電脳筆写『 心超臨界 』

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( キャロル・バーネット )

歴史を裁く愚かさ 《 西洋の「内戦」に巻きこまれたアジア――西尾幹二 》

2024-09-22 | 04-歴史・文化・社会
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日本人はアイデンティティ、歴史感覚、あるいはまた歴史の共有意識といったものをほとんど失いかけている。外からの簡単な圧力を撥ね返す力もなく、唯々諾々と外圧を受け容れてしまう。現実の政治はこういった深刻な事態に対して、ほとんど無力である。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p211 )
第4章 日本人よ、知的に翻弄されるな
2 反日歴史観に包囲されている日本

◆西洋の「内戦」に巻きこまれたアジア

20世紀は、4つのイデオロギーに支配された世紀であった。第一はファシズムで、ドイツを中心にフランス、スペイン、イタリアや南アフリカにも拡がっていった思想である。第二は、たまたまロシアと中国に強く出た共産主義である。これはベトナムにもキューバにも飛んだ。あるいはカンボジアのポル・ポトによる大虐殺のような事件を生んだ。第三は、みんなあまり気が付いていないけれども、レーニンが帝国主義と称した民主主義イデオロギー。分かりやすく言えば白人文明覇権思想と呼ぶべきイデオロギーである。それを体現しているのがアメリカ、イギリス、フランスであり、あるいはベルギー、オランダといった欧米諸国である。第四は、日本が中心となる「アジアは一つ」という思想だ。

どう贔屓目に見ても、最後のアジア主義がイデオロギーとしては最も貧弱である。最初の三つはいずれも堂々たる理論を具え、どれもみな革命思想を背後に抱え、そして最後にはそれにふさわしい政治体制を持つにいたる。20世紀の地球は最初の三つのイデオロギー――つまり西欧が創りだしたイデオロギーによって攪拌されたと私には思われるのである。

それらの根はただ一つ、フランス革命に端を発している。フランス革命からアメリカのフェデラリズムへ流れるものと、ソヴィエトの革命思想に流れるものとの二つがまずあった。さらにその両者に対するアンチの思想、対抗思想としてナチズムが生まれた。いずれも黙示録的な価値観というか、世界破滅幻想というか、キリスト教的な救済観を背後に持った終末論的イデオロギーである。これらが20世紀を動かした。

そういった思想どうしの戦い――言わば西洋の「内戦」に日本は否応なく参戦させられた。いや日本のみならずアジアのほとんどの国々はこの西洋の「内戦」に参加しなければ生きていけなかった。それなくしては独立は全うできなかったし、近代的発展もできなかった。アジアの二大国である日本と中国も例外たるを得ず、見事にこの「内戦」に参画せざるを得なかった。中国はソヴィエト、共産主義の側に参画して自分もその代表国の一つになろうとした。かたや日本はアメリカ流民主主義に最も近いようでいて、実際はどれにも属さない形で、西洋の価値観の争いのボーダー上に自らを置いて歴史を刻んできた。

であるから、20世紀の日本の国内にはこの三つのイデオロギーのすべてが入ってきた。しかしそのいずれにも徹底的に属することはしなかった。日本はつねに、どこにも所属しない孤独の中にあった。終始そういう生き方だったのである。しかし、そういう自己像を、当の日本人自身は把握しきれていない。そこに今日の混乱の根があるのではないだろうか。

自分たちの歴史の根源を傷つけられるような侮辱を受けても、なおにこにこ笑っている日本人。教科書にその偏った歴史が綴られるという異常な事態。竹島や北方四島といった領土の実効支配権を事実上奪われているにもかかわらず、なんら痛痒(つうよう)を感じない奇妙な感覚。阪神大震災から露呈した自己管理能力・危機管理能力の欠如。さらには権力というものの正体がどこにあるのか分からないような国家の状態。これらの問題と、日本以外の国が日本に押しつけてくる歴史解釈の問題に対する日本人の無気力、無抵抗ぶりとは、切っても切り離せない関係にある。

日本人はアイデンティティ、歴史感覚、あるいはまた歴史の共有意識といったものをほとんど失いかけている。外からの簡単な圧力を撥ね返す力もなく、唯々諾々と外圧を受け容れてしまう。現実の政治はこういった深刻な事態に対して、ほとんど無力である。
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