基本大全”は「ものづくりは、人づくり」を根底として
仕事哲学、5S、改善力、問題解決力、上司力、コミュニケーション、実行力などについて解り
易く解説されている。まだ読まれていない“ものづくり関係者”は是非一読をお勧めしたい。

中村 正二(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第18回 トヨタ生産方式に思うこと(その2) ~

2016-02-23 16:19:00 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第18回 トヨタ生産方式に思うこと(その2) ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第17回~第19回は、トヨタ生産方式についての過去の体験及び最新図書から思うことを中村正二が述べたいと思います。
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第18回 トヨタ生産方式に思うこと(その2)

 前回紹介の“トヨタ仕事の基本大全”に関連する体験談に触れてみることにする。

生産を止める勇気

 今でいうリスク回避の実践例である。
 ものづくり現場においては毎日の与えられた生産量のノルマを達成することを最優先とすることは
言うまでもない。しかし、完成製品に異常の発生が判明した段階でどのような手を打てばよいので
あろうか?もちろん、その製品を見て異常原因が単純明快な場合は、生産を継続したまま対策を
打つことができる。
 私が現場で体験した一つのケースでは、夜間に呼び出しがかかり慌てて現場に向ったところ、
その原因に複雑な要因が絡んでいると判断(もちろん自己判断であるが)し、真因究明に多岐の
調査が必要と思われることがあった。その時、私は一存で生産ラインを停止させた。もちろん
真因追及は各工程の協力を得て比較的速やかに問題を解決することができた。当然、その日の
生産ノルマは達成されなかった。工場の責任者ではない一課長の判断で生産を止めたことに対し、
翌日工場長等幹部より怒られることを覚悟したが、むしろ失敗コストの発生のリスクを回避した
として褒められることとなった。
 「真因を掴むまでは現場を動かさない。生産を止める勇気を持とう。」が私の信念の一つと
なった。トヨタ曰く「事後の百策より事前の一策」

人は使いようで生かすことができる

 これも私の体験談の一つである。
 他の職場で、文句ばかり言って持て余していた作業員をスタッフ部門である私の職場に移動に
なった。最初の印象は使いにくいと感じたが、ものを見る目はしっかりしていると感じ、ある工程
異常の調査と対策を担当させた。他のスタッフより観察眼がするどく、従来の経験を加味して問題
解決に役立つ働きをしてくれた。もちろん、そのことについてしっかりと褒めたところ、以後の動き/
働きが格段に良くなっていった。仕事に活力が出てくると文句や他人批判もなくなり、周りの人々との
コミュニケーションも改善されていった。
 「他部門の評価が悪いからといってダメな人であるという先入観を持ってはいけない」ということを
教えられた。
 トヨタ曰く「実力があるのに埋もれている人がいます。まわりから“あいつはダメだ”という評価で
あっても話してみると自分なりの意見を持っていたり、すごいアイディアを持っている人がいたり
するのです。・・・・・・・」と書かれているのを見て改めて感じた次第である。

中村 正二 (技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第17回 トヨタ生産方式に思うこと(その1) ~

2016-02-04 10:44:43 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第17回 トヨタ生産方式に思うこと(その1) ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第17回~第19回は、トヨタ生産方式についての過去の体験及び最新図書から思うことを中村正二が述べたいと思います。
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第17回 トヨタ生産方式に思うこと(その1)

 昨年、“トヨタ仕事の基本大全”(著者:OJTソリューションズ)という書籍が㈱KADOKAWAより
発行された。この本を読まれた方も多いと思うが、私もこの本を手に取った時、遠い30年以上も
前のものづくり現場の課長時代にトヨタより“トヨタ新生産方式”(当時はこのように読んでいた。
以降“トヨタ生産方式”という)の指導を受けたことを思い出した。そしてこの本を読み進めるうち、
ものづくりの基本は昔も今も全く変わっていないことを改めて感じた。この本の読書感とその頃の
思い出を含め以下に述べてみたい。

