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神奈川県中央会では、3つのテーマ(「経営革新情報」、「経営に関する法律情報」、
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本日は、「経営に関する法律情報」をテーマとした法律事務所 佐(たすく)
弁護士 佐々木光春氏の20回目の記事となります。
今回のテーマは「契約書管理のコツ(その2)」です。
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契約書管理のコツ(その1)
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経営に関する法律情報 第20回



契約書管理のコツ(その2)



前回は、膨大な量の契約書管理について、「探しやすくする」という観点からお話しましたが、
今回は、管理する契約書の「量を少なくする」という観点からのお話をしたいと思います。
 

契約書の量を少なくするためには、不要となった契約書を破棄していく必要がありますが、
どの契約書が不要なのかを判断するのは容易ではありません。


第一の基準として法律上保存義務が定められている場合には、少なくとも、保存義務の存続期間中は破棄できないことになります。

たとえば、すべての企業にかかわるものとして、法人税法は、契約書などのいわゆる証憑書類について、
原則として、作成日や受領日の属する事業年度の終了日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間保存すべきものと定めています
(法人税法126条1項、150条の2第1項、法人税法施行規則59条、67条)。

 
第二の基準として、契約書を証拠として利用する可能性がある場合には、やはり、原本を保管しておくことが望ましいと言えます。
逆から言うと、契約が有効である限りは契約書を破棄することはできませんので、事実上取引関係がないにもかかわらず、
契約が自動更新されているような場合には、契約書を破棄する前提として、契約関係を清算しておく必要があります。

また、契約書を更新する場合にも、更新契約の締結によって旧契約が失効しすべて更新後の契約を適用する旨の規定を設ければ、
旧契約書の保管の必要はなくなります。



問題は、このように効力を失った契約書について直ちに破棄して良いのかという点ですが、
こちらについては、民法や商法が定めている時効期間(民法であれば10年、商法であれば5年)が経過するまでは
保管しておくというのが一般的な方法です。


つまり、取引関係が終了しても、時効期間内であれば終了した取引についてトラブルが発生する可能性があるため、
権利義務関係が清算される時効期間は証拠書類として契約書を保管しておくのです。
 
契約書は重要書類ですから、原本を破棄するのには心理的に抵抗があり、どうしても「とりあえずとっておこう」との判断になりがちです。


アメリカでは契約書を破棄しないことによるリスクに注目が集まっており、日本でも同様の指摘がされていますが、
破棄の当否について判断がつかない契約書について「とりあえずとっておく」という判断をすることにも合理性があります。

もっとも、契約書を破棄するためにも前述のように、契約の有効期間を見直したり清算する等の準備が必要ですので、
漫然とため込むのではなく、将来破棄することも見据えて、量が多くならないうちから整理していくことが重要となります。




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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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弁護士 佐々木光春氏の19回目の記事となります。
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取引先が破産したときの対応(その2)
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経営に関する法律情報 第19回



契約書管理のコツ(その1)



本ブログでは、契約書の重要性についてお話ししてきました。


細かい取引でも逐一契約書を締結していくと、いつの間にか締結した契約書が膨大な量になりますので、その管理だけでも大変なものとなります。
そこで、今回と次回は、契約書管理のコツについてお話ししたいと思います。


契約書の管理については、第一に「誰が保管するか」という問題があります。
しばしば見られるのは、契約書調印までの折衝を行った担当者や担当者の所属部署が、
それぞれが担当した取引に関する契約書を個別に管理するという方法です。

契約締結までの折衝を行った担当者とその後の取引関係の担当者は同じであることが多く、
契約書を確認する機会が多いのも当該担当者であることが通常であるかと思いますので、
利用頻度の高い場所で契約書を保管するという意味では、この方法にも合理性があります。
 

もっとも、このような方法で契約書の管理を行っている会社の場合、私たちが相談を受ける際に契約書の持参をお願いしても、
「どこで契約書を保管しているか今すぐには分からない」「担当者に聞かないと分からない」などと言って
すぐに契約書の確認ができないことがあります。

