プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★傍論は暴論

2010-11-17 10:44:01 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日、裁判員裁判で初の死刑判決が下った。事件の残虐性からすれば、当然の判断だが、裁判長が「重大な結論なので控訴を勧めたい」と傍論を述べたのには驚いた。

 裁判員の心理的苦痛・負担をおもんばかった同情発言だと言う人もいるだろうが、裁判制度の根幹を揺るがしかねない暴論だ。「ここでは、一応、死刑にするが自信が無い。上級裁判所では別の判決が出るかも知れない」と言っているようなものだ。判決に不満なら控訴するルールを知らぬ者はいない。

 欧米でも国民参加型の裁判はあるが、死刑制度は、ごく一部の国に限定されている。宗教的な背景や歴史的背景抜きに軽々に判断出来ないが、終身刑制度の導入を検討すべきだ。社会の仕組みに国民自らがかかわり、変えて行く思想に基づくのであれば、裁判員制度を定着させるには段階を踏んだ長い時間が必要だ。

 人が人を裁く以上、裁判員と裁判官が自分の人格をかけて、熟慮の末に結論を出したはず。それを自ら否定するような発言は暴論と言うべきで、裁判員は救われるどころかストレスが倍加する。判決が出て、ストレスが溜まった。


★心機一転

2010-11-16 13:38:55 | 日記・エッセイ・コラム

 14日に開催された「金沢市民マラソン」で、出場している筈の友人の姿を見つけることが出来なかった。大勢のランナーに紛れて見失ったのだと思い、帰宅したが、体調不良で棄権したことを知った。

 彼は、私のコーチ役なのだが、近年、故障続きで満足なレースを送れないでいる。顔を合わせる度に、「ほどほどに」と言うのだが、往年の走りを取り戻そうとハードなトレーニングをしているようだ。

 私の方は、完走することが目的化しており、故障なく走ることが最重点事項。そこで、フル・ハーフ・10㎞用とレース別に使い分けていたシューズを整理することにした。10㎞用だけを残し、フル・ハーフ兼用のシューズを2足購入した。一足は280g、もう一足は300gで足の保護機能が充実しているためかなり重い。

 廃棄したシューズは、速く走る目的で軽量設計だったので、もはや無用の長物。まだ十分使用に耐えるものだったので、幾分、未練が残ったが、走友の棄権を知り、心に踏ん切りをつけた。先のイスタンブール・マラソンの寄せ書きに、「生涯走る一兵卒」と記したことを肝に銘じて。


★初心に戻る

2010-11-14 11:13:32 | 日記・エッセイ・コラム

003  第17回金沢市民マラソン大会は、11月14日、約4,400人のランナーが参加して開催された。今年も出場を見送ったが、私がジョギングを始めるきっかけになった大会なので、初心に戻るべく、会場に足を運んだ。014015  3㎞の部は、サッカーや野球のユニフォームを着て真剣に疾走するちびっ子達の姿が目立ち、思わず”頑張れ!”。021 同じく、3㎞を走るファミリーの部は、日頃運動不足のお父さんが子供に引きずられるように走っている姿に、「お父さん!しっかりー!」と悲鳴に似た声援が沿道から飛び、周りの笑いを誘った。

 年々、制限時間や関門通過時間が気になり、走ること自体がプレッシャーになり始めた。走友達が出ていると思うと、一緒に走れないのがもどかしく、口惜しさを通り越して、切なさがこみ上げてきた。


★「SENGOKU38」流出に思う

2010-11-11 09:31:13 | 日記・エッセイ・コラム

 国会は、補正予算案の審議そっちのけで、尖閣諸島における衝突事故ビデオ流出問題を巡り紛糾している。

 ビデオの公開・非公開や機密情報の管理責任問題は確かに重要だ。また、該ビデオが機密情報に値するか否かの解釈問題もある。情報を漏洩した保安官の動機に対する世論の反応もさまざまだ。だが、ことの発端は、理由を曖昧にしたまま、逮捕した船長を釈放したことだ。

 さて、小ブログでは、ことの本質は別の次元で捉えたい。それは、IT時代における情報発信とその影響を現代社会の中でどう位置付けるかを整理する必要性だ。

 マスメディアが報道の自由を主張して来たのは、国民の知る権利に正しい情報を提供し、以て、民主主義を支えるとの理念に基づくはず。ところが、インターネットの発展は、情報が持つ価値を根底から変質させた。ブログやツイッターの普及により、個人が発信する情報が社会に測り知れない影響を与え、民意をあらぬ方向に誘導しかねない危険性をはらんでいる。

 情報自体の価値とその影響力をどう判断するかは、極めて難しい。国民自身が自己中心的な考え方を捨て、社会秩序の中で、情報を扱う能力を身につけることが肝要だ。今日の一句、「あほやなあ ネットに載せれば ばれるのに」。


★トルコ紀行完:「一期一会」

2010-11-08 08:44:05 | 日記・エッセイ・コラム

163 10月22日、イスタンブールから成田に向かう機内で、日本人俳優と隣り合わせになった。見覚えのある顔に目礼をしたが、名前は思い出せなかった。あれこれ思い巡らし、「あのー、失礼ですけど○○さんじゃないですか?」と、恐る恐る尋ねると、「そうですよ」とニッコリ笑い、「長い旅になるから、どうぞ宜しく」と挨拶され緊張がほぐれた。

 芸能界に疎い私が知っている位だから、知名度の高い人だが、人気の程は知らない。年齢は、私より一回りほど上で、舞台・映画を中心に活躍中だが、テレビドラマでも渋いわき役として存在感を見せている。

167 彼は、劇団員40名ほどで地方都市を中心にボランティア公演をおこなった帰りで、「旅費しか出ないので、僕はいいけど若い人達は大変だと思うよ」と、その舞台裏を語った。私が石川県人と分かると、「今年、能登演劇堂のマクベスに出ていたんですよ」と共通の話題を引き出した。残念なことに、仲代達矢率いる無名塾のロングラン公演を観ていなかったので、それ以上、深い話に進めなかった。

 初対面の人に対して、高ぶらず、如才ない人柄に接し、帰国後、彼のプロフィールを読んでみた。二度とないであろう貴重な機会と時間を失い、口惜しいが、また一つ旅の思い出が刻み込まれた。