トヨタ生産方式の指導を受けた思い出

 当時、工場に技術課長として赴任して間もない私はトヨタ生産方式を十分に理解していないまま、
トヨタS氏の指導を受けるメンバーに加わることになった。トヨタの指導者に初めて接する私にとっては
強烈な表現で厳しい問題点の指摘を受ける初体験であった。
 ものの作り込みや流れに関して、自社としては当たり前と思っているところをトヨタの目で見れば
問題が多数指摘された。当時の詳細な記録から指摘された要点を下記する。
・中間仕掛りが多く、工程間でだぶついていること。(各工程間のバランス)
・先入れ、先出しができていないこと。
・作業者にムダな動きが多いこと。
・不良品がストックされたまま死蔵されていること。
・原価を細切れで見ていること。 等々、以下略
今でも、現場を見れば同じようなことが見つかるはずである。

ものづくり現場での意識を変える

 S氏の指導の中で特に感銘を受けたことは、現場の作業者が多くいる衆人監視の中で現場の役付きや
担当スタッフをボロクソにけなし、叱ることである。私もある場所での説明(先入れ先出しをチャンと
やっていると説明したが、やられていなかった)を「ウソッパチ」と指摘され、首根っこを掴まれ「機会の
中にぶち込むぞ」と叱られたことがあった。現場の作業者の意識を変えるためのスケープゴートに
されたことがあとから判ったが、きれいごとの指摘よりもこのようなテクニックが大きな効果を得ることを
実感した次第である。恥をかかされた気持ちから、さわやかな気分に変化したことを記憶している。

中村 正二 (技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第16回 進捗度のチェックと方向の修正 ~

2016-01-18 09:45:00 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第16回 進捗度のチェックと方向の修正 ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第14回~第16回は、ものづくり企業を訪問し、話し合いの中で得たこと、感じたことについて佐野健治が
述べたいと思います。
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第16回 進捗度のチェックと方向の修正

 前回で課題解決のためのテーマの選定とその具体的な実施方法について述べました。
今回は、その実施計画の進捗度のチェック方法と修正について述べます。

1.実施計画の進捗度チェック

 実行計画を実施して行く上で、その進捗度を把握し、全員の共通の認識にしていくことは
大切です。決められた責任者または担当部署はそのデータを記録しておくことが必要です。
テーマによっては毎月の実績が必要な場合もありますし、発生の都度、記録を残せばよい
ものもあります。
 これらのデータ及び記録を集めて進捗状況を確認することが必要です。テーマにもより
ますが、通常は3ヶ月に1回程度の頻度でチェックする会議を行い、その進捗状況を共通の
情報として共有しているようです。
 1年に1度程度、組織の最高責任者(社長や工場長)も出席した会議で成果を報告し、
今後の実施方法について議論することが必要です。

2.相互チェックの必要性

 進捗状況を3ヶ月に1度程度報告すると述べましたが、これとは別にそれぞれの担当者
または部署の実行状況について、他の部署の担当者が詳細に状況をチェックしコメントを
出すのが効果的と言われています。
 チェックする他の部署はそのテーマや業務に関係のない部署が行うのが効果的で、例えば
製造部門に対し総務部、総務部に対し技術部と言ったように違った見方や経験の目で対象
部署の活動を見ることで今まで当然と思ってきたやり方に対し有効なコメントやアドバイスが
出されることがあります。
 相互にチェックを行うのが効果的と述べましたが、例えば製造部に対し総務部がチェックし、
反対に総務部に対し製造部と言うようにお互いにチェックし合うのは「やられたらやり返す」と
なって良くないようです。チェックする部署と受ける部署はその都度変えて行うべきです。

3.進捗状況の総括と方向の修正
 
 1年に1度程度、組織の最高責任者(社長や工場長)が出席した会議を行うと述べましたが
この会議で進捗状況の1年間の総括を行い、その成果によっては目標値の設定を変えたり、
達成されたテーマは終了にして、新しいテーマを設定するなど企業活動を取り巻く環境に
合わせた目標に変更して行くことが必要です。
 企業は永遠にその活動を続けるのが必須で、それによって従業員をはじめその企業を取り
巻く人々がハッピーになれるのですから。

 次回からは中村 正二が担当します。

佐野 健治(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第15回 課題解決の方策について ~

2015-12-25 15:11:07 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第15回 課題解決の方策について ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第14回~第16回は、ものづくり企業を訪問し、話し合いの中で得たこと、感じたことについて佐野健治が
述べたいと思います。
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第15回 課題解決の方策について

