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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

曽野綾子 《 貧困と無知が生む泥棒 》

2025-04-20 | 03-自己・信念・努力
20年に及ぶブログ活動の集大成 → <a href=https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/3d8eb22fad45ce7b19d6a60e8a70b7e7" target="_blank">★仏様の指
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まだ日本社会が今ほど豊かでない時代に、私の海の家に泥棒が入った。現金、宝石はもちろん、美術品のようなものさえ一切ない家である。その代わり台所用品から衣類まで、そこには東京の家では使わなくなった古い物が置いてあった。他に辺鄙(へんぴ)な場所だったので、当時は少し珍しかった小さな冷凍庫だけは新品があった。泥棒はもちろんその冷凍庫も持っていった。泥棒が捕まり、すべてのものが押収されてから、私はそれを東京の四谷の近くの警察署に受け取りに行った。おかげで私は少し恥ずかしい目に遭った。


◆貧困と無知が生む泥棒――曽野綾子・作家
(「小さな親切、大きなお世話」産経新聞 R02(2020).09.06 )

私は両親や夫と共に外国暮らしをしたことがないので、日本の教育がどの程度完成したものかを比べる方法も機会もない。

日本人は国民全体が勤勉で個々の生活の基盤が成り立っているせいか、道徳的でもある。親が子供に乞食や万引きをさせて生きている家庭を見られる国もあるが、日本ではそういう家庭が現実に存在すると聞いたこともないし、私はまだ略奪という光景を見たこともなくて済んでいる。

貧しい人たちが倉庫やスーパーなどの窓やドアを破り、怒涛(どとう)の如(ごと)く押し入って中にあるものを手当たり次第に取っていく光景は、ニュースとドラマでしか見たことがないが、もし自分がその場にいたら、と思うことはよくある。

日本の道徳教育は、その人を取り巻く社会全体が落ちついている中で行われるという想定である。自然災害や戦争などの異常事態が起きると、道徳の基準もほとんど数日の間に変質してしまう。

まだ日本社会が今ほど豊かでない時代に、私の海の家に泥棒が入った。現金、宝石はもちろん、美術品のようなものさえ一切ない家である。その代わり台所用品から衣類まで、そこには東京の家では使わなくなった古い物が置いてあった。他に辺鄙(へんぴ)な場所だったので、当時は少し珍しかった小さな冷凍庫だけは新品があった。泥棒はもちろんその冷凍庫も持っていった。

泥棒が捕まり、すべてのものが押収されてから、私はそれを東京の四谷の近くの警察署に受け取りに行った。おかげで私は少し恥ずかしい目に遭った。

泥棒が持ち出したものすべて(歪(ゆが)んだザルから、かなり古びたトイレのスリッパまで)が警察の会議などに使われているような部屋に雑然と置かれていて、私はそれら一つ一つをわが家のものかどうか確認させられたのだ。私は一家の主婦だったから、すべての雑物に記憶があり「はい、うちのものに間違いありません」と言わねばならなかった。

その人がそんな古物を盗んだ理由はすぐわかった。彼は刑務所を出たばかりだったが、お金がないままに生活を始めねばならなかったのだ。警察の人は人情的で「冷凍庫の中にステーキ肉があったって?」と私に聞いた。「持ち出した後で、浜辺でその肉を焼いて食べたら、実においしくて、こんなおいしい肉がこの世にあったかと思ったんだそうだよ」ともつけ加えた。

それほどの喜びを人に与えたのだろうかと思うと、私は不思議な気になった。確かにあの肉は少し上等だった。しかしとにかく私はそれまで、それほどに人に喜ぶことをしてあげたことがないような気がしたのだ。

今は古物など、どこでもほとんど売れない。欲しがる人があまりいないのだ。だから盗んでも売るのに手がかかって意味がないのだ、という人もいる。

泥棒という行為は、金銭的にも社会的にも、末永くこれほど「合わない」行為はない、と言えることなのに、それを教える人はいないのだろうか。
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