植民地戦争+α

歴史テーマの中量級のボードゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しています。
なので歴史とボドゲの話が多いです。

公国のペレストロイカ が出来るまで

2019年03月23日 12時32分51秒 | ゲームシステム
 昨年の2018年12月14日に「ゲームマーケット2019春の新作はロシアだー!」と言う記事を書きました。今回はもっと掘り下げて、何が元となってゲームマーケット2019春の新作「公国のペレストロイカ」のシステム・テーマなどのデザイン部分が出来上がったのかの記事になります。
 テーマの背景でも無いのでゲームを遊ぶ上では全く関係ありません。どちらかと言うとボードゲームデザイナー向け記事になります。

 「公国のペレストロイカ」のルールやテーマを本格的に考え始めたのは、2018年10月頃になります。この時期はゲームマーケット2018秋の直前で、その秋に出す「メソポタミアの扉」が軌道に乗っていたので、その傍らで次の2019年春の新作を考え始めました。実は、この時、別の作品を考えていたのですが、これが頓挫し、急遽、一から2019年春向けの新作を検討することになりました。

 システムの方は、心の中に自身の作品の「幕末の行末」で使ったシステムを、テーマを変更して出し直したいという思いが大きくありました。


 元々、「幕末の行末」は幕末のテーマではなく、中世ヨーロッパを舞台に、小麦や木材を資源に水車小屋などの建てる拡大再生産を考えていました。そのテーマがあまりにも一般的過ぎたのと、ちょうど2018年が明治維新150周年だったので、テーマを幕末で出したのですが、幕末ファンには受けたもののそれ以外のゲーマーには受けなかったのかなーと言う印象を持っていました。
 そこでテーマを変えることと共に、システムも幕末の行末が47枚もカードを使っており、その全てに違うテキスト効果を入れたゲームにしたのは、重厚で何度も変化があるゲームになる一方、初見では47枚の効果を把握できる訳ではないので、とっつき難いと言う問題があったのだと感じていました。
 そこで今回はここを簡素化する改善を行って、出し直しを計画しました。

 ちょうど、I was game のカレー様が毎年行なっている『ボードゲームデザインアドベントカレンダー』に投稿することを決め、過去記事を読んでいる中で、ウヴェ・ローゼンベルク氏が、『たとえば「洛陽の門/Loyang」ではアグリコラの「小進歩/大進歩」のメカニクスと類似のものを使っている。Loyangはアグリコラの半年前のものに開発されたものだ。僕はそれぞれのゲームを作りながら、いろいろ試して、メカニクスを洗練させているんだ。』と言う文章が目に止まったのも今回の原動力になりました。
 つまり、過去の自分の作品で使ったシステムをより洗練させ、また使うのもありだなって。。。

 まず、最初に取り掛かったのは、カード枚数の圧縮です。うちはポプルス様を利用しているので、テレカサイズで24枚と言う制約があり、これに合わせる必要があります。始めは幕末の行末の47枚のカードから、基本的なカード効果を取り出して、24枚のセットを作って遊んで見たりしましたが、当然カード枚数が足りません。

 いろいろ考えた末、手札を自分の場に出して、その効果で拡大再生産を行うことを止めました。これは自分なりには凄い決断でした。幕末の行末で最もウリとしていたいろいろな効果を使った拡大再生産と言う幹となる部分を取っ払うと言う決断です。(まあ、カード枚数が少なくなり、拡大再生産の効果の種類が少なくなるのですから、拡大再生産にこだわっちゃいけないのですが。。。)

 さらに幕末の行末では、人物を登場させる(建設)コスト=手札 となっていたのを、カードとは別に「資材」を用意することにしました。

 このとき手元に、過去作「神倭のくに」 で使った 高床式 の木材パーツと、「メソポタミアの扉」のパーツが手元にあったのが役に立ち、資材を家のパーツにそのままして、集めることで町や都市、教会など、いろいろな建物を建てると言うアイデアを思いつきました。

もしかしたら、組み合わせでいろいろな建物を建てるのは過去にドッカーン! (Ka-boom) を過去に遊んでいたことがヒントになったのかもしれません。



 場札から好きなカードを獲得するのは幕末の行末の仕組みそのままとして、資材を獲得したり獲得した資材を使って町や都市を作る効果を得るカードについて、ショーナンさんのウサギの黄金時代を元に、カードを上下分割して、上の効果を使うか下の効果を使うかを悩ませることにしました。(勿論、ここまで同じレイアウトにしますので、ショーナンさんには許可をご頂きました。ウサギの黄金時代は、公国のペレストロイカよりももっとお手軽に遊べる2人用ゲームになっており、カードの手回しやいろいろな効果は異なっていますのでゲーム感は異なります。それでも公国のペレストロイカが楽しいと思った方は、かなりの可能性で気に入って頂けると思いますので、チェックしてみて下さい。)


 同じ部分は、このカードが良い例です。
 左側:ウサギの黄金時代。上の効果が資材となるニンジン1個獲得、下の効果が獲得したニンジンとお金で得点を得る。
 右側:公国のペレストロイカ。上の効果が資材となる木を1個獲得、下の効果が獲得した資材を使って都市を建て得点を得る。

 違う部分は、ウサギの黄金時代がアサンテのアクションポイント制を意識しているので、アクションポイントを必要としないカードも入っていたり、1枚のカードに必ず、2つの効果がある訳では無く、カードの揺れやカードの強弱があり、それが引きゲーとして楽しさを増しています。
 一方、公国のペレストロイカは、アクションポイント制では無いので、カードは全て1手番を必要とするように統一していますし、全てのカードが上下分割されておりますし、場札から選ぶ都合、あまりカード毎に強弱を付けないようにしました。

 そうして、自分の過去作たちから集め、それにウサギの黄金時代を合わせて出来上がったのが公国のペレストロイカになります。嬉しいことに、ウサギの黄金時代のショーナンさんに遊んで頂き、嬉しいお言葉(2019/3/17)を頂けております。

 逆に私の方からは、この場を借りてとても面白いゲーム「ウサギの黄金時代」を作って頂き、そして同様のカードデザインについて今回利用させて頂くことを許可頂きましたショーナンさんに感謝致します。ありがとうございました。


 なお、システムと並行で進めていたテーマの方は、最初の方からロシアで決定していました。以前に、テーマについて連れと話した際に、どんな歴史上のテーマを使うべきかを議論した際、私はアフリカのソンガイ帝国を挙げたのですが、世間が知らないからと一蹴されてロシアと言われていたのを思い出した次第です。最初はロシアの、リューリク朝からロマノフ朝になる動乱期だったのですが、今回のシステムに合わせて、幾つもの国が出来上がっていくキエフ大公国の後のルーシ諸公国がひしめく時代に変更しました。この時代を選んだことで、タタールの侵攻と言う歴史的イベントがあった為に、ルールの方にも全体バーストと言う形でタタールの侵攻が盛り込まれ、ルールもブラッシュアップ出来ました。

 最後に、ロシアの高校の歴史の教科書などを図書館で借りて、この時代を詳しく調べながら、テーマとシステムとの乖離が無いか? とか、デザインについても、当時あったものをイラストに描いて貰うなどの調整を取りながら、完成させたのがこの作品になります。

 遊んで頂きました感想も上々でひとまず納得のいくものが作れた感じです。

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