 前回で、現状把握の重要性と問題点抽出の方法と問題点を集約して課題を浮かび上がらせる
方法について述べました。今回はその課題解決方法の進め方について述べます。

1.課題解決のテーマの選定

 いくつかの課題から、これから取り組むべき課題解決のテーマを選定しなければなりません。
 テーマの選定にあたっては、解決すると効果の大きいテーマを選定することが重要です。
時に見られるのは、手を付けやすいテーマ、或いはその方法が容易に想定できるテーマを選ぶ
ことがあります。これでは、何のために前回述べた現状把握と問題点の抽出、課題を明確にした
努力の意味がありません。

2.課題解決のテーマの決め方

 いずれの企業でもテーマの選定には悩まされることが多いようです。誰がやるのか、どのような
方法でやるのか、どの程度までやるのかなど実施方法に考えが行ってしまって結局解決がしやす
そうな安易なテーマを選んでしまうことがあります。
 テーマとしてよく設定される例に「客先からのクレーム低減」、「製造工程での不良率の低減」、
「産業廃棄物の発生量の低減」、「新規客先の開発」、「設計または製造技術の改良による生産
コストの低減」などがありますが、テーマは各社固有の課題の中から選定することが重要です。
今あげた例はイメージをつかんでいただくために列挙したもので、この中から選んでくださいと
例をあげたものではありません。

3.実施方法の決め方
 テーマが決まったら、その実施方法を具体的に決める必要があります。
先ず、達成すべき目標値を決めることです。例えば客先からのクレーム低減の場合、0件が
望ましいのは言うまでもありませんが、努力すれば達成できそうな件数にした方が現実的です。
この場合3年乃至5年程度の中期計画と毎年の年度計画に分けて実施すると効果が上がります。
 次に実施方法と担当責任者、それを実効するための体制や関連部署などを決めて実行に移します。
あとは、計画に従って実行あるのみです。
 進捗度のチェックと方向の修正については次回に述べます。

佐野 健治(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第14回 収益を増やすための重要な課題 ~

2015-12-11 13:15:04 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第14回 収益を増やすための重要な課題 ~

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第14回~第16回は、ものづくり企業を訪問し、話し合いの中で得たこと、感じたことについて佐野健治が
述べたいと思います。
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第14回 収益を増やすための重要な課題

 企業にとって、収益の拡大は大きな課題であると思います。特に、中小企業にとっては
少しでも収益を増やしたい重要な課題であると考えられます。いくつかの企業を訪問し、
お話し合いをする中で感じた亊、得たことを述べたいと思います。企業経営の参考になれば
幸いです。

1.現状把握の重要性

 企業経営では、日常の業務や納期管理などに追われていて現状がどのような状況にある
のか、或いはどのような問題点や課題があるかを系統立てて認識されていない場合が多く
見られるように思います。経営改善(収益のアップ)にはこの現状把握が必須であると考え
られます。
 社長様との面談ではいろいろと経営上の問題点や課題をお話しされますが、その意識が
従業員全体に共有されていない場合が多いように思います。少なくても幹部級の社員とは
共通の認識を持ってほしいものです。

2.現状の問題点の抽出の方法

 問題点抽出の方法にはいろいろとありますが、最も手軽で全社内の現状を把握する方法
としては全社員に日頃の業務を通じて感じている問題点、不十分な点を自由に出してもらう
方法があります。
 この場合、全員またはグループで自由に討議して問題点などを出し合うブレインストー
ミングのような方法もありますが、私は用紙を配布して自分の言葉で思ったことを書き出して
もらうことが重要と考えています。
 そうすることによって、議論ではとかく大きな声に流されることになったり、職階によって
上位の意見でまとめられてしまうことが防げます。

3.問題点の集約と課題への展開

 集まった問題点、意見はその対象技術や部署、或いは問題が大き過ぎたり反対にそれほど
でないものなどを分類し整理して行きます。この作業は全員でなく少数の社員で行えばよい
のです。
 この作業を行うことによって、自然と解決すべき課題が明確になってきます。

課題の解決の方策については次回に述べます。

佐野 健治(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第13回 第4次産業革命が始まった。(その2) ~

2015-11-27 16:07:48 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第13回 第4次産業革命が始まった。(その2) ~

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第11回~第13回は、日本のものづくりのこれからについて、担当 奥村貞雄が、話を進めます。
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第13回 第4次産業革命が始まった。(その2)

 (米国)が取組む「インダストリアル・インターネット」とは?

