ブラジルでモーニング

　そんな中華街で喫茶店といえば、まずは「ブラジル」でしょう。中華街大通りと香港路の交差する角にありました。「ありました」というと、無くなってしまったと思われてしまいそうですが、建て替えによって角地は「崎陽軒」に貸し出され、喫茶店の方は少し奥まった所に縮小して営業しているのです。

　開店時間は何時なのでしょうかね、朝８時には開いています。夜勤明けの朝とか、早朝出勤のときとか、あるいは、徹夜マージャンのあとに、ちょうど便利な喫茶店なのです。
　お店をやっているのは高齢のお二人。もしかしたら違っているかもしれませんが、私たち探偵団の知る限りではオジサンとオバサンです。

　朝の店内は、いたって静か。ＢＧＭもテレビもありません。お客といえば、物静かに読書する出勤前の人、朝食代わりにトーストを食べに来る近所のオジサンなどですから、聞こえてくる音は珈琲をすする音とか、スポーツ新聞をめくる音ぐらいです。
　香港路の早朝は、雑踏もありません。昼間の喧騒がウソのようです。だから、これから過ごす今日一日の段取りや、自分の行く末を考えたりするには、うってつけの空間だと思います。
　
　珈琲、紅茶、カフェオレ、ミルクが４００円。トーストは２枚で２５０円ですが、「１枚にして」というと１２０円で提供してくれます。本来なら１２５円なのに、５円おまけしてくれるところが嬉しいじゃありませんか。
　そして今日もオバサンが厨房前の席に座って、パンの端を食べていました。客に出すトーストとしては使えない部分なのでしょうか。なんとも懐かしい風景でした。

　
　ほかに、中華街で喫茶店といって思い出すのは「ストーリー」ですかね。相当昔の話になりますが、「謝甜記」と「中華街貿易公司」の間の路地にあったと思います。カウンターだけの小さな店でしたが、わりと朝早くからオープンしていて、結構重宝したものです。

　ところで、話はブラジルに戻りますが、最近は横浜中華街でもブラジル料理が食べられるようになりました。大通りのチャイナスクエア６階に「トラヴェソ・グリル」というブラジリアン・バーベキューのお店ができているのです。
　野毛のサンバチームが中華街を踊り歩く日が来るのも、そんなに先のことではないのかもしれません。