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2017-04-27 21:44:07 | 社会

障害者差別解消法 施行1年 自治体への相談約2800件

障害のある人に対する差別の禁止などを盛り込んだ、障害者差別解消法の施行から今月で1年となりますが、NHKが全国の自治体に調査した結果、障害者などから寄せられた相談は1年間で、およそ2800件に上り、自治体が事業者などに指導や助言をしたケースが78件あることがわかりました。

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去年4月に施行された障害者差別解消法は国や自治体、事業者に対して障害を理由とする差別を禁止するとともに、障害者に対する合理的な配慮を求めています。

法律の施行から1年になるのに合わせて、NHKは今月、全国の都道府県と県庁所在地など、合わせて121の自治体を対象にアンケート調査を行い、すべての自治体から回答を得ました。

この中で、この1年間に障害者や、その家族などから「差別を受けた」といった相談を受けたことがあるかを聞いたところ、全体の88%に当たる107の自治体が「ある」と答え、相談件数は現時点で少なくとも2834件に上ることがわかりました。

具体的には「飲食店で盲導犬との入店を拒否された」とか、「タクシーを呼んだ際に障害を理由に送迎を拒否された」、また、「宿泊施設で車いすの利用を理由に宿泊を拒否された」などがありました。

さらに、こうした相談を受けて、合理的な配慮が欠けるなどの理由で、事業者などに対して指導や助言を行ったケースが全体の26%に当たる32の自治体で、合わせて78件あることもわかりました。

中には、香川県で聴覚障害を理由に、テーマパークのアトラクションを利用できなかったという親子の訴えを受けて、県が助言した結果、テーマパーク側が障害の程度に応じて利用できるよう改善したケースや、広島県で園児が障害を理由に幼稚園から退園か休園を求められ、自治体が助言した結果、幼稚園側が謝罪したケースなどがありました。

基準を見直した香川のテーマパーク

香川県内のテーマパークでは、県からの助言を受けて、障害の度合いなどに応じて、アトラクションを利用できるよう改善したケースがありました。

香川県丸亀市のテーマパーク、「NEWレオマワールド」では、これまで障害者は一律に、18歳以上の健常者の付き添いがないとアトラクションを利用できませんでした。

これについて、県は「差別に当たる可能性がある」として施設に改善を求め、ことし1月施設は園内のすべてのアトラクションの利用基準を見直しました。

具体的には「有事の際に避難できるか」など、障害者本人と直接、話し合ったうえで、例えば補聴器をつければ聞き取りができるなど、障害の度合いなどに応じて、1人でもアトラクションを利用できるようになりました。

NEWレオマワールドの日高幸人支配人は「お客様の安全を考えて設けた基準だったが、県の話を聞いて配慮が足りなかったと感じた。今後も、お客様の声を反映させながら、どんな人にも過ごしやすい施設にしていきたい」と話していました。

「お手伝いOKの店」 山梨の取り組み

山梨県の障害者などで作る団体の代表を務める芦沢茂夫さんは、車いすを利用する人が気軽に外出できるように、「お手伝いOKの店」と書かれたステッカーを店舗の入り口に貼ってもらう取り組みを進めています。

ステッカーには店の電話番号を書き込めるようになっていて、店側は、これを見た障害者などから電話を受けると、ドアを開けたり、車いすを押したりするなど、店に入るための手助けをします。

芦沢さんは筋肉が萎縮する難病で、電動車いすを使って生活していて、店の入り口の段差が車いすにとって大きな障害となり、外出の妨げになると感じていました。

そこで、芦沢さんはステッカーを作成して、山梨県内の甲府市や南アルプス市などの店舗に協力を求め、さらに段差を解消するためのスロープの設置も呼びかけました。

甲府市の中心部にあるワイン販売店の店主、中山秀人さんは、この取り組みによって1人でも多くの人に訪れてもらえるのではないかと考え、協力したということです。

中山さんは、店を訪れた芦沢さんから電話を受けると、持ち運びできるスロープを出して、入り口に設置しました。その結果、芦沢さんは段差を気にせず、スムーズに店に入り、ワインを購入して、帰ることができました。

芦沢さんの呼びかけで、ステッカーは、この1年間でおよそ50軒の店に配られました。また、スロープは8軒の店に設置され、理解が広がっています。

芦沢さんは「車いすの利用者は段差があると店に入れずに諦めたり、嫌な思いをしたりしてきました。個人の力はわずかなので、環境を改善していくためには、大勢の仲間や関係者が一緒に声を出す必要があると思います」と話していました。

専門家「相談件数は氷山の一角」

障害者政策に詳しい、早稲田大学の岡部耕典教授は「障害者は社会の中で弱い立場に置かれていることが多く、声を上げにくい。2800件の相談件数は、あくまでも氷山の一角で、もっと多くの問題が埋まっていると思ったほうがよい。行政が間に入って問題が解決したとか、解決の方向が見えれば、障害者がもっと声を上げてもいいんだという雰囲気が醸成される」と述べました。

一方で、障害者差別解消法について、一般の人の認知が十分に進んでいないと指摘し、「障害がある人が生きていくうえで感じる困難や、こうしてほしいという訴えを行政だけでなく、市民一人一人が気付いて、くみ取り、対応する力を身につけることが求められている」と話していました。