中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

B級グルメの食べ過ぎに注意(その22) ~白いご飯~

2012年12月21日 | B級グルメの食べ過ぎに注意

 数年前まで関内にこんなお爺さんがいた。

 壊れかかったビニール傘をツエ替わりにして、Cの字に曲がった足を引きづって歩く、ちょっとホームレスっぽい人だ。

 見かけるのは大抵、駅周辺か山下町あたりだった。

 
 ある日、私が石川町商店街にある蕎麦屋「木の芽」で天丼を食べていたら、なんと、そのお爺さんが店に入ってきた。
 奥の席につき何やら注文していたが、しばらくして運ばれてきたものは……

 ドンブリに盛られた白いご飯だった。
 
 オカズなし。味噌汁なし。ご飯だけ……。

 すると爺さんはテーブルに置いてある醤油を取り上げ、ご飯の上にまんべんなくかけまわし、それを少しずつ食べ始めたではないか!
 
 私は彼が食べ終えて店を出ていくところまで観察したくなり、自分もゆっくりと天丼を食べることに。
 やがて醤油ライスの最後の一粒を口にした爺さんは、ヨタヨタと立ち上がりレジに向かった。

 〈お金あるのかなぁ…〉


 なんて心配は無用で、150円だか200円だか分からないが、ちゃんと支払って帰って行った。


 究極のシンプルランチだよね。
 その時はこういう食べ方もあるんだなぁと思っていたが、後日、『カレーライスの誕生』(小菅桂子著)という本を読んでいたら、似たようなエピソードに出くわした。

 1929(昭和4)年に小林一三が開業した阪急百貨店の食堂での出来事だ。そこに、こんなことが書いてある。

 西洋好きの小林一三は醤油より西洋の香りのするソースが好きだったのではないだろうか。国産初のソースは大阪発である。
 阪急百貨店にはもうひとつ他の食堂には真似のできないサービスメニューがあった。名づけて「ソーライ」。ソーライとは、ご飯にソースをかけて食べるソースライスのこと、そのころ旧制高校生だった面々にとってこのソーライは、忘れることのできないものという。
 阪急食道のテーブルには日常的にサービスとしてソースと福神漬けが置いてある。万年金欠病の旧高校生にとっては、これがなによりの御馳走だった。
 とにかくライスを注文すれば目の前には使い放題、食べ放題のソースと福神漬けがある。これさえあれば一食十分に賄える。しかし店の方はたまらない。
 そこで、あまりの人気に腹を立てた従業員が「ソースと福神漬けをテーブルから引き揚げましょう」と小林一三に提案したところ、一三は「たとえご飯一つでも注文してくださる方はお客様」。これが答えであった。
 「おれも阪急食堂でよくソーライを食った」というのが、大阪財界人たちの懐かしい思い出である。


 金のない若者たちがご飯にソースをかけて食べていたというのだ。
 あの時見た“足Cの字爺さん”も同じような食べ方をしていた。違うのはソースが醤油になっていることと、将来ある旧制高校生がホームレスまがいの爺さんになっていることだ。

 「木の芽」の“ショーライ”。来年は、こんな食べ方をしてみるかなぁ……。

 

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4 コメント

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カレー (ばんど)
2012-12-22 05:53:27
元々、日本人は白い飯に汁物をかけて喰うの好きですか
らねぇ。
Unknown (管理人)
2012-12-22 06:58:43
>ばんどさん
ご飯に味噌汁ぶっかけて食べるというのは、
ソーライよりも豪華ですね。
Unknown (いち)
2012-12-25 00:26:37
いつも楽しくこちらを拝見してます。
ホームレスまがいのお爺さんにも"ショーライ"はあるってことですか。
なんだかいい話ですね♪
ショーライ (管理人)
2012-12-25 08:19:01
>いちさん
そうなんです。
どんな将来だったのでしょうかね。
あの店の前を通るたびに、
ショーライを思い出します。

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