乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

分子標的治療薬のカクテル療法

2011年06月28日 | 病気・症状
きょうも暑かったですね。
最高室温が33度まで上がってしまいました。まだ、6月なんですよね・・・orz

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【HER2陽性乳癌に対する術前化学療法としてのP-FECへのラパチニブ・トラスツズマブ併用は病理学的完全奏効率を上昇させる】

    第47回米国臨床腫瘍学会 2011年6月3日~7日 Chicago, U.S.A.

 HER2陽性乳癌への術前化学療法としてパクリタキセル+5-FU+エピルビシン+シクロホスファミド(P-FEC療法)へのラパチニブとトラスツズマブの併用投与は、P-FEC+ラパチニブ、P-FEC+トラスツズマブと比べて病理学的完全奏効率を50%以上上昇させることが示された。6月3日から米国シカゴで開催されている第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、イタリアModena University HospitalのValentina Guarneri氏が発表した。

 抗体医薬であるトラスツズマブと低分子薬であるラパチニブの併用は、HER2の細胞外ドメインと細胞内チロシンキナーゼ部位の両方を阻害することで抗腫瘍活性が高まると期待されている。

 Guarneri氏らは、HER2陽性乳癌患者を対象に、術前化学療法としてのアントラサイクリン/タキサン系薬剤とラパチニブ、トラスツズマブの併用の有効性を評価するCHER-LOB試験を進めてきた。今回、CHER-LOB試験の最終結果を発表した。

 本試験の対象はステージII/IIIAのHER2陽性乳癌で、ECOG PSは0~1、左室駆出率が正常な患者。試験の主要評価項目は、浸潤性病変と腋窩部リンパ節がないことで定義される病理学的完全奏功(pCR)とし、副次評価項目は乳房温存術施行率、安全性、バイオマーカー解析、遺伝子発現、客観的奏効率などを設定した。

 対象者を3群に割り付けており、週1回パクリタキセル(80mg/m2)を12コース後、5-FU(600mg/m2)+エピルビシン(75mg/m2)+シクロホスファミド(600mg/m2)併用を3週に1回4コースを行うP-FECレジメンをベースとして、化学療法開始時からのトラスツズマブ週1回併用する群(A群)、ラパチニブ1日1500mg併用する群(B群)、トラスツズマブ週1回+ラパチニブ1日1000mgを併用する群(C群)とした。なお、グレード3の下痢がB群で20%、C群で41%に見られたため、B群は1日1250mg、C群は750mgに減量するプロトコール変更を行っており、ラパチニブを投与された85例のうち50例が減量された。

 12施設から121例の患者が登録され、A群に36例、B群に39例、C群に46例が割り付けられた。患者背景は、平均年齢はいずれの群も49~50歳、閉経前の患者の割合は、A群53%、B群62%、C群59%。臨床病期はステージIIA、IIB、IIIAがA群は30%、50%、17%、B群は33%、49%、18%、C群は29%、51%、20%だった。乳管癌の割合は、A群89%、B群92%、C群93%、病理学的グレード1/2、3がA群は22%、67%、B群は15%、64%、C群は19.5%、61%。ERあるいはPgR陽性はA群は58%、B群62%、C群61%だった。

 安全性評価の結果、グレード4の好中球減少や発熱性好中球減少は3群の間で差はなかったが、下痢、皮膚症状、肝障害がA群と比較してB群、C群で多かった。心毒性については、左室駆出率はいずれの群も登録時62~63%、12~13週後、治療後ともに59~63%で、慢性心不全の発症は見られなかった。

 有効性評価の結果、pCRはA群25.7%、B群27.8%に対してC群は43.1%となった。ホルモン受容体の評価ごとのpCRも検討し、A群ではホルモン受容体陽性例25%、陰性例26.6%、B群では陽性例22.7%、陰性例35.7%、C群では陽性例35.7%、陰性例56.2%だった。

 副次評価項目として設定した、ypT1a+ypN0以下まで拡大したpCRは、A群が42.8%、B群38.9%、C群70.3%。また、手術時のリンパ節転移陰性例はA群74.3%、B群69.4%、C群84%だった。

 乳房温存術施行率はA群68.6%、B群58.3%、C群70.4%で、乳腺切除術から乳房温存術への移行率はA群63.1%、B群53.3%、C群62.5%だった。

 バイオマーカーについては、HER2の再検定を登録患者の94.2%で実施し、再検定結果との一致率は97.4%、3例(2.6%)が一致せず、これによりpCRの変更は見られなかった。

 トラスツズマブ抵抗性に関与すると考えられているp95HER2の組織染色の結果ごとにpCRを再解析したところ、全対象患者の73%でp95HER2の評価が可能だった。A群ではp95陽性例のpCRは33.3%、p95陰性例は30%、B群では陽性例のpCRは25%、陰性例は35.7%、C群では陽性例のpCRは33%、陰性例54%で、いずれの群においてもp95陽性グループと陰性グループの間でpCRは有意な差ではなかった。

 こうした結果からGuarneri氏は、「P-FEC+ラパチニブとP-FEC+トラスツズマブのpCRは同等で、P-FEC+トラスツズマブ+ラパチニブの併用はP-FEC+トラスツズマブ、P-FEC+ラパチニブよりも50%以上pCRを向上させたことから、HER2陽性乳癌患者に対して細胞内外の両方からのHER2の阻害が有効であるというこれまでのエビデンスをさらに強固にした結果だ」と語った。また、p95HER2の評価は化学療法とトラスツズマブ、ラパチニブの併用のpCRを予測できなかったと指摘した。
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>抗体医薬であるトラスツズマブと低分子薬であるラパチニブの併用は、HER2の細胞外ドメインと細胞内チロシンキナーゼ部位の両方を阻害することで抗腫瘍活性が高まると期待されている。


この報告だと奏功率がずいぶんアップしたように見えます。トラスツズマブとラパチニブの併用は、HER2細胞の内側と外側の両側から阻害するから、抗腫瘍活性が高まると期待されるんですね。抗がん剤のカクテル療法は複雑ですが、この分子標的治療薬の併用の意味はわかりやすい。

今後はHER2陽性乳癌患者に対して、細胞内外の両方からのHER2の阻害を考えた治療になっていくのかな?なんて思いました。


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W腫瘍内科医曰く、10年ぐらい前まではHER2陽性乳癌患者には有効な治療薬が少なく、生存率が低かった。んが、分子標的治療薬の出現で、生存率が底上げされたといいます。
研究が進む今日、新たな展開はひょっとするとすぐそこまで来ているかもしれません。粘り強く治療を続けることがいいんでしょうね。

なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)

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