  一度は失った、ものづくりの覇権をIoTで奪い返そうとしているのが(米国)です。
 GEは、自らが製造・販売する航空機エンジンで、エンジン各所に付けられたセンサーからの
 データ、航空機の運航データ、エンジン以外の機体各所のデータを、インターネットにつなぎ、
 ここから得られるビッグデータを分析し、今迄には無かった顧客の効率改善等、大きな顧客
 サービスのビジネスを生み出したとしています。
  ソフトの力で、ハードの眠れる力を引出し、顧客にとっての価値を最大化する。これこそが、
 「インダストリアル・インターネット」の本質であり、日本も含め産業機器の世界に革命的な
 インパクトを与えるとしています。

 (独)が、国を挙げて取り組む「インダストリー4.0 」とは?

  「インダストリー4.0 」とは、直訳すると「第4次産業革命」なのだと云われます。
 ものづくりの覇権は、絶対に(米国)には渡せないと決意したのが(独)であり、国を挙げて
 「インダストリー4.0」を合言葉に、製造業を中心としたIoTを核として、世界に冠たる
 ものづくり大国を作ろうとしています。センサーと人工知能が、人が関与しなくても、
 機械がネットを通じて情報を伝達し合い、ネットでつながる工場(スマートファクトリー)を
 実現し、ものづくりのパフォーマンスを最適化させることが出来ます。これは、人件費の
 大幅削減につながり、(独)国内でのものづくりを維持することが出来るのです。日本も
 先する(独)の仕組みの取込みに留意せねばなりません。

 日本のものづくりはどこへ行く

  日本は、(米国)や(独)に比べると、個々の工場でのビッグデータの活用は、進んでいると
 云われます。唯、これを広く利用出来るように連携を図るとか、連携のための標準化を進める
 とかの動きは、鈍いと云わざるを得ません。
  IoTは、日本のものづくりの再構築の足がかりになると考えます。日本国内の多くの工場では、
 既に生産設備を操作する人は、消えていますが機器の稼働状況の監視とか、異常発生対応等、
 工場の神経系には人を残しています。IoTによるビッグデータの活用で、この神経系の仕事の
 多くが、不要になる可能性が出て来ました。
  この様なIoTを利用した生産システムは、日本が得意とする、ものづくり現場が積み重ねて来た
 「カイゼン」に裏付けされる生産技術のノウハウで武装され、市場での戦いを優位に進めることが
 出来ると考えます。

  次回からは、佐野 健治が担当します。

奥村 貞雄 (技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第12回 第4次産業革命が始まった。(その1) ~

2015-11-09 09:50:55 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第12回 第4次産業革命が始まった。(その1) ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第11回~第13回は、日本のものづくりのこれからについて、担当 奥村貞雄が、話を進めます。
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第12回 第4次産業革命が始まった。(その1)

 産業革命と、ものづくりの推移

  2015年、世界は、久々の「産業革命」を目の当たりにすると云われ、ものづくり
 変ります。産業革命とそれに伴うものづくりの変化は、今回が、4度目だとしています。
  1度目は、ご存じの通り18世紀の英国でおきました。蒸気機関の発明による機械化で、
 初めて本格的なものづくり産業が勃興しました。第2次は、電力の使用がもたらした
 大量生産時代、ベルトコンベヤーによる「T型フォード」が好例で、米国が覇権を握りました。
 第3次は、コンピューターによる生産の自動化で大量生産が進化し、「カイゼン」を駆使し
 日本の製造業が急速に競争力を付けました。
  では、第4次は、何に依って引き起こされる革命なのでしょうか? それは、業種や
 会社の枠を超えて、会社同士、もしくは工場と消費者等をインターネットでつなぐ「IoT
 (Internet of Things)」即ち、「モノのインターネット」だとしています。日本のものづくりに、
 どの様な影響を与えるのでしょうか?

 IoT ( Internet of Things ) とは?