また、一般的な中小企業においては、契約書の内容について疑義が生じたり、トラブルになることは多くなく、
担当者が契約書を確認しなければならないような状況自体がそれほど多くないのが通常ではないかと思います。


このような観点からすると、社内全体での「探しやすさ」を重視して、
契約書の管理は法務を担当する部署などで一元的に行うのが一つの方法と言えます。

また、会社は社員の入れ替わりがありますので、契約書の管理を個人に依存しない体制を作ることが重要となります。
データベースやエクセルなどで、取引先や契約締結日、契約の有効期限などを一覧できる体制にしておくのが理想です。
一般的な中小企業では時間や費用の観点からそこまでできないというのが実情かと思いますが、
契約書を取引先の名称ごとに50音順に並べてファイリングしておくだけでも契約書の検索性は格段に高くなります。


契約というと内容にばかり目が行きがちですが、
いざ契約書が必要という時に「見当たらない」ということがないよう、会社全体で契約書の管理体制を整えることが重要なのです。





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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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弁護士 佐々木光春氏の18回目の記事となります。
今回のテーマは「取引先が破産したときの対応(その2)」です。
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取引先が破産したときの対応(その1)
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経営に関する法律情報 第18回



取引先が破産したときの対応(その2)



前回お話ししたとおり、債権を有している取引先から破産に関する受任通知を受領してしまうと、債権全額の回収は絶望的となります。


もっとも、担保権を有している場合には、たとえ、取引先が破産してもなお債権回収が可能な場合があります。
担保権の典型は抵当権ですが、通常の売掛金債権について抵当権の設定を受けているようなケースはまれですので、
今回は、しばしば対応が問題となる動産売買先取特権を有している場合についてお話いたします。



動産売買先取特権については、以前本ブログ(「契約を見つめ直す その3」)でも紹介しましたが、
契約書に特別の定めを設けなくても法律によって当然に認められる担保権で(民法311条5号、303条、321条)、
破産手続によらないで権利を行使することができます(破産法2条9項、65条1項)。


したがって、動産を売買した場合には、取引先から破産申立てに関する受任通知を受領している時でも、
この動産売買先取特権を行使して、商品代金の回収を図ることができるのです。



「契約を見つめ直す その3」でもお話ししましたが、
動産売買先取特権は、納品した商品が転売されている場合にも効力を発揮します
(転売先から支払われる代金を差し押さえて、転売先から直接取り立てできます。)。


しかしながら、転売先から代金が支払われてしまうと動産売買先取特権は消滅してしまいます。
そのため、破産者の資産(破産財団)をできるかぎり維持、増加させようとする破産管財人としては、
動産売買先取特権の行使に対抗するべく、早期に商品を換価して代金の支払を受ける対応をとります。

 
したがって、取引の内容が動産の売買である場合には、破産管財人による商品の換価処分によって、
唯一の頼みの綱である動産売買先取特権が消滅させられてしまわぬよう、できる限り早期の段階で弁護士に相談するなどして、
債権回収に着手する必要があります。

 





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 弁護士 佐々木 光 春

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賃貸借契約の勘所(その5)
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経営に関する法律情報 第17回



取引先が破産したときの対応(その1)



「取引先から弁護士を通じて、『受任通知』という名の書類を受け取った。債務整理すると書いてあるが、どういうことか」
というご相談をいただくことはしばしばあります。



そこで、今回と次回は、取引先が破産したときの対応についてお話しします。

一般的に取引先の破産対応は、先ほどお話しした取引先代理人弁護士などからの「受任通知」の受領から始まります。
この受任通知は、通常、破産法上の意味があるものとされています。

具体的には、受任通知を送付する行為は、通常、
破産法162条1項1号イ及び3項にいう「支払の停止」に該当すると考えられています(最高裁平成24年10月19日)。

そのため、受任通知を受領した後には、たとえ、取引先から抜け駆け的に弁済を受けることができたとしても、
偏頗弁済として破産管財人から効力を否定されしまい、結局、弁済金相当額の返還を求められてしまうことになります。


