"TOKYO NOBODY"で有名な写真家、中野正貴さんが香港を撮った写真集”SHADOWS”を中古で手に入れた。このところ何度か訪れた香港が国家安全法に揺れている。コロナ禍もあり行けない場所、変わってしまう場所への危機感やノスタルジックな気分もあるのかもしれない。香港の街角を映した映像や写真を見るたびに胸が締め付けらる思いがする。”TOKYO NOBODY”では人の映らない不思議な東京の空間が映されいたがこの”SHADOWS”も似たコンセプトで何枚か香港の若者を映した写真(あまり表情がなく無機質な印象、、)があるが大半の香港の風景には人は写っていない。ガイドブックの写真ように明るくおしゃれな街の印象はまったくなく路地裏や閉まっている市場やカオスな建物群、路上の水たまりなど混沌で湿った香港の空気感で満たされている。2年前九龍側の中心から少し離れた土瓜湾のホテルに泊まって夜ぶらぶらして迷い込んだ路地の感覚とぴったりあう。薄暗くて何かが潜んでいて別の世界の入り口に誘い出されるような路地裏。ガジュマルの木を揺らす風、極彩色に滲んだビクトリアハーバーの夜景、すべてが記憶の中の香港。