  IoTは、「モノのインターネット」と訳されます。定義は曖昧な所がありますが、パソコン、
 携帯等の通信機器だけでなく、工作機械、輸送機器等、世の中に存在する様々な物体
 (モノ)に 通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信することにより、
 自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う事だとしています。
  IoTは、ものづくりの在り方を大きく変えると云われます。製造ラインの設備、及び製品に、
 付けられた多くのセンサーから得られる、大量なビッグデータを分析・活用することで、
 更に高い生産性と品質を確保することが出来ます。その先にあるのは、無人化だと
 云われます。先ずは、IoTを学び、即応できる体制を整えましょう。

 日本のものづくりが取組むIoTのポイント

  2015年版の日本のものづくり白書では、製造業におけるIoT活用の事例に関し、製造現場の
 「匠の技」や「すり合わせ」と云うハード技術の向上で、競争力を確保して来た日本の製造業では、
 IoT利活用による高付加価値化・差別化の事例は、欧米に比べ少ないのが実情だとしています。
  実情は、実情として、日本のものづくりは、第4次産業革命のキーとされるIoTの普及利用
 による期待効果を捨てるわけには行きません。①蓄積されたビッグデータによる精度の高い
 予測、②ネットを利用した遠隔制御、自律制御による労働力の補完、③新しいサービスによる
 新ビジネスモデルの創造、等に着目し取り組まねばと考えます。

奥村 貞雄(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第11回 ものづくり、日本国内回帰の兆し ~

2015-10-19 09:33:09 | ものづくり情報
ものづくり現場の体験から(第3年度) ~ 第11回 ものづくり、日本国内回帰の兆し ~

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本シリーズ(全20回)は昨年度に引き続き、“ものづくり”の現場を体験した技術士メンバーが交代で
お役立ち情報として提供させていただくことになりました。本ブログを通して意見交換ができたらと思います。
よろしくご愛読ください。

第11回~第13回は、日本のものづくりのこれからについて、担当 奥村貞雄が、話を進めます。
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第11回 ものづくり、日本国内回帰の兆し

 今や(2010年代)、国内ものづくり再構築のチャンス

  1990年代~2000年代は、「失われた20年」と云われ、プラザ合意による円高と、冷戦終結による、
 東西の圧倒的な国際賃金の差が、日本のものづくりの競争力を一気に弱体化させて行きました。
 国内のものづくりの場も閉鎖に追い込まれたり、海外移転に活路を見出さねばならない始末でした。
  しかし、2010年代に入ると、中国を始めとする新興国で、賃金の高騰が始り、アベノミクスの円安も
 加味し、ものづくりの国内回帰の兆しが出て来ました。潮目は変わったと云われます。国内のものづくり
 現場が、再び活気を取り戻し、強靭な現場力で、地道な生産性向上や品質向上を続けられる様、早期の
 再構築を図ろうではありませんか。

 「デジタルものづくりに留意せよ

  「失われた20年」の時代、日本のものづくりを足元から揺るがせた、今一つの原因は、デジタル化だと
 云われています。デジタルものづくりは、今や、経験豊かな設計者や生産技術者のいないことが大きな
 ハンデイになることは有りません。最新の設計情報をインプットしたコンピューターと最新の加工情報を
 インプットした工作機械があれば、世界のどこでも、以前とは比較にならないスピードで、同じレベルの
 製品を作ることが可能なのだと云われています。
  この点に留意し、この度の国内でのものづくり再構築に当っては、日本の多くの企業が武器とする
 製造現場の「匠の技」や「すり合わせ」の技術を簡単にコピーされない、配慮したデジタルものつくり
 忘れない姿勢を堅持しましょう。

 ものづくり、国内回帰の決め手とは

  この9月、ニュースでは、ものづくりの世界で、生産拠点を海外から日本国内へ回帰させた第1号として、
 ホンダの二輪車生産を報じていました。当然、系列の部品メーカーも、国内回帰を図っており、その決め手は
 次の通りとしています。
  「円安や、新興国での賃金上昇だけが、国内生産回帰の理由ではない。技術の蓄積がある日本の工場で、
 低コスト化の製造技術を磨く事であり、日本の得意とする自社開発のロボットの導入が、決めての一つである。
 国内回帰で、生産性は5倍にもなる。」
  ロボットも含めた、ものづくり技術の再構築にまい進しなければと考えます。

奥村 貞雄(技術士、公益社団法人 日本技術士会 神奈川県支部会員)

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