したがって、受任通知を受領してから債務者に対して弁済を求めることは通常できず、
債権者としては、受任通知に同封されている債権調査票とその後に裁判所から送付されてくる破産債権届出書に必要事項を記入して、
裁判所が関与する破産手続の中で、債権額には満たない配当にあずかれることを期待するくらいしかないのがほとんどです
(もっとも、取引先に最終的に残された資産(破産財団といいます。)が少額であるため、
破産管財人の報酬など優先する債権を弁済してしまうと配当すべき資産はなく、全く配当がないという場合も多いです。)。



このようなことから、受任通知を受領する以前の段階で、本ブログ(「債権回収の方法」)で以前お話しした手続などを
利用することによって債権回収したり、あるいは、担保権を取得するなどして優先的な立場を得ておくことが重要となるのです。


以上のとおり、受任通知を受領して以降は、債権者としてできることが限られてしまうのがほとんどですが、
この場合でも取引の内容が動産の売買であるような場合には債権回収が可能なケースもありますので、次回はこの点についてお話しします。
 





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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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今回のテーマは「賃貸借契約の勘所(その5)」です。
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賃貸借契約の勘所(その4)
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経営に関する法律情報 第16回



賃貸借契約の勘所(その5)


今回は、賃貸借契約終了後にトラブルとなる原状回復についてお話しします。
 
事業用の賃貸物件の場合、賃貸人から賃借したときの状態でそのまま物件の使用を開始することは多くなく、
賃借人が事業のための模様替えや造作設備の設置などを行った上で使用をはじめるのが通常です。

特に、これらの内装設備や造作設備は、高額なものも多く、撤去や処分にも多額の費用がかかりますので、賃貸借契約終了時にトラブルとなるのです。



このようなトラブルを避けるためにも契約書の定めが重要となりますが、原状回復に関する定めは多種多様です。

一般的な、考え方として分類すると以下の4つがあります。

①スケルトン状態に戻して返還する

②返還時の状況のまま居抜き状態で返還する

③賃貸借契約を締結した時の状況にまで戻して(内装設備等を再設置して)返還する

④賃貸借契約後に設置した物を撤去し、賃借人の責めに帰すべき理由によって生じさせた汚破損は修復するが、
 経年変化や自然損耗部分はそのままで返還する



上記のうち、どれがもっとも賃借人にとって有利かは、一概には言い難く、
一般的には賃貸人から引渡を受ける際の物件の状況と、契約締結後に設置する予定の設備等を検討して判断することになります。


たとえば、スケルトンの状態で引渡を受ける場合に、
①の定めとすることは、自身で設置した設備等を撤去するだけということになりますが、居抜きなど内装設備が存在する状態で引渡を受ける場合に、
①の定めとしてしまうと、自身で設置していない設備まで撤去しなければならなくなります。

そのため、このような契約とする場合には、多額の撤去費用がかかる設備が設置されていないかなどをあらかじめ確認する必要があります。


また、③④の定めの場合には、賃貸借契約を締結した時の物件の状況を基準にして原状回復を行うことになりますので、
賃貸借契約を締結した時の物件の状況が重要になります。


そのため、このような定めとする場合には、契約書に物件内の状況を確認できる図面や写真を添付するなどして、
賃貸借契約を締結した時の物件の状況を明らかにしておき、契約締結後に現状変更する場合にも、
その都度変更内容を賃貸人と確認しておくことが重要となります。


原状回復に関しては、契約書上明確な定めがない限り上記④によるとする最高裁判決(平成17年12月16日)があり、
これが事業用物件にも適用されるかが問題となりますが、
トラブルを避けるという観点からは、このような最高裁判例の適否が問題となること自体を避けられるように原状回復について
契約書上明確な定めを設けておき、また、賃貸借契約締結時の物件の状況をしっかりと確認しておくことが肝要です。




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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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経営に関する法律情報 第15回



賃貸借契約の勘所(その4)


