苔むした石畳の道は、起伏に富み、雨が降れば滑って危ないだろうなと注意深く歩を進めて行くと、道わきに「雲助と呼ばれた人たち」と題した立て札を見つけた。
そこには、雲助の三つの条件が書かれており、「力が強いこと」、「荷造りが上手なこと」、「歌がうまいこと」とあった。
興味深いのは、二番目の荷造り上手で、「荷物を見れば誰が造ったものかが分かり、箱根で造った荷物は京都まで壊れなかった」とあり、誰にでもなれる職業ではなかった。
時代劇に登場する箱根の雲助は、山中で旅人に悪さをする悪人扱いにされているが、実像とかけ離れているようだ。街道を歩いてみて、往時の箱根が難所と言われた所以を実感した。