病院設計者のブログ

病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。

病院・診療所の火災

2013-10-27 | 医業経営

今月、福岡市の整形外科の有床診療所で、

入院患者など10人がお亡くなりになる火事が

ありました。

 

新聞などによりますと、原因は、建物の

防火扉が正常に作動しない状態になっていた。

それらをしっかり点検していなかった。

無届で増築を行っていた。

など診療所側の不備の点が指摘されて

おります。

 

4年前に老人施設で死者を出す火災が

ありましたが、医療施設で、これほど多数

の死者を出した火災は、かなり長い間

ありませんでした。

 

病院や有床診療所は、夜間も定期的な

回診をおこなっていたり、食事を作る厨房

以外は、火を使う事は厳密に制限をかけ

ていたりしますので、火災の発生自体も

少なかったのかもしれません。

 

今回は、ホットパック用の加温装置

のコンセントからの発火という、あまり

想定できない原因でしたので、火災

の発生を防ぐことは、難しかったの

かもしれません。

 

しかしながら、今回は発生後の対処や

建物の内容が問題だったようです。

 

建物は鉄筋コンクリート造でしたので、

木造建物と異なり、構造体は燃えない

ので、なぜここまで、大きな火災になって

しまったのか、原因解明が必要だと

思います。

 

医療施設ですので、シーツやタオルなど、

は多くあると思います。

それら可燃物の保管状況や管理状況を

含め、原因を解明して欲しいと思います。

 

テレビなどでは、スプリンクラーを設置

していなかったことが原因。と法律で

設置義務も無いことを説明せずに、

この火災被害の原因だと言ったりして

いる人もいます。

 

スプリンクラーを設置することは、火災

被害を縮小することには、とても有効

ですが、設置するには大規模な工事と

多くの金額を必要とします。

 

今回の様な火災が続き、法改正で、

老人施設のように、スプリンクラー

設備の設置が厳しく規定された場合、

経営的な問題が出る医療施設は多く

発生するかもしれません。

 

そうならないように、今後、このような

火災被害を出さない為にも、

火災被害を抑える対策をおこなって

いって欲しいと思います。

 

たとえば、倉庫などが少なく、カルテ

をや書類を保管する場所に困り、

今まで、タオルやシーツなどを保管

していた場所をカルテ庫に変更し、

シーツなどは廊下の突き当たりに

棚を置いて保管したり、階段の踊場

などに、コピー用紙の箱を置いてい

たりすることが、あると思います。

 

廊下や階段は避難する時の重要な

経路ですので、ここに紙やシーツ等の

可燃物があり、火が燃え移ってしまったら、

避難ができなくなり、甚大な被害が発生

します。

 

また、火が燃え移らなくても、階段や廊下

の巾を物が塞いで狭くしてしまっていると、

火事でパニックになった患者さん達が、

スムースに通れなくて、逃げ遅れたりする

可能性があります。

 

このような、日常にある事を改善していく

だけでも、万が一の場合の被害を少なく

することは可能です。

 

特定の建物の所有者(管理者)には、

定期調査報告というものが、義務付け

られています。これらをおこなわない場合

罰則規定(100万円以下の罰金)もあります。

 

次回は病院・有床診療所の定期調査報告

について書いていきます。

 

 医療環境デザイン研究所

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