前々回、前回とお話ししたとおり、土地や建物の賃貸借契約の自動更新は、借地借家法の適用が認められる賃貸借契約にしか適用がありません。
  
前々回、借地借家法の適用が認められない賃貸借契約として、建物の所有を目的としない土地賃貸借契約のお話しをしましたが(同法2条1号)、
以下の4つの形態の賃貸借契約についても、借地借家法自身が、自動更新に関する規定の適用から除外しています。
 

ⅰ.定期借地・借家契約(借地借家法22条、38条)

ⅱ.一時使用目的の借地・借家契約(借地借家法25条、40条)

ⅲ.事業用定期借地契約(借地借家法23条)

ⅳ.取壊し予定の建物の賃貸借契約(借地借家法39条)



ⅰのうち、定期借家は、実務上頻繁に利用されている契約形態です。
したがって、大家さんから期間満了を理由に立退きを求められた場合には、定期借家に該当しないか確認する必要があります。
この形態の契約では、契約書に「契約の更新がない」と明記されておりますので、
定期借地・定期借家に該当するかは、まず、この文言の有無の確認からはじめることになります。

もっとも、契約書にこのような文言を入れただけでは、定期借地・定期借家に該当するとは直ちに言えません。
具体的には、定期借地の場合には、契約期間が50年以上とされていなければならず、
また、定期借家の場合には、契約更新がない旨の説明を契約書とは異なる書面でしなければならないとされております
(借地借家法38条2項、最高裁平成24年9月13日判決)。

そこで、契約書に「契約の更新がない」と明記されている場合には、賃貸借の期間と説明文書の存在を確認して、
定期借地・定期借家に該当するかどうかの判断をすることになります。



ⅱの一時使用目的の借地・借家契約もそのような表題がつけられた契約書は実務上しばしば見られます。
もっとも、一時使用目的の借地・借家契約にあたるかどうかは、定期借地・定期借家と異なり、形式面だけから判断することはできません。

具体的には、一時使用目的の借地・借家契約とされるためには、賃貸借期間について短期間の合意があるといえなければならず、
かつ、その合意の成立に客観的合理的な理由が存在しなければならないと考えられています
(借地について最判昭和43年3月28日、借家について東京地判昭和54年9月18日)。

一時使用目的の借地の例としては、博覧会場、祭典式場などがあげられ、
一時使用目的の借家の例としては、選挙事務所や簡易宿泊所などがあげられています。

これらの例からも、一時使用目的が容易に認められるものでないことはおわかりいただけるかと思いますが、
短期間で達成される目的を定めて賃貸借契約を締結しているような場合には、微妙な判断が必要になることもあります。



ⅲの事業用定期借地契約は、広い意味における定期借地です。
定期借地と異なるのは、定期借地が50年の期間である必要があるのに対して、
それよりも短期間で自動更新を排除することも可能としている点に違いがあります。

事業用定期借地契約として認められるためには、


a.専ら事業の用に供する建物の所有を目的とすること、
b.公正証書によって契約すること

が要件となっています。



ⅳの取壊し予定の建物の賃貸借契約は、法令や契約により、
一定期間経過した後に建物を取り壊すことが明らかな場合に締結される賃貸借契約で、
契約の終了時を建物が取り壊されるべき時としたものです。



以上のとおり、土地や建物の賃貸借契約でも自動更新が認められない形態のものもありますので、
賃貸借契約を締結する際には、これらのものにあたらないかどうかを確認しておく必要があります。


  


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経営に関する法律情報 第14回



賃貸借契約の勘所(その3)


前回は、土地や建物の賃貸借契約は、契約期間が満了しても自動的に契約更新される場合があるというお話をしました。


もっとも、この自動更新は、

①借地借家法の適用が認められる賃貸借契約であることと、

②賃貸人から「正当の事由」がある更新拒絶がなされていないこと

が前提となります。


①は特殊な賃貸借契約の場合ですので、次回お話しすることにして、今回は、②についてお話しします。



借地借家法6条と28条は、「正当の事由」を判断するのに以下の事情を考慮することを求めています。


 ⅰ.土地又は建物の使用を必要とする事情

 ⅱ.借地又は建物の賃貸借に関する従前の経緯

 ⅲ.土地又は建物の利用の状況

 ⅳ.借家に関しては建物の現況

 ⅴ.財産上の給付



まず、ⅰですが、これは、賃貸人と賃借人のどちらが、どの程度、土地や建物の使用を必要としているのかという問題です。
賃貸人側に土地や建物の使用を必要とする事情が認められない場合には、
ⅱ以下の要素がどんなに強くても、「正当の事由」は肯定されませんので、
大家さんから更新拒絶を受けた場合には、最初に、「立ち退きした後の土地(建物)を何に使う考えなのか」を確認すべきことになります。


たとえば、賃貸人が被災してしまい住める建物が賃貸中の建物しかないので立ち退いて欲しいという場合と
賃貸人に立ち退いてもらってから売却すれば高額で売れるので立ち退いてもらいたいという場合では、
「正当の事由」が認められるかどうかの見通しが全く異なることになります。


また、賃借人側の必要性も検討されることになりますので、「正当の事由がない」として立退き要求を拒絶する場合でも、
代替物件があるのかどうかといった調査はしておかなければならないことになります。


次に、ⅱ賃貸借に関する従前の経緯については、なぜ賃貸借契約を締結するに至ったのか(取引関係など特別な関係に基づくものかどうかなど)、
賃料が相当か、賃貸借契約を締結してからどれくらいの期間が経ったか、賃貸借契約期間中の賃料は遅滞なく支払われていたかなど、
様々な事項が検討されることになります。


第三にⅲ土地や建物の利用状況については、
周辺地域における土地の標準的利用との差異や建物の種類・用途に則った利用がなされているかといった事情が検討されることになります。

 
第四に借家の場合には、
ⅳ建物の現況として、建物の経過年数、残存耐用年数、建物の腐朽損傷の程度、
大修繕の必要性の有無、修繕費用、当該地域における土地の標準的使用に適った建物であるかなどが考慮されます。


最後にⅴですが、前回お話ししたような借地借家法による契約の自動更新についてご存じない方でも、
「立退料」という言葉を耳にしたことのある方はほとんどだと思います。

実は、この立退料は、「財産上の給付」という形で借地借家法に登場するものです。
他の考慮要素は、いずれも、調整がきかないものですが、「財産上の給付」は金額的な調整をすることも可能ですので、
他の考慮要素から認められる正当事由の充足度に応じて、「正当事由」が肯定されるために「財産上の給付」が必要かどうか、
必要だとしてどれくらいの金額になるのかが決められることになるのです。


以上のように、「正当の事由」の有無や「正当の事由」を補強するための立退料提供の必要性とその額は、
土地や建物を巡る様々な要素を考慮して決められることになるのです。

  


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経営に関する法律情報 第13回



賃貸借契約の勘所(その2)


「賃料の支払を怠っていないのに、大家さん(地主さん)から、建物(土地)を明け渡して欲しいと言われたが明け渡さなければならないか」
といって契約期間が満了している賃貸借契約書をご持参される相談は、賃貸借契約に関して私たちが受ける典型的な相談の一つです。


通常の契約ですと、契約書に定められている契約期間が満了すると契約は終了しますので、
賃貸借契約にもその考え方をあてはめると、大家さんの言い分は正しいようにも思えます。

しかし、建物の所有を目的とする土地賃貸借や建物賃貸借契約については、
借地借家法という特別な法律が適用される結果、契約書で定められている契約期間が満了しても、直ちに契約終了とは言えないのです。

したがって、これらの土地や建物の賃貸借契約の場合には、大家さんの退去要求に借地借家法の存在をもちだして対抗する余地が出てくることになります。
なお、土地の賃貸借契約については、建物の所有目的でなければ借地借家法の適用対象にならない点には注意が必要です。
たとえば、運送業などを営むために使用している駐車場のように、営業に不可欠な土地の賃貸借であったとしても、
それが建物所有目的でない場合には、「期間が満了したので出て行ってくれ」という大家さんの言い分に借地借家法をもちだして
対抗することはできなくなってしまうのです。


 
では、借地借家法は、契約期間満了時の土地や建物賃貸借契約の取扱いについて、どのような定めを設けているのでしょうか。


まず、土地については、借地借家法5条と6条が重要です。
条文自体は若干読みにくいですが、簡単に言ってしまえば、

期間満了時に土地の賃貸借契約が更新されるか、終了するかは以下のように考えられることになります。


① 契約期間が満了する場合であっても、借主が契約の更新を請求した場合には、原則として契約は更新される(借地借家法5条1項)。

② ①にあたらなくても、契約期間満了後、借主が引き続き土地に建物を有してその使用を継続している場合にも、
  原則として契約は更新される(借地借家法5条2項)。

③ 貸主が、①②の契約更新を拒絶するためには、「正当の事由」が認められる異議を遅滞なく述べる必要がある
  (借地借家法5条1項但書、同条2項、6条)。


要するに、借地借家法は、借主が契約の更新を希望しているような場合には、
契約更新がなされることを前提とし、この契約更新を拒絶するためには、「正当の事由」が必要だとしているのです。

 
次に建物の賃貸借契約ですが、建物については、借地借家法26条と28条に土地と同じような、以下の趣旨の規定があります。


① 契約期間が満了したとしても、貸主が期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、
  「正当の事由」をもって、契約を更新しない旨の通知をしていない場合には、契約更新される(借地借家法26条1項及び28条)。

② 貸主が①の通知をした場合であっても、期間満了後、借主が建物の使用を継続しており、
  これに貸主が遅滞なく異議を述べない場合にも、契約更新される(借地借家法26条2項)。



このように、建物についても、借地借家法は、貸主の更新拒絶などの積極的な行為がない限り契約を自動的に更新することとしており、
この更新拒絶にも「正当の事由」が必要だとしているのです。


以上のとおり、建物所有目的の土地賃貸借契約や建物賃貸借契約は、契約書で定められた期間が満了し、
貸主が契約更新を拒絶している場合であっても、その更新拒絶に「正当の事由」が認められない限り、契約は自動的に更新されることになります。


したがって、大家さんに「契約期間が満了したので、退去して欲しい」と言われたとしても、
「借地借家法の定める正当の事由がないのであれば、契約は更新されているから退去しなくていいはずだ」と対抗できることになります。



問題は、どのような場合に「正当の事由」があると言えるのかですが、こちらについては、次回お話ししたいと思います。

  


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経営に関する法律情報 第12回



賃貸借契約の勘所(その1)


企業の多くが事務所や店舗を設けるために、土地や建物の賃貸借契約を締結しています。

賃貸借契約を締結するにあたって作成する賃貸借契約書は、貸し主となる大家さんの側が用意するのがほとんどで、
不動産会社などが使用している定型的なものを用いるのが一般的です。

そのため、「いつもこうしている」と大家さんや不動産会社に言われてしまうと、なかなか、変更してくれと言いにくいのが実際かと思います。


その場所で長年営業していくわけですから、契約書の記載とは関係なく大家さんにお願いして融通を利かせてもらうしかないことも
たくさん出てくると思いますので、大家さんと良好な関係をもつことがもっとも重要なのは言うまでもありません。

もっとも、万が一、トラブルが生じてしまった場合、賃貸借契約書の内容によっては、
これまで長年かけて築き上げてきた営業の場が失われることになりかねません。


そこで、今回からは、賃貸借契約締結にあたって、最低限確認しておかなければならない勘所についてお話しします。


賃貸借契約書の確認を求められて私たちが最初に確認するのは、
賃借する物件を何に使うかという、賃貸借の目的、賃借物件の用法です。

例えば、事業の内容が物品の販売の場合、
賃借物件を物品保管のための倉庫として使うのか、お客様に商品を見てもらう店舗として使うのか、事務的なことしか行わない事務所として用いるのかで、
契約書の「賃貸借の目的」「賃貸物件の用法」として記載すべき内容に違いが出てきます。

契約書で定めた賃貸借の目的や賃貸物件の用法に違反する使用は当然のことながら認められませんので、
大家さんの承諾を得ずにこのような使用を行った場合には、賃貸借契約を解除され、最悪、立ち退かなければならないということもあり得ます。

賃貸借契約書を見ていて多いのが、会社の登記にあたって記載した会社の目的をそのまま賃貸借契約書の目的にも流用するケースです。


しかし、定款や登記された目的と実際の事業内容に相違が生じているケースもしばしばありますし、
賃貸借契約では具体的に物件がどのように使用されるのかが重要となりますので、
単に登記された会社の目的を流用するのではなく、
最低限、「倉庫」、「事務所」、「店舗」といったように賃貸物件をどのように使用するのかが分かる記載にする必要があります。


特に、音や臭いの出る営業を行う場合や多くの来客を予定している場合、深夜や早朝の営業を行う場合、高価品を取り扱う場合などは、
近隣住民とのトラブルや窃盗被害などの懸念もあることから、
実際に営業を開始してから大家さんから「そのような使用をするとは思わなかった」というような形で問題となるケースもありますので、
契約締結前に大家さんに予定している物件の利用方法についてしっかりと説明する必要があるのはもちろん、
契約書の「目的」、「用法」欄にもできる限り具体的な記載をすることが後のトラブルを避けるために重要となります。



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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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本日は、「経営に関する法律情報」をテーマとした法律事務所 佐(たすく)
弁護士 佐々木光春氏の11回目の記事となります。
今回のテーマは「株主の相続対応(その3)」です。
なお、前回のブログを見逃した方はこちらからご覧いただけます!
株主の相続対応(その2)
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経営に関する法律情報 第11回



株主の相続対応(その3)

前回お話ししたとおり、遺産分割がなされていない間は、株式は相続人全員で準共有される状態になります。
この場合、会社としては、どのようにして共同相続人に株式に関する権利(例えば、株主総会での議決権など)
を行使させるべきなのかが問題となります。

この点については、会社法が、準共有者(共同相続人)は、権利行使者を1名指定しない限り、
株式についての権利行使をすることができないと定めています(会社法106条)。

したがって、会社としては、株式についての権利を行使するのであれば、権利行使者を1名指定してもらいたいと要請し、
その指定が無い限りは、共同相続人いずれからの請求であっても権利行使を拒絶すれば足りることになります。

一方、相続人が権利行使者の指定を行い、会社に対する権利行使をした場合には、
一般に以下の書類の提出を求めて以下の事項をそれぞれ確認することになります。



・提出を求める書類


  ①権利行使者指定通知書*

  ②権利行使者指定通知書に押印している相続人全員の印鑑証明書

  ③被相続人である株主の出生から死亡までの戸籍謄本
   *権利行使者として指定を受ける者の氏名・住所、当該人物を会社法106条で定める権利行使者として
    指定する旨の記載がある書面に、共同相続人の署名・押印をもらうことになります。


・確認すべき事項


  ⅰ.権利行使者指定通知書の成立が真正なものか(①に押印された印影と②の印影の同一性を確認)

  ⅱ.権利行使者の指定に賛成している相続人(①に押印している相続人)の相続分の合計が2分の1をこえているか(①と③で確認)。

  ⅲ.誰が権利行使者となるか(①で確認)



以上の事項の確認ができた場合には、会社としては権利行使者の変更が行われない限り、
当該権利行使者からなされた権利行使だけを適法な権利行使として取り扱うことになります(取り扱わなければならないことになります。)
  
3回に渡って、株主に相続が生じた場合の対応についてお話ししてきましたが、同族会社において大株主の相続が生じ、
遺産分割協議もまとまっていないような場合には、相続人間で支配権を巡る紛争に発展することが少なくありません。
そして、このようなケースで対応を誤ると会社は訴訟リスクにさらされることになります。

したがって、このようなケースでは、専門家へ相談するなどして慎重な対応をとることが求められます。


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法律事務所 佐(たすく)
 弁護士 佐々木 光 春

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